マスメディアが表立って取り上げないパチンコホールのリスク
厚労省により専門家会議の「新型コロナウイルス感染症対策の見解」の資料が公開されています。
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議 「新型コロナウイルス感染症対策の見解」
2020 年3月9日
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000606000.pdf
ここで、集団感染が確認された場に共通する3条件が明確化されました。
これまで集団感染が確認された場に共通するのは、①換気の悪い密閉空間であった、②多くの人が密集していた、③近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が行われたという 3 つの条件が同時に重なった場です。こうした場ではより多くの人が感染していたと考えられます。そのため、市民のみなさまは、これらの3つの条件ができるだけ同時に揃う場所や場面を予測し、避ける行動をとってください。
専門家会議は、一定条件を満たす場所として厚労省サイトで具体的に「ライブハウス、スポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、スキーのゲストハウス、密閉された仮設テント等」と列挙しています。
(2)一定条件を満たす場所からの感染拡大
これまでに国内で感染が確認された方のうち重症・軽症に関わらず約80%の方は、他の人に感染させていません。
一方で、一定条件を満たす場所において、一人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されています。 具体的には、ライブハウス、スポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、スキーのゲストハウス、密閉された仮設テント等です。このことから、屋内の閉鎖的な空間で、人と人とが至近距離で、一定時間以上交わることによって、患者集団(クラスター)が発生する可能性が示唆されます。そして、患者集団(クラスター)が次の集団(クラスター)を生むことが、感染の急速な拡大を招くと考えられます。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00011.html
確かに、ライブハウスや屋形船、卓球スクールなどクラスタが発生したとされる場所の多くは、3条件が揃っているわけです。
10日夕には、安倍晋三首相が、文化イベントの自粛期間延長を要請しました。新たな「政府方針」が発表され、多くのイベントが中止へと動かざるを得なくなりました。
さて、日本高野連は11日、大阪市内で第92回選抜高校野球大会の臨時運営委員会を開き、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、19日に兵庫・甲子園球場で開幕予定だった同大会を中止することを決めました。
(関連記事)
選抜高校野球は中止 史上初 無観客での開催断念
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56659080R10C20A3UU8000/
無観客の甲子園球場が上記3条件にあてはまるのか議論のある所でしょうが、主催者・日本高野連は「苦渋の決断」と表現していました。
さて、厚労省がサイトで、危険な場所と列挙した「ライブハウス、スポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、スキーのゲストハウス、密閉された仮設テント等」でありますが、何故か3条件が最も綺麗に揃っている場所が抜け落ちているわけです。
パチンコホールです。
パチンコホールはみなさんよくご承知のように、北は北海道から南は沖縄まで、全国津々浦々にまで市街地や郊外に立地しております。
その数は、1月末時点の全国パチンコホール営業店舗数は業界紙によれば8802軒とのことです。
(関連記事)
組合加盟店舗実態調査
https://amusement-japan.co.jp/article/detail/10001596/
パチンコホールは、ほぼ例外なく騒音対策のため入口は2重ドアで仕切られており、ホール内にはやはり騒音対策のため開閉可能の窓はほとんどありません。
つまり①換気の悪い密閉空間で②多くの人が密集し③互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われている、という 3 つの条件が同時に重なった場所、それがパチンコホールなわけです。
