木走日記

場末の時事評論

管政権もやる限りは短期ではなく本格政権を目指すべき~安倍政権の在任期間「7年8ヶ月」は、国際的には決して長期ではない

さて、菅新総裁選出を受けて、15日付け朝日社説はさっそく社説を掲げます。

(社説)菅新総裁選出 総括なき圧勝の危うさ
2020年9月15日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S14621933.html?iref=pc_rensai_long_16_article

(安倍)「長期政権の総括」がない、つまり安倍政権の「おごり」に対する反省が足らないとさっそく管新政権に注文をつけています。

 安倍首相の突然の辞意表明を受け、公式に名乗りをあげてからわずか10日余り。7年8カ月に及ぶ長期政権の総括も、この国の将来像をめぐる政策論争も不十分なまま、菅義偉官房長官が次の首相となる自民党の新総裁に決まった。

ここ一か月、朝日新聞社説は何度も繰り返し安倍「長期政権のおごり」を批判してまいりました。

朝日社説を列挙すると・・・

 巨大与党に支えられた長期政権のおごりや緩みは明らかで、一向に自浄作用は働かない。論戦回避、国会軽視も相変わらずで、憲法に基づく臨時国会の召集要求もたなざらしが続く。コロナ対応を含め、政策面での迷走や行き詰まりも目立つ。

(社説)野党の合流 「元のさや」超える姿を より
2020年8月21日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S14593331.html?iref=pc_ss_date

 退陣の直接の理由は、わずか1年で政権投げ出しと批判された第1次政権の時と同じ持病である。しかし、長期政権のおごりや緩みから、政治的にも、政策的にも行き詰まり、民心が離れつつあったのも事実である。

(社説)最長政権 突然の幕へ 「安倍政治」の弊害 清算の時 より
2020年8月29日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S14602533.html?iref=pc_ss_date

 首相にまつわる疑惑にふたをする一連の対応は、長期政権の「おごり」そのものだ。
 とりわけ、前代未聞の公文書改ざんは、政治史に負の遺産として刻まれる。

(社説)森友・加計・桜 説明なき退陣ありえぬ より
2020年9月4日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S14609539.html?iref=pc_ss_date

 期せずして、7年8カ月に及んだ安倍政権の終わりと重なった。「弱い野党」の存在が、国会の行政監視機能の低下を招き、長期政権のおごりや緩みを許した側面は否定できない。次の首相が誰になるにせよ、政治に緊張感を取り戻すうえで、野党第1党の役割は大きい。

(社説)野党合流新党 なれるか国民の選択 より
2020年9月11日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S14618195.html?iref=pc_ss_date

朝日新聞は安倍「長期政権のおごりや緩み」をやたらと強調して批判しているわけですが、それほど「おごりや緩み」が目立つのならば、なぜ辞意表明した瞬間、世論調査で7割を超える国民が安倍政権を評価しているのでしょうか。

(関連記事)
安倍政権を「評価する」が71% 朝日新聞世論調査
https://www.asahi.com/articles/ASN937F3RN92UZPS005.html

朝日新聞世論調査でも安倍政権の評価する政策を選んでもらうと、「外交・安全保障」の30%が最も多かったわけです。

安倍外交が国際的にも評価されているのは、政治家安倍晋三の持って生まれた外交力によるところなのは言うまでもないことですが、やはり7年8ヶ月の在任期間により、国際政治上のその存在感が増していったことが大きいのでしょう。

他の総理大臣を見ても、安倍さんほどに国際社会の中で日本の立ち位置を強くした方はいません。

サミットG7などをみても、日本の首相はほぼその立ち位置は国際社会で孤立しており、その存在感は極めて希薄でありました、国際社会で日本の存在感がなかなか見えない時代が長かったのです。

サミットでも日本の首相は1年か2年でコロコロ変わりますから、発言の重みもないし、そもそも顔すら覚えてもらえなかったのです。

安倍さんはそれを見事に克服して、日本の存在感を出し、孤立どころか国際社会が日本の意見を聞いたり日本の動向を考えるようになりました。このようなことをできる政治家がほかにいるだろうか、と多くの人が考えたと思います。

「7年8ヶ月」を朝日新聞や野党は「長期政権」と否定的なニュアンスでとらえようと必死ですが、そもそも国際比較で言えば、「7年8ヶ月」など決して長期とはいえません。

サミットG7が1975年以来45回開かれています。

各国の参加首相を一覧で確認します(ゲスト参加とロシアを省きます)

f:id:kibashiri:20200915090235p:plain
※『木走日記』作成

字が小さく見づらいかもしれませんが、この45年間のサミット参加首脳人数ですが、左から仏6人、米8人、英9人、独4人に対し、日本は20人と突出しております。伊18人、加8人と続きます。

仏や米などの任期が固定の大統領ではなく、日本と同じ首相が参加しているドイツは45年間で4人だけです、日本がその間20人も入れ替わっているのにです。

この45年の各国首脳一人当たりのサミット参加回数を計算すれば、日本の首相の参加回数の少なさが突出していることがわかります。

f:id:kibashiri:20200915090455p:plain
※『木走日記』作成

昨年まで7回連続でサミットに参加してきた安倍晋三首相なのであります。

たかだか「7年8ヶ月」を朝日新聞や野党は安倍政権を「長期政権のおごり」と否定的なニュアンスでその在任期間を批判していますが、逆に日本の歴代総理大臣の在任期間が短すぎて国際的には相手にされてこなかった点は重要です。

民主党の鳩山政権などは1年持たず瓦解、サミットに1回も参加していません、国際的には存在していないも同然でした(鳩山政権の場合、サミットデビューしなくて結果的に日本の国益が逆に守れたと私は考えていますが・・・)。

朝日新聞の安倍政権批判はいつもある種の視野狭窄に陥っているのではないかと疑ってしまいます。

安倍政権の在任期間「7年8ヶ月」は、国際的には決して長期ではないと思われます。

管政権もやる限りは短期ではなく本格政権を目指すべきです。



(木走まさみず)