木走日記

場末の時事評論

この期に及んで民主党を逃げ出す議員先生方の甘すぎる政治判断〜「ココまで来たら泥舟ともに潔く沈まんかい」

 民主党の黄昏(たそがれ)度がここへきて鮮やかになってきております。

 政治欄から民主党関連のニュースがほとんど見られなくなって久しいのですが、最近久しぶりに民主党に関連するニュースが続きました。

 一つ目は19日付け産経新聞記事から。

海江田代表を損賠提訴 「安愚楽牧場」出資者30人
2013.2.19 07:15 [民事訴訟

 4千億円超の負債を抱えて破綻した畜産会社「安愚楽牧場」(栃木県)をめぐり、出資者30人が18日、経済評論家時代に出資を勧める記事を発表した海江田万里民主党代表(63)を相手取り、計約6億1千万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

 訴状によると、海江田氏は昭和62年〜平成4年ごろ、安愚楽牧場について「知る人ぞ知る高利回り」「リスクはゼロ」などと雑誌や書籍で紹介。出資者側は「破綻の危険性を容易に認識できたのに、調査や説明の義務を怠った」と主張している。

 同日会見した出資者の男性は「海江田さんが投資に太鼓判を押す雑誌記事を見たのがきっかけだった。時間が経過したから責任を持たない、というのは容認できない」と訴えた。

 海江田氏の記事をきっかけに投資したとする94人が昨年6月、海江田氏に約1億5千万円の賠償を求める調停を東京簡裁に申し立てたが不調に終わり、今月5日に手続きが打ち切られていた。海江田氏の代理人は「訴状が届いた時点で内容を検討の上で対応する」とのコメントを発表した。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130219/trl13021907190000-n1.htm

 うむ、海江田万里民主党代表が、計約6億1千万円の損害賠償を求める訴えを畜産会社「安愚楽牧場」(栃木県)出資者30人により18日、東京地裁に起こされました。

 20年前のこととはいえ現役の野党第一党党首が訴えられることも異例ながら、「訴状が届いた時点で内容を検討の上で対応する」など、本件に関しては海江田氏側は終始一貫して実に歯切れが悪い対応です、実にリスク管理ができていません。

 20年前の評論家時代の事案ではありますが、「海江田さんが投資に太鼓判を押す雑誌記事を見たのがきっかけ」とする被害者も複数いる訳ですから、いつまでも言い逃れすることはできますまい、ここは責任ある公人としてしっかりと説明すべきです、まして現在は野党第一党、国政政党の代表の立場なのです、無責任な対応は有権者が許さないでしょう。

 しかし、本件で本当の意味で情けないのは民主党内部から海江田批判が全く起こらないことです。

 公党の代表の対応としてこれでよいと本当に思っているのか、それとも組織としての自浄作用を動かす力すら今の民主党にはなくなってしまったということか・・・

 で、二つ目は22日付け産経新聞記事から。

「泥舟から逃げろ!」 民主党、崩壊第2幕 離党者相次ぐ
2013.2.22 00:33 (1/3ページ)[民主党

 夏の参院選をにらみ改選を迎える参院民主党議員の離党の動きが21日、相次ぎ判明した。支持率が低迷し、日本維新の会など第三極との選挙協力もままならない民主党。党内からは「一刻も早く泥舟から逃げ出すというわけか…」(中堅)とため息が漏れる。見切りをつけた議員たちが、われ先にと“脱走”しようとしている。(坂井広志)

 離党の意向を固めたのは川崎稔(佐賀選挙区)、植松恵美子(香川選挙区)両参院議員。2人は22日に離党届を提出し、無所属となる予定だ。衆院選大敗後の離党の動きはこれが初めて。このほか20日には、党福岡県連が、現職の岩本司参院議員が公認候補の公募に応じなかったことを明らかにしている。

 川崎氏は昨年11月に参院選不出馬を表明している。産経新聞の取材に「平成24年度補正予算案や日銀総裁人事など重要案件が続く。自由な立場で(賛否を)判断したい」と語ったが、地元の首長選に超党派の支援を得て出馬するのではともささやかれている。

(後略)

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130222/stt13022200360000-n1.htm

 うーん、川崎稔植松恵美子岩本司の3人の民主党参議院議員がココへ来て離党届の提出や民主党からの参院選不出馬を表明した模様です。

 3人それぞれの選挙区事情も報道で知る限り理解したうえですが、このタイミングでの泥舟「民主党」からの脱出は、実に見苦しいと言い放って起きましょう。

 政治家として決断が遅すぎます、ココまで来たら泥舟ともに潔く沈まんかい、と思ってしまうわけです。

 ・・・

 民主党が黄昏ています。

 代表が訴えられても党内からは沈黙が守られ一切の批判の声は上がらず、また所属の参議員議員が今夏の参議員選を睨んで、一人また一人と泥舟からの離脱を図っています。

 ガバナンスも規律もなにもかも崩壊しつつあるように思われます、統治組織としては末期の症状ですね。

 さらに民主党にとって嘆かわしいことには、これら一連のニュースがほとんどメディアで大きくは取り上げられていないことです。

 つまり国民の関心すら失ってしまったと。

 ・・・

 黄昏る安愚楽海江田民主とこのタイミングでの泥舟「民主党」からの脱出を図る議員たち。

 どちらにも個人的にシンパシーはまったくないのですが、しいて言えば個人的には「ココまで来たら泥舟ともに潔く沈まんかい」と逃げ出す議員の先生方をより強めに批判しておきます。

 情勢を俯瞰する能力、世論の動向、あらゆる視点から見て、政治判断が甘すぎませんかと問いたいです。

 遅すぎるし見苦しいのです。



(木走まさみず)