業界紙によれば、大阪府堺市では新型コロナウイルス感染者が来店し休業に追い込まれたホールも発生しています。
パチンコホール「ザ・チャンス8」が臨時休業、新型コロナウイルス感染者が来店
遊技日本2020年3月7日パチンコホール「ザ・チャンス8」(大阪府堺市)が3月7日(土)より、新型コロナウイルス感染者が来店したとしてしばらくの期間、臨時休業とすることを発表。3月6日にP-WORLD上の同店サイトとTwitter公式アカウントで3月6日に告知した。
同店の説明によると、感染者は2月29日(15時~21時の間)に来店。保健所からの連絡で発覚したという。感染予防に万全を尽くすため臨時休業に加え、店内の消毒作業を実施する。
また、従業員には現在感染の症状はないものの経過観察期間が過ぎるまでは出勤を停止し、自宅待機とする処置がとられている。「お客様にはご迷惑をお掛けしますが、何卒事情をご賢察いただき、ご理解のほどよろしくお願い致します」と理解を促した。営業再開に関しては店頭やP-WORLD、Twitter上でアナウンスするとしている。
この局面で、最も換気の悪い密閉空間であるパチンコホールがまったく問題されないのは、与野党に蠢(うごめ)く、パチンコチェーンストア協会政治分野アドバイザー、いわゆる「パチンコ」議員の暗躍があったのではないか、いや間違いないと、個人的に私は穿っております。
当ブログでは繰り返し「パチンコ」議員の問題を取り上げてきたからです。
(関連エントリー)
この局面で韓国擦り寄り発言が止まらない「パチンコ」議員岩屋毅防衛相
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/2019/05/20/162447
また経営者に在日韓国・朝鮮人のオーナーが多く、なおかつ国内最大の「警察利権」と化しているパチンコ業界問題は、なぜか政治家やマスメディアがタブーとしていることも、10年以上前から問題提起してまいりました。
(関連エントリー)
政治家やマスメディアが絶対触れない深刻でダークなパチンコ業界問題
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/20120527/1338106493
いつもは触れないことが常のマスメディアですが、さすがに本件(危険な場所からパチンコホールが外れている件)では毎日新聞記者が菅義偉官房長官に「パチンコ店が自粛する場所に入らないことに対し我々の中で疑念がある」と質問しています。
これに対し官房長官は「警察庁において、政府の基本方針を踏まえ、パチンコ業界で適切な対応を取られるよう指導するだろう」と答えになっていない回答をしています。
業界紙の記事より。
官房長官が記者からのパチンコ営業自粛質問に回答、業界の感染拡大防止対策を説明
2020/3/11菅義偉官房長官は3月10日に行われた会見で、パチンコ業界に対して営業自粛要請を行っているのかという記者からの質問に回答。業界が取り組んでいる感染拡大防止対策について説明する一幕があった。
質問を行った毎日新聞の記者は、「今、様々な自粛の要請が行われているが、パチンコ店が自粛する場所に入らないことに対し我々の中で疑念がある。北海道など一部地域では、営業時間の短縮をしている例があるようだが、業界に対して営業の自粛要請は行っているのか」と質問した。
これに対し菅官房長官は、「すでに警察庁は、感染拡大防止の観点から業界に対し、従業員に感染拡大しないような職場の整備についての特段の配慮、遊技機のハンドル等不特定多数の人が触れる場所を消毒するなど感染防止措置を要請している。引き続き警察庁において、政府の基本方針を踏まえ、パチンコ業界で適切な対応を取られるよう指導するだろう」と回答。3月6日の衆議院内閣委員会で武田良太国家公安委員長が答弁した、業界の感染拡大防止に向けた取組状況をあらためて説明するなどした。
・・・
私はこの局面での行き過ぎたイベント中止や一部業種の行き過ぎた営業の自制を、とくに経済的な側面から大変憂慮する側の人間であります。
従ってパチンコホール営業も他業種と同様、続ければよろしい、行きたい人は自己責任で行けばよろしいと考えます。
ただ、カラオケボックスや雀荘やスポーツジムなどが政府から名指しで危険な場所と列挙される中で、3条件が綺麗に揃っているパチンコホールのそのリスクが取りこぼされていることに、大いに疑問に思うわけです。
この無視できないリスクを表立って取り上げようとしないマスメディアの報道姿勢の問題も大きいです。
その店舗数、利用者数は列挙された他の場所を圧倒しています、従ってパチンコホールからクラスタ(集団感染)が発生する可能性は科学的に考えて否定できません。
(木走まさみず)