木走日記

場末の時事評論

「安倍政権がよって立つ「時間軸」は、極めて短い」(朝日社説)だと?〜朝日新聞よ!正月早々インチキ・デタラメを根拠にするな!

 さて、平成30年(2018年)の始まりであります。

 まずは元旦の朝日新聞社説を取り上げてみたいと思います。

 ちなみにここ数年産経は元旦社説を紙面構成上はなくして一面に論説委員の年のはじめ論説を載せていますが、実質これが社説扱いでありますが、参考までに各紙元旦社説。

【朝日社説】来たるべき民主主義 より長い時間軸の政治を
https://www.asahi.com/articles/DA3S13297256.html?ref=opinion
【読売社説】緊張を安定に導く対北戦略を
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20171231-OYT1T50070.html
【毎日社説】論始め2018 国民国家の揺らぎ 初めから同質の国はない
https://mainichi.jp/articles/20180101/ddm/003/070/095000c
【産経社説】年のはじめに 論説委員長・石井聡 繁栄守る道を自ら進もう
http://www.sankei.com/column/news/180101/clm1801010005-n1.html
【日経社説】順風の年こそ難題を片付けよう
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO25276450R31C17A2PE8000/

 まあ元旦の各紙社説はご存知のとおり普段二本の社説を張り切って一本にまとめた力作が並びます。

 それぞれ字数だけは膨らんでいまして5紙すべての社説を読み解くのは一苦労、私のような読むのが遅い者にとってはけっこう時間が掛かります。

 さらに読んだだけ無駄(失礼?)という内容も正月早々どことはいいませんがあったりして、当ブログのように寝正月を決め込んで時間を持て余している読者には是非5紙の社説をじっくり読み込んでいただくとして、ここでは正月早々ですが朝日新聞社説を取り上げたいのです。

【朝日社説】来たるべき民主主義 より長い時間軸の政治を
https://www.asahi.com/articles/DA3S13297256.html?ref=opinion

 社説は冒頭から安倍長期政権に対して「政策を着実に積み上げてきただろうか」と批判的問いかけから始まります。

 そしていいや、安倍政権は「正面から取り組んだとはいえまい」「迷走してきた感が深い」とその能力を批判します。

 現在の安倍政権になって6回目の新年を迎えた。近年まれな長期政権である。

 しかし、与えられた豊富な時間を大切に使い、政策を着実に積み上げてきただろうか。

 正味5年の在任で、例えば、社会保障と税という痛みを伴う難題に正面から取り組んだとはいえまい。持論の憲法改正も、狙いを定める条項が次々変わり、迷走してきた感が深い。

 でその原因のひとつが、安倍政権は選挙しすぎと噛み付きます、「誠に慌ただしい」と。

 原因の一つは、国政選挙を実に頻繁に行ったことにある。

 ■場当たり的政権運営

 政権を奪還した2012年12月の衆院選まで含めて数えると合計5回。ほぼ年に1回の勘定だ。3年に一度の参院選が2回あり、14年と昨年はいずれも強引な衆院解散に打って出た。

 選挙に向け、政策の看板も次から次へと掛け替えてきた。

 誠に慌ただしい。

 長期政権にもかかわらず、なのか、長期政権を狙ったがゆえに、なのか。皮肉なことに、安倍政権がよって立つ「時間軸」は、極めて短いのである。

 うーむ、つまり社説タイトル「来たるべき民主主義 より長い時間軸の政治を」とは、安倍政権への批判なのですね、

 「長期政権にもかかわらず、なのか、長期政権を狙ったがゆえに、なのか。皮肉なことに、安倍政権がよって立つ「時間軸」は、極めて短い」ですと。

 今回はここに着目したいのです。

 正月早々安倍政権を批判している朝日新聞なのですが、安倍政権は本当に朝日新聞の指摘通り「安倍政権がよって立つ「時間軸」は、極めて短い」といわれるほど「国政選挙を実に頻繁に行った」のでしょうか?

 ここは統計的科学的に事実を持って徹底検証しましょう。

 もう一度朝日社説より。

 政権を奪還した2012年12月の衆院選まで含めて数えると合計5回。ほぼ年に1回の勘定だ。3年に一度の参院選が2回あり、14年と昨年はいずれも強引な衆院解散に打って出た。

 うーん、ここには2つの朝日新聞のインチキ、トリックが含まれています。

 まず憲法で定められた「3年に一度の参院選が2回」は比較対照にすべきでありません、こんなものカウントするな、少なくとも安倍政権の「意思」に反映すべきではありません。

 よって残された衆議院3回が5年の任期で戦後のほかの政権と比較して多いのか検討すべきです。

 でもう一つのインチキは「政権を奪還した2012年12月の衆院選まで含めて数え」るのはでたらめでしょう、これ民主党野田政権のもとでの解散選挙じゃないですか。

 そうなると純粋に安倍政権の「意思」でしかけた選挙は、任期期間5年で2回の衆議院選挙です。

 さて衆議院公式サイトで戦後の衆議院選挙について一覧を確認します。

衆議院議員総選挙一覧表

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/senkyolist.htm

 新憲法のもとでは、第24回(昭 24. 1.23)から、昨年の第48回(平 29.10.22)まで、69年(1949〜2017)で25回であります。

 つまり新憲法配下の選挙は、69年に25回、これは2.76年で1回の割合です。

 一方安倍政権は5年に2回、つまり2.5年に1回の割合です。

 ごらんのとおり、ほぼ同じであり、少なくとも朝日の評価「実に頻繁」とか「誠に慌ただしい」とかは全く事実に基づかない印象操作、でたらめであることがわかります。

 さらに今年は総選挙はまずないはずですから、今年を含めれば安倍政権は6年で2回となり、これは3年に1回の割合ですから、戦後の平均より総選挙の期間は長くなる計算になります。

 はあ。

 つまりです。

 正月早々安倍政権を批判している朝日新聞なのですが、安倍政権は本当に朝日新聞の指摘通り「安倍政権がよって立つ「時間軸」は、極めて短い」といわれるほど「国政選挙を実に頻繁に行った」のでしょうか?
 朝日新聞が指摘した安倍政権が「国政選挙を実に頻繁に行ったこと」は、今検証したとおり、まったく統計的事実に反しております、ただのインチキ・デタラメなのです。
 朝日社説は、事実を曲げて読者に印象操作しているのです、嘘を伝えているのです、正月早々プチ捏造社説を掲げたのであります。

 「安倍政権がよって立つ「時間軸」は、極めて短い」(朝日社説)

 朝日新聞よ。

 元旦早々社説でプチ嘘をつくのはやめなさいって。

 読者のみなさん、いかが思いますか?

 ふう。

 ・・

 ・・

 読者へ。

 あけましておめでとうございます。

 本年もマイペースで場末で時事問題を取り上げていきたいと存じますので、当『木走日記』にほどほどにお付き合いいただければ幸いであります。



(木走まさみず)