木走日記

場末の時事評論

「国会でまともな論戦を実現するのは安倍の責任、野党は不問」(朝日社説)だと?〜中央日報よりひどい朝日新聞の「ガラパゴス社説」を憂う

 10月31日付け韓国中央日報のコラムが興味深いです。

【グローバルアイ】「自民党の圧勝、これは実話か」
2017年10月31日10時13分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/939/234939.html?servcode=100§code=140

 韓国の政界は激動していますが、日本では自民党がまた圧勝して「日本ではなぜ変化が起こらないのか」をテーマにしたコラムなのです。

 で、結論部分。

立憲民主党の前身の民主党は2009年から3年間に3人の首相が交代し、アマチュア政治を余すところなく見せた。経験が不足している状況で政権を握ったため実力がなかった。その後は機会をつかめず実力をつけられない悪循環の中に置かれたのが日本の野党の現実だ。

変えたくても代案がない国民はほとんど自暴自棄状態と変わらない。53.8%の歴代2番目に低い投票率、「支持政党なし」 という正体不明の政治団体に12万票以上が集まるのを見ると、政治に対する日本国民の関心がどれほど遠ざかっているかが分かる。

 普段は韓国のメディア記事にはその偏向性を批判することが多いのですが、この分析は的を射ていると思いました。

 そうです、日本は、日本人はまさに「2009年から3年間に3人の首相が交代し、アマチュア政治を余すところなく見せ」つけられたのであります。

 現在安倍政権は国政選挙5連勝となっておりますが、これはまさに頼りになる野党がいない、つまり「変えたくても代案がない」状態といっていいでしょう。

 まずもって、韓国メディアにすら指摘されるような野党の惨状こそが、現在の日本の政界の荒廃している元凶なのであります。
 ここをしっかり押さえなければ朝日新聞社説のような頓珍漢な論説になってしまうのであります。

 2日付け朝日新聞社説です。

(社説)安倍新内閣 謙虚というなら行動で
http://www.asahi.com/articles/DA3S13209572.html?ref=editorial_backnumber

 おもしろい日本語が語られています、自民が勝ったのであって首相は勝っていないと言いたげです。

 衆院選自民党は大勝した。来秋の党総裁選で首相が3選すれば、憲政史上最長の首相在任も視野に入る。だが、首相に向けられる国民の目は厳しい。

 国民の支持があったから「衆院選自民党は大勝した」のだし、「来秋の党総裁選で首相が3選すれば、憲政史上最長の首相在任も視野に入る」長期政権も国民の支持の賜物だと思いますが、朝日社説はそれでも「首相に向けられる国民の目は厳しい」と断じています。

 朝日の世論調査自民党は支持されていても安倍さんは支持されていないと数字を列挙します。

 衆院選直後の本紙の世論調査で、安倍首相に今後も首相を「続けてほしい」は37%、「そうは思わない」は47%。

 自民党大勝の理由については「首相の政策が評価されたから」が26%、「そうは思わない」が65%。首相が進める政策に対しては「期待の方が大きい」の29%に対し、「不安の方が大きい」は54%だった。

 いま首相がなすことは「謙虚」を、具体的な行動で示すことだと主張します。

 だがいま、首相がなすべきことはそんなことではない。国民に約束した「謙虚」を、具体的な行動で示すことである。

 国会での野党との議論に、真正面から臨む。当たり前のことが第一歩になる。

 質問をはぐらかしたり、自らの言い分を一方的に主張したりするのはもうやめる。

 最後は多数決で結論を出すにしても、少数派の意見にも丁寧に耳を傾け、合意を探るプロセスを大事にする。

 特別国会で論じるべきは森友・加計問題だけではない。自ら「国難」と強調した北朝鮮情勢や少子化問題についても、十分な議論が欠かせない。

 で、社説の結びは「国会でまともな論戦を実現する」のが、あるべき「首相の姿勢」であるとしています。

 国会でまともな論戦を実現する。首相の姿勢が問われる新内閣の船出である。

 いやはや、おそろしいほどの近視眼論説というしかありません。

 一歩譲って、確かに安倍さんが「謙虚」に行動する必要を認めたとしてもです。

 野党はどうなのだ?

 「国会でまともな論戦を実現する」には、一にも二にもまず野党も変わらなければなりませんでしょう。

 モリカエモリカケなどの不毛な揚げ足取りをやめて、建設的な議論を展開すべきです。

 もう国民は政策実現能力のない野党、そしてただただ安倍政権打倒のための足の引っ張り議論に執着する野党にうんざりしているのです。

 でなければ選挙で野党5連敗(しかもすべて大敗)などありえんでしょう?

 まず野党から変わらなければ、「国会でまともな論戦を実現する」など不可能であります。

 韓国メディアにすら「民主党は2009年から3年間に3人の首相が交代し、アマチュア政治を余すところなく見せ」つけたと、その無能さを喝破されているのに、何の反省もなく、ただただ与党批判を繰り返しては国民の支持を得ることなどできようはずもありません。

 「国会でまともな論戦を実現する」には、まずなにより健全な野党が必要なのです。

 日本の朝日新聞より韓国の中央日報のほうが日本の国会の惨状を正しく評価しているわけです。

 しかし朝日新聞は罪が重い。

 モリカエモリカケなどの不毛な揚げ足取りを繰り返す野党の不健全さを不問にして安倍首相だけを批判する。

 日本の野党が不健全なのは韓国メディアさえ喝破しているというのにです。

 朝日社説は、「国会でまともな論戦を実現する」のは、まるですべて与党の責任であるかのような、化石のような腐った論理です。

 このような一方的な論理が、実は野党をだめにしていることになぜ気がつかない?
 
 朝日のような野党に甘いメディアがあるから、日本の野党は絶対護憲など「ガラパゴス左派」のまま生き残っているのでしょう。

 日本の議会にとって極めて残念なことです。

 その意味で朝日の「ガラパゴス社説」の大罪、万死に値します。 

 ふう。



(木走まさみず)