安倍政権は全面的に国会にて野党に協力すべき〜この対応が今後の安倍政権の分水嶺(ぶんすいれい)となりましょう
さて直近の時事通信の世論調査において、安倍内閣の支持率は前月比9.4ポイント減の39.3%と急落し不支持率は8.5ポイント増の40.4%となりました。
内閣支持急落39%=不支持5カ月ぶり逆転−森友文書改ざんが打撃・時事世論調査
時事通信が9〜12日に実施した3月の世論調査で、安倍内閣の支持率は前月比9.4ポイント減の39.3%と急落した。不支持率は8.5ポイント増の40.4%だった。支持が3割台だったのも、不支持が支持を上回ったのも、昨年10月以来5カ月ぶり。学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書改ざん問題が政権への打撃となったとみられる。
文書改ざんに反発する野党は、麻生太郎副総理兼財務相の辞任を迫るなど攻勢を強めており、政権は当面守勢を強いられることになる。安倍晋三首相が目指す憲法改正の国会論議や、今秋の自民党総裁選での首相の3選戦略に影響が及ぶのは必至だ。
内閣支持率を年代別に見ると、10〜40代で支持が不支持より高い一方、50代以上では不支持が軒並み上回り、高齢層での「安倍離れ」が目立った。男女別では、男性が支持42.1%、不支持40.7%、女性は支持36.3%、不支持40.2%だった。◇「信頼できない」急増
内閣を支持する理由(複数回答)は多い順に「他に適当な人がいない」19.4%、「首相を信頼する」8.8%、「リーダーシップがある」8.3%。一方、支持しない理由は、「首相を信頼できない」が8.8ポイント増の25.2%と最多で、「期待が持てない」17.3%、「政策が駄目」14.1%などが続いた。政党支持率は、自民党が3.3ポイント減の25.2%、立憲民主党は1.1ポイント増の5.3%。公明党2.9%、共産党2.6%、民進党1.2%、希望の党0.5%などとなった。支持政党なしは58.3%だった。
財務省文書の改ざん当時に理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官を国会に招致して説明を求めるべきかを聞いたところ、「求めるべきだ」が66.3%で「必要ない」21.7%を大きく上回った。(2018/03/16-15:07)
さて朝日新聞がしかけたモリにしてもカケにしても、かたや首相の夫人かたや首相の友人が絡んだ学校法人の設立がらみで役人による「忖度」がらみの疑惑問題でありまして、例えばロッキードのような過去の大収賄事件と比較してもどう考えても倒閣につながるような大きな事件にはなりようがなく、国会で野党が一年以上騒いでも何一つ安倍内閣に繋がる疑惑は出てこない有様なのではあります。
失礼ながらモリにおいては首相夫人の行動の軽率さ、カケにおいては首相友人の沈黙ぶり、国会にての安倍総理の「関わっていたなら総理大臣も国会議員も辞める」発言といい、火に油をそそいでどうします、『李下に冠を正さず』であります、いやはや安倍総理周辺に慢心はなかったか、危機管理が甘すぎたといえましょうや。
モリカケにおいては首相としてはあまりにも脇が甘く反省していただきたく事案ではあれど、さにありながらこれで倒閣などにつながるようなだいそれた筋でもないのもまた明らかなわけでありました。
しかしながらこたびの財務省による公文書「書き換え」問題は、上記時事通信世論調査にもあるように、高齢層での「安倍離れ」が顕著であります。
高齢層すなわち、主に紙の新聞とテレビといった旧メディアからの報道に影響を受ける情報弱者層から、
「安倍離れ」が進行していることは警戒すべきでありましょう。
メディアによる「公文書書き換えは民主主義の危機」「民主主義の根幹が壊れる」といった報道はジワリと浸透していると見てよいでしょう。
例えばこの朝日新聞社説のような論調です。
(社説)財務省の文書改ざん 民主主義の根幹が壊れる
2018年3月13日05時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S13399523.html
公文書の改ざんは、幾重もの意味で、民主主義の根幹を掘り崩す行為である。
問われているのは安倍政権のあり方そのものであり、真相の徹底解明が不可欠だ。
財務省の行為を安倍政権の責任であると結びつけ安倍政権を糾弾しています。
■「安倍1強」のひずみ
