大宮風俗店火災NHK「実名」記事、削除するも「後の祭り」だ〜ネットが有する情報のトレーサビリティ(追跡可能性)をあなどるマスメディア
うーん、どうなのでしょうか、被害者の実名報道であります。
NHK・産経「実名」、朝日などは「匿名」 大宮風俗店火災、メディアの対応分かれる
https://www.j-cast.com/2017/12/20317154.html?p=all
これねえ、店員とおぼしき20代の女性2人と客とおぼしき40代の男性1名なのですが、NHKなど一部メディアが実名報道してしまったわけです。
NHKは当該記事をネット上からすでに削除しましたが、いやもう3名の実名はネット上で広まってしまいました。
テレビ報道では、NHK「首都圏ネットワーク」とTBS系「Nスタ」などが、新聞紙面では産経新聞が、ネットニュースではやはりNHKニュースなどが実名報道いたしました。
19日付けのNHKの該当記事は削除(リンク切れ)されましたが、こちらで再掲いたしましょう。
なお、個人情報(住所・氏名・年齢)は当ブログの判断で伏字としました。
埼玉ビル火災 死亡した3人の身元判明
17日、さいたま市のビルが全焼し4人が死亡した火事で、このうち3人は、店舗の従業員の女性2人と、会社員の男性とわかりました。
警察は、残る男性1人の身元の確認を進めるとともに、建物の2階にあるごみ置き場が火元とみて、出火原因を詳しく調べています。
17日、さいたま市大宮区にある3階建てのビルが全焼し、男女4人が死亡したほか、女性1人が意識不明の重体になり、男女7人がけがをしました。
警察が死亡した4人について確認を進めたところ、このうち3人の身元がわかりました。
警察によりますと、死亡したのは、このビルに入っている店舗の従業員で、埼玉県●●市の●●●さん(●●)と、東京・●●区の●●●●さん(●●)、それに、●●●●市●区の会社員●●●●さん(●●)だということです。
警察と消防のこれまでの調べで、焼け方から建物の2階にあるごみ置き場が火元とみられ、警察は、残る男性1人の身元の確認を進めるとともに、出火原因や火が燃え広がった状況などを詳しく調べています。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20171219/k10011264391000.html
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日本では建前上売春は違法行為でありますが、今回の火災現場がソープランドであったことを考えますとき、このNHKなどの今回の被害者実名報道ですが、これは厳しいなあ、ご遺族のお立場・心情を考えると、はたしてここまで報じる必要性はあったのだろうか、と憂えるわけです。
確かに、メディアには国民に真実を報じる責務があるわけで、事件報道での加害者・被害者の実名報道もそれが人権侵害等の問題が生じない限り報道するという原則は理解します。
しかしなあ、今回な場合、事件といっても犯罪ではなく火災でありますし、しかも加害者ではなく”被害者”なわけですよね。
「武士の情け」はなかったのかなあ。
NHK、TBS、産経新聞ともに、その後の続報では被害者の実名報道は止めた模様です。
ネット上の記事も全て削除したようです。
おそらく市民から相当の批判の声を受けたのでしょう。
しかしなあ。
マスメディアはネットというメディアの特性を理解しなければいけません。
一度公開されたデータは不特定多数ユーザーによってほぼ間違いなくデータ保存されてしまうのです。
一時保存された記事データの多くはそのまま捨て置かれましょうが、例えば今回のNHKのようにクレームを受けて元記事を削除したりした場合、その削除された記事データの価値は高まります、そうするとネット上で復活いたします。
当ブログが削除されたNHK記事を再掲したのは、その記事に読者に紹介する価値があると判断したからですが、このように個人サイトでもマスメディアが削除した記事を見つけることは、簡単なことです。
ネット上にいったん揚げたならば、その段階で取り返しはつかないのです。
後で削除するぐらいならば、記事をネットに公開する前に、十分に検討すべきでしょう。
トレーサビリティは、物品の流通経路を生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡が可能な状態をいいます。日本語では追跡可能性(ついせきかのうせい)とも言われます。
ネットが有する情報のトレーサビリティ(追跡可能性)、その高い能力をマスメディアはあなどってはいけません。
読者のみなさんは、この問題いかがお考えでしょうか。
(木走まさみず)