木走日記

場末の時事評論

この期に及んで「日本・韓国企業の出資を財源に徴用の慰謝料」だと?~日本政府が瞬殺拒否した韓国政府提案の二重の国際法違反のデタラメさ

さて18日、韓国政府が強制徴用賠償判決に関連した日本政府の仲裁委員会招集要求を、事実上、拒否しました。
仲裁委招集要求期間が18日付で満了しながら、 韓国政府の金報道官は「韓国政府は仲裁委員を選定したか」という質問に「慎重に取り扱っているという言葉以外に申し上げる言葉がない」と回答にもなっていないとぼけた答弁です。

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強制徴用仲裁委招集要求期間が満了…「事実上拒絶」した韓国外交部
2019年06月19日06時47分
https://japanese.joins.com/article/578/254578.html

28~29日に大阪で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が10日後に迫っていますが、韓国外交部はG20で日韓首脳会談を開催するよう水面下で日本政府に要請しているのですが、日本政府はこれに回答せず、首脳会談はもちろん、河野太郎外相と康京和(カン・ギョンファ)外交部長官と間の外相会談の日程さえ、韓国政府は発表できないでいます。

この韓国政府の事実上の拒否の動きを受けて、安倍晋三首相はG20首脳会議(サミット)に合わせた日韓首脳会談を見送る方針を固めます。

もともと、首相はサミットで議長役を担うため、個別会談を行う時間が制約されています、さらに参加・招待国(機関)は日韓を含め37にのぼるだけに、安倍首相がすべての個別会談に応じるのは物理的に難しく、外務省は優先順位をつける方針を示していたのです。

安倍首相はG20サミットに合わせ、米中露をはじめ14~15カ国の首脳と個別に会談する方向ですが、その中から韓国はリストから閉め出されたことになります。

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日韓首脳会談開催見送りへ 韓国側 仲裁委の委員選任せず
https://www.sankei.com/politics/news/190619/plt1906190006-n1.html

徴用工に関する対応をめぐり、政府は協定上の委員任命期限が過ぎた後も、韓国側に一定期間、仲裁委の開催を求め続ける方針です。

日韓請求権協定に基づく仲裁委員会の設置に向け日本側が求めていた委員の任命に韓国側が応じなかったことを受け、3人の委員全員の指名を第三国に委ねる協定上の次の手続きに移行することを韓国政府に通告しました。

ただ、この手続きにも韓国政府が応じない可能性が高いのですが、韓国が協定上の義務を果たさないことを内外に印象づける狙いもあります。それでも韓国側が仲裁委設置に応じない場合は、国際司法裁判所(ICJ)への提訴が既定路線となっています。

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徴用工訴訟、「第三国」の仲裁委手続きに移行 韓国政府に通告
https://www.sankei.com/politics/news/190619/plt1906190011-n1.html

さて、この期に及んで、韓国外交部(省に相当)は19日、強制徴用被害者に対する賠償を命じた大法院(最高裁に相当)判決との関連で、韓国・日本企業の自発的出資を財源として被害者に慰謝料を支払う案を日本側に提案したことを明らかにします。

「日本側がこうした案を受け入れる場合、日本政府が求める請求権協定第3条第1項の協議手続きの受け入れを検討する用意がある」という立場を日本政府へ伝えます。

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韓国外交部「韓日企業の出資を財源に徴用の慰謝料、日本側に提案」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/06/19/2019061980160.html

開いた口が塞がらないとはこのことです。

韓国政府は昨年末の大法院(最高裁判所)賠償判決後、首相の主宰により汎政府タスクフォース(TF=作業部会)を設置しましたが、7カ月以上たっても何の対策も打ち出せずに傍観してきました。

現政権は、日本との折衷案を見いだした前政権の対日外交を「積弊(長年の弊害)第1位」と罵倒(ばとう)しているだけに、強制徴用問題でも現実的な代案を見いだすのは難しかったのでしょう。

専門家らが今年初め、「両国企業の拠出金」案を出した時、韓国大統領府は「非常識な発想」だとして無視していたのです。

それを今になって韓国政府は主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)前に、否定していた「拠出金」案にたなびいたというわけです。

韓国政府は日本が受け入れないことを分かっていながら、批判や責任を避けようと提案したのは明白です。

もちろん日本政府は1時間で「国際法違反の是正にならない」とこの韓国政府提案を拒否いたします。

当然です。

日韓両国は請求権協定で戦後賠償に関する問題が「完全かつ最終的に解決されたこと」を確認してます。日本企業に賠償を命じた昨年10月以降の韓国最高裁の判決自体が協定に違反しているのです。

その判決を前提とした韓国側の提案は「二重に国際法違反」(外務省関係者)というのが日本政府の考えです。

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河野外相「国際法違反の是正にならない」 韓国政府提案拒否
https://www.sankei.com/politics/news/190619/plt1906190043-n1.html

韓国が水面下で要望しているG20サミットにおける日韓首脳会談も、日韓外相会談も、不開催でよろしいです。

日本としては既定路線通り粛々と韓国に通告をしてまいりましょう。

まず19日、日韓請求権協定に基づく仲裁委員会の設置に向け3人の委員全員の指名を第三国に委ねる協定上の次の手続きに移行することを韓国政府に通告しました。

この手続きにも韓国政府が応じない可能性が高いのですが、韓国が協定上の義務を果たさないことを内外に印象づけたうえで、韓国側が仲裁委設置に応じない場合、国際司法裁判所(ICJ)への提訴へと行動してまいりましょう。

二重に国際法違反をしているデタラメな韓国政府提案など、関わる必要はありません。

時間の無駄です。



(木走まさみず)