財務省のふるまいは「全体の奉仕者」としての使命を忘れ、国民に背くものだ。
それは、5年余に及ぶ「安倍1強政治」が生んだおごりや緩みと、無縁ではあるまい。
・・・
安倍政権の今後の対応次第ではさらなる支持率の低落も有りうるでしょう。
気になるのは与党内からも保守派論客の一部からも「公文書書き換え問題は今までとは次元が違う」といった論調が台頭しており、それが次期首相がらみの安倍降ろしの政局とも連動し自民党内部で何やらきな臭い政争の胎動が感じられ始めてきた点です。
日本は、北朝鮮核危機という国難に直面しています。そのときに政権が国民の信頼を失うことが、いかに政策遂行の妨げとなるか、現に憲法改正の発議への動きは停滞してしまいました。
安倍首相には、重大な失政と認識して対処してもらいたいです。
まずモリとカケ本体の問題と今回の公文書書き換え問題は明確に分けて対処すべきです。
モリとカケ本体の問題は大したことはありません、何年かけて野党が追求しても無駄でしょうから放置しておけばよろしいでしょう。
しかし今回の公文書書き換え問題は真摯に対応すべきです。
これ以上の隠し事が発覚すれば世論はさらに悪化、支持率の低迷は政権の危機に発展する可能性があります。
私は安倍政権が倒れるとすれば、それはへなちょこでひ弱な野党の追求によるものではなく、支持率の低迷とともに与党内の「安倍降ろし」の動きが水面下から浮上し公然と化した時だと考えています。
なぜなら、安倍晋三に変わる政権を野党にゆだねようなどと考えている国民は少数派でありましょう、現段階でも多くの国民は安倍首相を支持しているわけです。
従ってこの問題で安倍政権が対応を誤り国民の支持を失ったとしたときも、自民党内でポスト安倍の政治家が見えてこなければ、世論は安倍政権を消極的にでしろ支持続けることでしょう、代わりがいないのですもの。
だから政権が倒れるとすれば、可能性があるのは、安倍政権が今後の国会対応を誤り、世論がさらに悪化、与党内から「安倍降ろし」の動きが公然化する、このようなシナリオでありましょう。
現在39%の政権支持率が30%を割り込むとすれば黄色信号であります。
いきなりは有り得ないでしょうがもしも20%を割り込めば、赤信号、アウトです。
かつて当ブログで戦後歴代内閣の支持率を徹底的に調べましたが、支持率20%を割った政権はことごとく倒れています、未読の読者はお時間あればご一読あれ。
2015-07-27 世論調査の法則『支持率20%は日本の政権のイベント・ホライゾン』
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20150727
このエントリーで過去55年この国の26の政権についてその内閣支持率について検証いたしました。
結果、任期中に死去された小渕政権を例外とすれば次の事実が成立します。
1.一度20%割れした政権は余命1年ない。
2.一度20%割れした政権は、その後末期までの期間に差はあるものの、ころがる石のように支持率は低下していき、最後最低支持率を記録して末期を迎える。
・・・
まとめます。
当ブログは、安倍政権には是非憲法改正発議まで国会を進めていただきたいと強く願っています。
『不磨の大典』と化してしまった戦後憲法を是非国会において改正発議までもっていっていただきたいのです。
結果、国民投票で改正案が否定されたとしてもそれは国民の意思です、良しと考えます。
とにかく憲法改正に対する国民の心理的ハードルを下げたい、普通の国のように憲法が改正されることを当たり前のことにしていただきたいと考えます。
もしこの安倍政権で憲法改正発議まで国会を進めることができないのなら、残念ながら私たちの世代では二度と憲法改正発議はできないことでしょう、安倍政権以上の保守安定政権が登場するのはいつになるのか、まったくわかりませんもの。
ならば、今回の危機の対応を誤ってはいけません。
今回の公文書書き換え問題は真摯に対応すべきです。
全面的に国会にて野党に協力すべきです。
ここで証人喚問を拒むなどの小さな抵抗をすべきではありません。
夫人を含め必要ならば積極的に誰でも呼ぶべきです。
また結果によっては財務省など解体しても構わないでしょう。
繰り返します。
安倍首相には、本件は重大な失政と認識して対処してもらいたいです。
この対応が今後の安倍政権の分水嶺(ぶんすいれい)となりましょう。
安倍政権には史上初めての憲法改正発議という大きな役割があるのです。
(木走まさみず)