木走日記

場末の時事評論

三日間の練習も効果なし、ついに毎日新聞にまで退陣要求された海江田氏の政界「四面楚歌」

 うーん、民主党海江田万里代表の11日の国会内党首討論がすこぶる評判がよろしくないのであります。

 12日付け朝日新聞記事から。

党首討論の海江田氏、集団的自衛権行使の是非踏み込めず

安倍龍太郎、松村愛2014年6月12日04時21分

 安倍晋三首相との3回目の党首討論に挑んだ民主党海江田万里代表。党内で強まる代表交代論を意識して、この論戦に勝負を賭けた。今国会中に集団的自衛権の行使容認に踏み込もうとする首相を「拙速だ」と攻めたものの、党内で賛否が割れる行使の是非にはとうとう踏み込めなかった。

 「自衛隊員が血を流すことがあることは明らかだと、総理の口からおっしゃっていただきたい」「どうして憲法改正の手続きは必要ない、とお考えなのか」

 海江田氏は26分の持ち時間すべてを集団的自衛権の質問に充てた。意識したのは眼前の安倍首相だけではなく、背後からの身内の視線だった。党内の保守・リベラル双方から態度を明確にするよう迫られ、是非は明言しづらい。といって、論戦が不発に終われば、「海江田降ろし」が勢いを増しかねない。

 そんな党内事情を抱えて臨んだ党首討論だったが、首相は終始正面から答えず、党内の厳しい評価を覆すには至らなかった。閣僚経験者は「大きな流れは変わらない」と冷ややかだ。11日夜には、来年秋までの任期を前倒しして代表選を行うよう求める中堅・若手議員が会合を開いた。会期末に近い20日の両院議員総会で、海江田氏を突き上げようという動きもある。

(後略)

http://digital.asahi.com/articles/ASG6C6DFPG6CUTFK00V.html

 集団的自衛権などでアンチ安倍政権を鮮明にしている朝日新聞ですら、「党内で賛否が割れる行使の是非にはとうとう踏み込めなかった」、「党内の厳しい評価を覆すには至らなかった」と散々な評価であります。

 で、12日付け各紙社説は海江田批判でメディアスクラム状態です。

【朝日社説】党首討論―論争なき抜け殻の府
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
【読売社説】党首討論 民主は平和確保の具体策示せ
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20140611-OYT1T50206.html
【毎日社説】党首討論 足元をみられた民主
http://mainichi.jp/opinion/news/20140612k0000m070132000c.html
【産経社説】党首討論と民主 いまだに安保語れぬのか
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140612/plc14061203230013-n2.htm
【日経社説】こんな党首討論では情けない
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO72607840S4A610C1EA1000/

 普段はアンチ安倍政権の論陣を張る朝日新聞毎日新聞ですら、海江田氏にはご不満のようです。

 野党第1党の党首として、安倍首相に何とか切り込みたい。民主党の海江田代表のそんな意気込みは、空回りに終わったとしかいいようがない。(朝日社説)

 海江田氏も、安全保障の法整備の必要性は認めたが、具体策は示さなかった。民主党内では、行使容認を巡って賛否両論があり、統一見解がまとまっていない。(読売社説)

 海江田氏が突いたポイント自体は重要だが、民主党内で行使の是非をめぐる見解が固まっていないことが迫力を決定的にそいだ。(毎日社説)

 今国会で最初で最後の党首討論は、集団的自衛権をめぐる議論が焦点となったが、安倍晋三首相と民主党海江田万里代表との討論が深まらなかったのは残念だ。その大きな責任は、海江田氏にある。(産経社説)

 一番の原因は野党第1党の民主党がやる気に欠けるからだ。高支持率を維持する安倍晋三首相と党内で党首降ろしの動きがある海江田万里代表に勢いの差があるのは明らかだが、論戦を避けていては反転攻勢の芽も生まれまい。(日経社説)

 なかでも興味深いのは、普段は安倍政権のすすめる集団的自衛権解釈変更に強硬に反対している毎日新聞の「お怒り」モードです、海江田氏の討論内容の不甲斐なさによほど腹を据えかねたのでしょうか、「海江田氏が野党第1党の党首としてふさわしいかどうかは、やはり厳しく吟味されなければなるまい」と「海江田降ろし」にまで言及しています。

 相変わらずの内紛体質とはいえ、安倍内閣に立ち向かう野党のあり方が問われる中、海江田氏が野党第1党の党首としてふさわしいかどうかは、やはり厳しく吟味されなければなるまい。(毎日社説)

 うむ、他党や一部自党議員のみならず、メディアスクラム状態で頼みの朝日や毎日にも突き放されては、あわれ、海江田代表、彼の好きな漢詩で表わせば文字通り「四面楚歌」な孤立状態なのであります。

 そう言えば、昨年10月ですか、海江田代表は自身の「フェイスブック」に「四面楚歌(しめんそか)」と書き込み、少なからずの失笑を買っていたのでありますね。

 当時の当ブログより抜粋。

(前略)

 うーん、漢詩に詳しい民主党の海江田代表が、自身の「フェイスブック」に「四面楚歌(しめんそか)」と書き込み、その正しい意味は、四方を敵に囲まれることではなく、「味方がすべて敵に回ってしまったこと」だと説明しているのだそうです。

 なんだかなあ、落ち目の民主党の代表がネットで「四面楚歌」と書き込む、ため息が出そうです、モノノアワレを感じてしまいます。

 海江田さんはかりにも公党の代表です、リーダーがこんな弱気でどうするんでしょう。

 以前、国会で答弁中に泣き出すという醜態(失礼?)を晒した時から、個人的にはこの方は指導者には向いていない、性格が優しすぎる、と感じていました。

 リーダーというものは善し悪しは別にして、「唯我独尊」でワンマンのような強いキャラクターがときに必要であり、そうでないと組織をたくましく引張ていく行動力を発揮することはできないと思うわけです。

 どういう意図か存じませんが、ネットで「四面楚歌」と書き込んで解説しているようでは、失礼ながらリーダーとしては頼りなさすぎです。

 ・・・

(後略)

2013-10-23 「四面楚歌」な代表とか「唯我独尊」な代表とか  より
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20131023

 ・・・

 海江田氏が真面目なのは認めましょう。

 これほど不評の党首討論ですが、下記読売暴露記事によれば、海江田氏は党首討論「今国会の集大成」と位置づけ、外部の専門家も入れて事前の練習に3日間費やしたのだというのです。

練習3日間…海江田氏の党首討論、党内から不満
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140612-OYT1T50018.html

 「外部の専門家も入れて事前の練習に3日間費やした」結果がこれですから、毎日新聞が社説で三行半を叩きつけるのもやむを得ないのかも知れません。

 「四面楚歌」な海江田さん、なんか、かわいそうですね。

 まあ、政治家たるもの、同情されるようになったら「おしまい」なのではあります。

 ふう。



(木走まさみず)