木走日記

場末の時事評論

野党に統計不正問題で安倍政権を批判する資格などない

 国民民主党の玉木氏や原口氏らが国会にて、厚労省の統計不正問題で「アベノミクスの偽装じゃないか」と安倍政権を批判しています。

(関連記事)

アベノミクスは偽装だ」 野党、賃金上昇の「幻」主張 統計不正で国会論戦
https://mainichi.jp/articles/20190205/mog/00m/010/004000c

 立憲民主党の枝野氏も統計不正問題で「臭いものにふたをするやり口」と安倍政権を批判しています。

(関連記事)

立民・枝野代表「臭いものに蓋…」 統計不正問題で政権批判
https://www.sankei.com/politics/news/190202/plt1902020016-n1.html

 ここ数日で厚生労働省の「統計不正問題」は、野党議員のみなさんにより厚労省による「統計偽装問題」へと意図的な「偽装」という単語に変化し、その統計偽装の目的は「アベノミクスの偽装」にあるのではないかと、見事に政権批判イシューへと昇華していったのであります。

 なぜ日本の野党はどんな問題でも「この世界で起きる問題は森羅万象すべて安倍信三の責任」とばかり、国民のために早急に解決すべき問題を「アベノミクスの偽装」などと安倍政権批判へと変質させてしまうのでしょうか。

 二つの点を指摘しておきます。

 一点目は本件は与野党協力して対処すべき問題であるということです。

 確かに厚生労働省の統計不正問題はひどいレベルです。

 徹底的に事実を究明し責任の所在を明らかにし早急な国民への差額返済を実施しなければなりません。

 それが政治の責任というものでしょう。

 これは与野党が一致して対処すべき問題です。

 野党はこの問題を低レベルの政権批判に利用すべきではありません。

 二点目は本件の責任問題で野党は安倍政権を追及する資格はない、ということです。

 ここも論理的に自明なことです。

 厚労省による統計不正はいつから始まったのか?

 厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」の不正問題で、少なくとも13年前には全国の労働局で不正な調査が行われ、本省の担当部署も把握していたと厚生労働省が明らかにしています。

 つまり厚生労働省の統計不正問題は少なくとも2004年頃からの話です。

 またNHKの独自取材によれば「数十年前から同様の手法で調査を行っていた」と複数の関係者が証言していますので、この不正問題、その発端はさらに時期をさかのぼることになる可能性は大でしょう。

(関連記事)

厚労省 13年前には不正調査を把握 公表などせず
2019年2月2日 5時17分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190202/k10011800561000.html

 時系列で考えただけでも「アベノミクスの偽装」などありえません。

 確かにときの政権である安倍政権にもこのような不正を見逃していた責任はあるでしょう。
 
 しかしだとすれば少なくとも2004年以降の歴代の政権にも、不正を見逃していた同等の責任があるはずです。

 民主党は2009年から2011年までは与党で民主党政権を築いていたではないですか。

 本件で安倍政権を批判している枝野氏も玉木氏も原口氏もみなさん元民主党議員ではないですか。

 民主党政権時代厚労省の統計不正問題を見過ごしてきた野党の議員たちに、この統計不正問題で安倍政権を批判する資格などないのです。

 繰り返します。

 この重大な問題は与野党一致して取り組むべき問題です。

 野党はくだらない政局にしてはいけません。

 そもそも野党に統計不正問題で安倍政権を批判する資格などありません。



(木走まさみず)