木走日記

場末の時事評論

歴史的にも閉鎖的なUKUSA協定諸国だけによる中国批判声明に、日本が参加する義務も同理もなし

さて、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドアメリカ合衆国であります。

これは、大英帝国と、全て大英帝国宗主国とした大英連邦構成国、旧植民地のアングロサクソン白人国家であります。

より厳密には、豪、加、ニュージーランドの3国は現在も大英連邦国家であり、国家元首は英国女王陛下でありますが、独立戦争に勝ったアメリカ合衆国は独自の大統領を国家元首としており大英連邦からは脱退しております。

宗主国英国と、英国国王の名の下で、全て先住民族の土地を追い出す形で勝手に白人がやってきて勝手に白人国家をつくっちゃった4ヵ国なのであります。

これら5ヶ国は現在も非常に仲がいいわけですが、その暗黒の歴史を共有していることでも知られている、旧大英連邦アングロサクソン同盟なわけです。

この5ヵ国がどのくらい仲がいいかの一例ですが、13年前になりますが、2007年9月13日に、国連総会で圧倒的多数144ヶ国の賛成で採択された「先住民族の権利に関する宣言」があるのですが、世界で4ヵ国だけ強硬に反対したのでした。

当時の当ブログのエントリーはその事実を紹介して、ネットで話題をいただきました、未読の読者は読み物としてご一読あれ。

2008-03-25
国連「先住民族の権利に関する宣言」に世界で4カ国だけ反対していた国々
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/20080325/1206430263

まず賛成144国。

In favour: Afghanistan, Albania, Algeria, Andorra, Angola, Antigua and Barbuda, Argentina, Armenia, Austria, Bahamas, Bahrain, Barbados, Belarus, Belgium, Belize, Benin, Bolivia, Bosnia and Herzegovina, Botswana, Brazil, Brunei Darussalam, Bulgaria, Burkina Faso, Cambodia, Cameroon, Cape Verde, Central African Republic, Chile, China, Comoros, Congo, Costa Rica, Croatia, Cuba, Cyprus, Czech Republic, Democratic People’s Republic of Korea, Democratic Republic of the Congo, Denmark, Djibouti, Dominica, Dominican Republic, Ecuador, Egypt, El Salvador, Estonia, Finland, France, Gabon, Germany, Ghana, Greece, Guatemala, Guinea, Guyana, Haiti, Honduras, Hungary, Iceland, India, Indonesia, Iran, Iraq, Ireland, Italy, Jamaica, Japan, Jordan, Kazakhstan, Kuwait, Lao People’s Democratic Republic, Latvia, Lebanon, Lesotho, Liberia, Libya, Liechtenstein, Lithuania, Luxembourg, Madagascar, Malawi, Malaysia, Maldives, Mali, Malta, Mauritius, Mexico, Micronesia (Federated States of), Moldova, Monaco, Mongolia, Mozambique, Myanmar, Namibia, Nepal, Netherlands, Nicaragua, Niger, Norway, Oman, Pakistan, Panama, Paraguay, Peru, Philippines, Poland, Portugal, Qatar, Republic of Korea, Saint Lucia, Saint Vincent and the Grenadines, San Marino, Saudi Arabia, Senegal, Serbia, Sierra Leone, Singapore, Slovakia, Slovenia, South Africa, Spain, Sri Lanka, Sudan, Suriname, Swaziland, Sweden, Switzerland, Syria, Thailand, The former Yugoslav Republic of Macedonia, Timor-Leste, Trinidad and Tobago, Tunisia, Turkey, United Arab Emirates, United Kingdom, United Republic of Tanzania, Uruguay, Venezuela, Viet Nam, Yemen, Zambia, Zimbabwe.

反対4ヵ国。

Against: Australia, Canada, New Zealand, United States.

