新型コロナウイルスの屋形船関連のヒトヒト感染の経緯を検証
ここに来て新型コロナウイルスの感染力について想定外に強い事例が出現してきました。
そこで、現段階で比較的事実関係のトレースがしやすい、新型コロナウイルスの屋形船関連のヒトヒト感染の経緯を検証しておきます。
屋形船関連記事のいくつからまとめてみました。
(関連記事)
感染の屋形船従業員、武漢からの旅行者接客…新年会100人出席
2020/02/15 00:20
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200214-OYT1T50276/
“屋形船で感染拡大か” 新型ウイルス 東京で新たに5人感染
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200216/k10012288171000.html
新型コロナ 屋形船新年会で感染急拡大 関係者以外も確認 都「市中感染前提で対策」
https://mainichi.jp/articles/20200216/k00/00m/040/154000c
感染、始まりは雨の屋形船 窓閉め切って宴会2時間
https://www.asahi.com/articles/ASN2H72S5N2HUTIL01F.html
新型ウイルス 相模原市の病院職員1人 感染を確認
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200217/k10012288691000.html
報道をまとめると、始まりはこの屋形船で新年会が開かれた1月18日とされていますが、その数日前にこの屋形船で武漢市出身数名(一部報道は8名か)を含む中国人団体観光客を受け入れている時点までさかのぼります。
この時少なくとも1名(もしくは2名)の屋形船従業員が感染したと推測されてます。
※『木走日記』作図
そして18日、東京・城南地区の個人タクシー組合支部が屋形船で新年会を開きます。
ここで参加者9名(もしくは+従業員1名)が一気に感染します。
不運にも当日は天候が悪く船の窓はすべて閉められていた、つまりほぼ密閉空間であったわけです。
※『木走日記』作図
ここまでで、本件のヒトヒト感染は、中国人観光客ー>屋形船従業員(一次)ー>新年会参加者(二次)、と二段階で感染が拡大したことが推測されます。
時間の経過とともに、参加者以外に感染が広がっていることが確認されます。
ひとつは、新年会に参加したある運転手の親族の看護師(50代女性感染者)の職場の同僚である60代男性医師の感染が確認されています、報道によれば医師は看護師らと食事を共にしていたとのことです。
ふたつめは、感染が判明している70代運転手の妻(非感染者)の母親が、感染し2月13日に死亡しています。
このケースではさらに、母親を看護した病院職員(女性)の感染も判明しています。
みっつめは、新年会には参加しなかった個人タクシー組合支部職員の50代女性が、感染ルートは明確ではないですが、おそらく運転手らとの接触で感染したと推測されています。
※『木走日記』作図
ここまでで、本件のヒトヒト感染は、死亡した母親のケースでは、中国人観光客ー>屋形船従業員(一次)ー>新年会参加者(二次)ー>母親(三次)ー>看護担当職員(四次)とウイルスが伝播したと推測されます。
こうして屋形船関連を事実検証してみると、この新型コロナウイルスのやっかいなヒトヒト感染力が浮き彫りになります。
最初に感染したと推測される屋形船従業員(男性)ですが、報道によれば現在まで無症状であるとのことです。
すなわちこの従業員自身は無症状のまま、18日の新年会にて感染者を拡大してしまいます、結果日本人初の国内死亡者を出してしまい、現在四次感染まで拡大を許してしまっています。
この新型コロナウイルスは、高齢者や持病のある者は重篤になる可能性が高まるようですが、症状はそれほどは重くならないようです。
しかしながら、感染しても無症状のままであったり、軽症者(風邪のような症状を発症するもすぐ回復)であったりの者が、本人の自覚なしにウイルスを撒き散らしてしまう危険性があるわけです。
ウイルスの立場でいえば、無症状者に潜伏しつつ二次三次の感染のタイミングをうかがうことになります。
これはなかなか厄介なヒトヒト感染力であると思いました。
(木走まさみず)