木走日記

場末の時事評論

野党や評論家が理解できない安倍政権の支持が下がらない簡単な理由

 さて、直近のNHK世論調査安倍内閣の支持41%が不支持41%と並びました。

(NHKニュース)

安倍内閣 支持41% 不支持41%(NHK世論調査

NHKは、今月3日から3日間、全国の18歳以上の男女を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。調査の対象となったのは2162人で、56%にあたる1205人から回答を得ました。

それによりますと、安倍内閣を「支持する」と答えた人は、先月の調査より3ポイント下がって41%でした。「支持しない」と答えた人も同じ41%で、先月より2ポイント上がりました。

支持する理由では、「他の内閣より良さそうだから」が50%、「実行力があるから」が17%、「支持する政党の内閣だから」が12%でした。

逆に支持しない理由では、「人柄が信頼できないから」が42%、「政策に期待が持てないから」が28%、「他の内閣の方が良さそうだから」が10%でした。

http://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/

 先月と比べると支持は3ポイント減、不支持は2ポイント増でありますが、まあまあの安定した数字であると申せましょう。

 安倍政権の支持率が安定しているこの現象は、一部評論家からは「理解しがたい」のだそうであります。

 例えば田原総一郎氏は「国民の声を無視する安倍政権、それでもなぜ支持率が下がらないのか?」と不思議がります。

田原総一朗
2018年08月03日 13:31
カジノ法案と参院定数6増法案で国民の声を無視する安倍政権、それでもなぜ支持率が下がらないのか?
http://blogos.com/article/315513/

 失礼してエントリーの結びから、抜粋。

それでも安倍内閣の支持率は、朝日新聞世論調査では38%、共同通信の調査でも43.4%だ。こんな状況でも、安倍内閣が、なおも支持率を維持していることが、僕には理解しがたいのである。

 田原氏には失礼ながら、安倍政権の支持率がなぜ下がらないのか、当ブログはよく理解できます。

 例えば自民党総裁選の各メディアの世論調査ですが、今回はひとつ大きな特徴があります。

 日本経済新聞社の6月世論調査を例として上げますが、総裁選の世論調査では、安倍首相が30%、2位は小泉進次郎筆頭副幹事長で26%、3位は石破茂元幹事長の20%となっています。

 そして特筆すべきなのは自民党支持層に限ると首相は52%で、20%の小泉氏らを引き離し一人で単独過半数の支持を占めていることです。

(参考記事)

次の総裁、首相30%で首位
2カ月ぶり、小泉氏・石破氏ら続く 政策期待「社会保障」43%
2018/6/25付日本経済新聞 朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO32173780U8A620C1PE8000/

 自民支持者の過半数を安倍支持が占める、この傾向は、例えば7月の朝日新聞の調査でも同じです。

 自民支持層で見ると、最多は安倍首相で54%。2位の石破氏19%を引き離しました。
(参考記事)

総裁選、安倍首相は盤石か 世論調査から浮かぶ不安材料
三輪さち子
2018年7月24日19時59分
https://www.asahi.com/articles/ASL7M5VCML7MUZPS001.html

 興味深いのは朝日調査によれば、この6年で自民支持層の支持率を安倍氏が石破氏を大きく逆転したことです。

 記事より。

 2012年の総裁選では、石破氏が地方票で安倍首相を上回ったものの、決選投票で国会議員票を集めた安倍首相が逆転。このときの同様の調査では、自民支持層で石破氏が27%と安倍首相の18%を上回っており、この6年間で安倍首相が逆転した形だ。

 もちろん自民支持層=自民党員という等式は成り立ちませんが、今度の自民党総裁選で安倍首相3選が「盤石」(朝日記事)と予想されるのは、国会議員票、党員票共にライバルを圧倒する大量票を得るだろうことです。

 ではなぜ、安倍政権は高い支持率なのでしょうか?

 安倍政権を批判する野党や一部メディアは、モリカケ問題やあるいは今国会での2つの重要法案、統合型リゾート(IR)法案いわゆるカジノ法案と、参院を6議席増加させる公職選挙法改正案の採決など、政権のすることをことごとく批判しますが、安倍政権支持層にはその批判は全く響いていません。

 モリもカケもたしかに安倍政権側に対応のまずさはあったことでしょう。

 たしかに、カジノ法案も公職選挙法改正案も強行採決はいただけません、もう少し議論をすべきだったと思います。

 しかし田原総一郎氏は「国民の声を無視する安倍政権、それでもなぜ支持率が下がらないのか?」「理解しがたい」と不思議がっていますが、安倍政権支持層の視点での分析がされていません。
 政権支持層は、モリもカケも強行採決もケシカランとは思ってはいても、そこに政策の優先順位を見出してはいません、表現は悪いですがすべて国家運営にとって小さなことなのです。
 例えば7月の産経世論調査では自民党支持層では、安倍政権の外交政策を72・1%が支持しておるのです。
(参考記事)

総裁選 自民支持層の安倍首相優位変わらず 石破氏の3倍、49%で圧倒
https://www.sankei.com/politics/news/180723/plt1807230031-n1.html

 記事より抜粋。

 自民党支持層では、安倍政権の外交政策を72・1%が支持しており、激変する北朝鮮情勢への対応など、首相の外交手腕への評価が堅調な支持率を支えているとみられる。

 自民党支持層が安倍政権を安定的に支持し続ける理由は、経済政策と共に、その外交政策にあります。

 この6年間の安倍外交を高く支持しているのです。

 安倍さんにかわりトランプ米大統領北朝鮮や中国に上手に対峙できる政治家を見いだせないのです。

 簡単な理由です。

 ところが、モリやカケや国会運営や安倍政権の批判ばかりしている野党や評論家には、どうやらこの簡単な自民支持者の安倍政権支持理由が見えないようなのです。

 興味深いことです。

 簡単な安倍政権の支持理由が理解できない(だから民意と乖離してしまうのかも)、野党や一部評論家なのでした。

 ふう。



(木走まさみず)