木走日記

場末の時事評論

数値としては危機的な「東京アラート」だが、実は感染者数増加の内容は決して悪くない

東京都は6日、新型コロナウイルスの感染者26人を新たに確認し、1日あたりの感染者が2桁となるのは6日連続です。

都によると、感染者26人のうち現時点で感染経路が不明な人は10人といいます。年代別では20代が12人と最も多く、30代が7人、40代が3人と続きます。男性が22人を占めました。

接待を伴う飲食店などで感染したとみられる「夜の街」関連は16人。同じ店のホスト12人を含んでいるといいます。この店は新宿エリアにあり、従業員に感染が疑われる症状が出て以降、無症状の従業員もあわせて積極的にPCR検査しており、客にも連絡をとっているといいます。

(関連記事)
東京都で26人が感染 うち12人は同じ店のホスト
https://www.asahi.com/articles/ASN666KG4N66UTIL012.html

さて、東京都の現在の感染状況を、「東京アラート」主な3指標の数値で確認しましょう。

①1日あたりの感染者数(1週間平均)が20人以上、②感染経路が不明な人の割合(同)が50%以上、③週単位の感染者数の増加率が1倍以上、です。

東京都の過去3週間の感染者数のグラフで確認しましょう。

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※『木走日記』作成

まず①1日あたりの感染者数(1週間平均)が20人以上、ですが、19.7人です、ギリギリセーフです。
②感染経路が不明な人の割合(同)が50%以上ですが、26人中10人が現時点で感染経路不明ですので、10/26=38.5%とこれもクリアです。
最後に、③週単位の感染者数の増加率が1倍以上ですが、グラフで確認できますが、先週の13.43人から今週の19.71人と1.47倍でこれはアウトですね。

グラフで確認いただけますが、東京都では過去3週間、週を追うごとに感染者数が増加しています。

今確認しましたとおり、現在「東京アラート」の主要指標の3つのうち③指標が超えてしまっていますが、いまの増加率だと来週にも①指標:1日あたりの感染者数(1週間平均)が20人以上も、おそらく超えてしまうことでしょう。

しかし東京都のPCR検査方針がここへ来て大きく方向転換していることに着目すべきです。

接待を伴う飲食店などで感染したとみられる「夜の街」関連は16ですが、同じ店のホスト12人を含んでいるわけですが、この店は新宿エリアにあり、従業員に感染が疑われる症状が出て以降、無症状の従業員もあわせて積極的にPCR検査しており、客にも連絡をとって検査を徹底的に拡大しているといいます。

このような積極的検査を徹底すれば、当然以前は見過ごされていただろう無症状感染者もカウントされることになります。

6日現在の26名の感染者数は、このような積極的検査の結果の値なのであり、そしてこの手法で徹底検査をすれば、今まで拾えなかった20代、30代の感染者(ほとんどが無症状)が増加してきているのは当然の傾向とも言えるのです。

以上、ここ3週間感染者数が増加している東京都なのですが、私としては、今までの消極的検査から積極的検査に手法を変えたことによる影響も大きいと、判断いたします。

3週間増加が止まらず数値としては危機的な「東京アラート」なのですが、実は内容は決して悪くないのだと私は評価しています。



(木走まさみず)