木走日記

場末の時事評論

常識的に言って首相の国会答弁は非常に苦しいと思う

17日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相と立憲民主党など野党共同会派が首相主催の「桜を見る会」を巡り応酬します。

立憲民主党辻元清美幹事長代行は、桜を見る会前夜の夕食会会場となったANAインターコンチネンタルホテル東京とのメールの内容を明らかにしました。ホテル側から2013年以降のパーティーや宴会に関し「主催者に見積書や明細書を発行しないことはない」との回答があったと主張します。

同ホテルは13年以降に開いた夕食会のうち計3回の会場でした、首相は4日の衆院予算委で「ホテル側から夕食会の明細書は受け取っていない」と答弁していました。

首相は自身の事務所が改めて事実確認したところ、ホテル側から「辻元氏にはあくまで一般論で答えたもので、個別の案件は営業の秘密に関わるため、回答には含まれていない」との説明を受けたと強調します。「事務所の職員は明細書などの発行は受けていない」と繰り返しました。

辻元氏はホテル側が「宛名のない領収書は発行しない」とも回答しており、従来の首相の主張と食い違っていると指摘します。首相は「一般的に『上様』として発行する場合があり、夕食会でも上様としていた可能性があるとのことだった」と反論しました。

BLOGOSにて辻元清美氏は強く首相に反発しています。

辻元清美
2020年02月17日 14:02
桜を見る会・前夜祭に関する安部総理の答弁に反する回答が、ANAインターコンチネンタルホテル東京から出ました
https://blogos.com/article/436718/

辻元清美
2020年02月17日 21:59
私が聞いたのは「一般論」ではなく「ファクト」です――ANAインターコンチネンタルホテル東京からの回答文書と2/17 予算委員会 辻元清美 質疑全文
https://blogos.com/article/436798/

辻元氏はホテルの回答(メール)もPDFファイルで公開しています。

PDFファイルの回答部分を抜粋して参照。

f:id:kibashiri:20200218163553p:plain
https://www.kiyomi.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2020/02/20200217.pdf

さて、朝日新聞は独自取材でホテル側が首相答弁を否定していることを報じます。

ANAホテル「申し上げた事実はない」 首相答弁を否定
2020年2月17日 23時18分
https://www.asahi.com/articles/ASN2K7QW2N2KUTFK02L.html

記事より。

 「桜を見る会」の前日に開かれた夕食会をめぐる安倍晋三首相の答弁に関して、「ANAインターコンチネンタルホテル東京」の広報担当者が17日夜、朝日新聞の質問に回答した。野党が示したANAホテルの見解について、首相は同日の衆院予算委員会でホテルへの照会結果として「個別の案件については営業の秘密にかかわるため、回答に含まれない」と答弁し、夕食会が見解の対象外とする見方を示したが、ANAホテルはこの部分を「申し上げた事実はございません」と否定した。

本件ではANAインターコンチネンタルホテル東京外資系なので「忖度してくれない」というぼやきが自民党界隈から聞こえています。

(関連記事)
ANAホテルもう使わない」自民恨み節 野党「敬服」
2020年2月18日 11時39分
https://www.asahi.com/articles/ASN2L3RLLN2LUTFK009.html?iref=com_alist_8_02

記事より。

 ただ、首相側近は「なんで(ANAホテルは)回答を出したんだろう」と困惑し、自民党幹部の一人は「もうANAホテルを使うのはやめよう」。同党ベテランは「ANAホテルは外資系だからかな。(対応が)スッキリしている」と述べ、忖度のない対応だと感想を漏らした。

これですね、私はあながちはずれていないのではないかなと感じています。

昨年11月に、当ブログは個人的経験から本件に関して「ホテル側の価格『忖度』があったかもしれない」と推測しています。

未読の読者は是非ご一読あれ。

2019-11-19
パーティ代一人5000円について愚考する~ホテル側の価格「忖度」があったかもしれない
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/2019/11/19/112802

このエントリーで私は「内閣総理大臣後援会に対して、ホテル側の価格「忖度」があったんじゃないのかなあと、疑っている」と明言しています。

私が知っている政治家の立食パーティーは、用意する会場の広さと、食事のグレードと数量でほぼ決定されますが、上述したように5千円ぐらい、一万にも満たないのが普通です。
数千名のキャパシティの大会場ならともかく、たかだか800名ほどの会場ならば安く設定できると思います。

だがしかしです。

大切な後援会のメンバーに人数分より少ない食事で原価を抑えることは可能なのでしょうか?

不可能ではないです、しかしそれは現実的には可能性ないでしょう。

ならば、内閣総理大臣後援会に対して、ホテル側の価格「忖度」があったんじゃないのかなあと、疑っている私です。

いずれにせよ、ちっこい話なのです。

今回の件、おそらくホテル側の回答が正しい可能性が高いと思われます。

理由は簡単です。

山口から団体ツアーのように観光バスで東京に大挙押しかけた800人の安倍後援会の参加者の立場で考えてみるとです。

往復のバス代やホテル宿泊費はすべて参加費費用にパッケージされている中で、前日パーティー費用だけが、別途個別に会場にて個人現金負担って実に非効率極まりなく、普通は主催者側(その存在そのものが議論されていますが)が一括でホテル側とお金のやり取りするはずです。

当然ですが、このケースなら往復のバス代やホテル宿泊費はすべてパッケージされているのですから、当然このパーティー費用もパッケージに含めておくべきですし、そうするのが自然だと思います。

一歩譲ってパーティー費用だけは会場で参加者が払ったのが事実だとして、多くの参加者が5000円払って見返りにほしいのは、個人参加者にとって領収書ではありません、パーティー参加券のみです。

私はこの種の政治パーティに何回か参加していますが、会場現場で参加者が直接現金を払っている場面を見たことがありません。

常識的に言って首相の国会答弁は非常に苦しいと思われます。

いずれにせよ、ちっこい話なのです。



(木走まさみず)