オーストラリアにカナダにニュージーランドアメリカ合衆国です。

全て大英帝国宗主国とした旧大英連邦構成国、旧植民地のアングロサクソン白人国家であります。

先住民族の権利に関する宣言」など認めたならば国家の成り立ちそのものが崩壊しかねない国々です、国際社会を全て敵に回して、ある意味とても正直な投票行動だったわけです。

このようにときに国際的に孤立することもときにいとわない、閉鎖的なほど仲のいい、英、米、豪、加、ニュージーランドの5ヶ国なのですが、強固な軍事同盟を結んでもいます。

有名なUKUSA協定(ウクサきょうてい)であります。

UKUSA協定(ウクサきょうてい、英:United Kingdom – United States of America Agreement)とは、アメリカ合衆国国家安全保障局NSA)やイギリスの政府通信本部GCHQ)など5カ国の諜報機関が世界中に張り巡らせたシギントの設備や盗聴情報を、相互利用・共同利用する為に結んだ協定のことである。かつては秘密協定だったが、現在は条文の一部が公開されている。なおUKUSA協定グループのコンピューターネットワークはエシュロンと呼ばれている。

協定締結組織

共通点は、イギリス帝国の植民地を発祥とするアングロサクソン諸国の機関であること(アメリカ以外は今もイギリス連邦構成国)。Five Eyesとも呼ばれる。

アメリカ合衆国 - アメリカ国家安全保障局NSA)[1]
イギリス - 政府通信本部GCHQ)[1]
カナダ - カナダ通信保安局(英語版)(CSEC)[1]
オーストラリア - 参謀本部国防信号局(英語版)(DSD)[1]
ニュージーランド - 政府通信保安局(GCSB)[1]

https://ja.wikipedia.org/wiki/UKUSA%E5%8D%94%E5%AE%9A

 このUKUSA協定の管理するコンピューターネットワークであるエシュロンは、悪名高く、この5ヵ国以外は利用できず、ドイツや日本など、英米以外は同盟国各国もライバルとみなし、要人や政府機関の国際通信を盗聴していたことが、2015年ウィキリークスの暴露により明らかになるわけです。

我が日本政府および政府機関も完全に盗聴されていたわけです。

さて、ここから本題です。

軍事的にも閉鎖的なほど仲のいい、英、米、豪、加、ニュージーランドの5ヶ国なのですが、旧英国領植民地であった香港に対する中国政府からの圧力にたいしては、ときに非常に敏感に反応するわけです。

今回5月28日に、中国政府が香港に国家安全法制を導入する方針を決定した事に対してイギリスとアメリカ、オーストラリア、そして、カナダの4ヵ国は28日、共同声明を発表し、「香港の安定や繁栄が危険にさらされる」との深い懸念を示しました。

声明では、国家安全法制が導入されれば「香港の人々の自由が奪われる恐れがある」と指摘し、「香港社会の分断が悪化する可能性がある」と警告しました。
また、「一国二制度」方式による香港返還を定めた1984年の中英共同宣言に相反する行為だとも批判しました。

共同声明からなぜかニュージーランドがもれていますが、メンバーからして、大英帝国宗主国とした旧大英連邦構成国、旧植民地のアングロサクソン白人国家としての「共同声明」であることは間違いありません。

なによりそれが証拠に、旧大英連邦構成国以外の主要国、独仏や日本すら声明に参加していません。

さて、この共同声明に日本が参加拒否して米国など関係国の間では日本の対応に失望の声が出ている、との内容の記事が共同通信から報道されます。

(参考記事)
日本、中国批判声明に参加拒否 香港安全法巡り、欧米は失望も
6/7(日) 6:00配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/e1dfcf36d1bbd64a8d7ba8a47eb7cd7b35292aa1?fbclid=IwAR0Z6rbeTOepki8_tiXgjt0tBo49HmJ_MtfY2JrvEUqzWQjBpGEAQ5JbBXM

この報道は少しオカシイです。

「欧米は失望も」とありますが、「英米は失望も」の間違いでしょ、日本だけでなく、英以外の欧州つまり独仏伊など欧州主要国はどこも参加していません。

繰り返しますが、大英帝国宗主国とした旧大英連邦構成国、旧植民地のアングロサクソン白人国家、UKUSA協定5ヶ国は、決して国際社会に協調的ではありませんし、彼らが正義を代弁しているわけではありません。

このような歴史的にも閉鎖的なUKUSA協定諸国による共同声明に、日本が参加する義務も同理もありません。



(木走まさみず)