木走日記

場末の時事評論

DHCの吉田嘉明会長の官僚嫌いは筋金入り〜渡辺代表は怒らした相手が悪かったということ

 27日付け朝日新聞電子版速報記事から。

渡辺代表が所属議員に説明 8億円「個人的に借りた」
2014年3月27日13時56分

 みんなの党渡辺喜美代表は27日昼、国会内で開かれた党の議員総会で、化粧品大手ディーエイチシー(DHC、東京)の吉田嘉明会長(73)から計8億円を借りた問題について説明した。出席議員によると、渡辺氏は「個人的に借りた」と説明。「資産報告書に部分的にミスがあることは認める」と述べ、資産報告書を訂正する考えを示した。

渡辺喜美氏への5億円「利息・期限決めず」

 週刊誌報道で問題が発覚してから、渡辺氏が公の場で説明するのは初めて。

 所属議員によると、渡辺氏は「金を何に使ったのかはさまざまあるので、一言では言える訳ではない」「借り入れは選挙目的ではない」などと説明。「これだけ騒がせて申し訳ない」と陳謝したという。進退には触れなかった。議員からは「代表を信じている」という意見が出ただけで、問題視する声はなかったという。渡辺氏は午後、記者会見を開き、問題について説明する。

(後略)

http://digital.asahi.com/articles/ASG3W3WBVG3WUTFK001.html

「個人的に借りた」

「資産報告書に部分的にミスがあることは認める」

「金を何に使ったのかはさまざまあるので、一言では言える訳ではない」

「借り入れは選挙目的ではない」

「これだけ騒がせて申し訳ない」

 と苦しい弁明に終始する、みんなの党渡辺喜美代表なのであります。

 一方、DHCの吉田嘉明会長はといえば週刊新潮以外のメディアにもインタビューを受けておられ、いたって意気軒昂なのであります。

 朝日新聞もインタビュー記事を早速載せております。

3億円ほど」渡辺氏から提示 DHC会長一問一答
2014年3月26日23時16分
http://www.asahi.com/articles/ASG3V5WYBG3VUTIL03X.html

 朝日インタビューの核心部分を抜粋。

 ――お金はいつ、いくらを振り込んだのか。

 「2010年参院選前に3億円、12年衆院選前に5億円を私の個人口座から渡辺さんの個人口座に振り込んだ」

 ――選挙資金に使われる認識はあった?

 「選挙資金以外に3億円を貸したりしますか。普通お金を貸し借りするのは多くても1千万円とかじゃないですか。明らかに選挙に必要なお金です」

 ――渡辺代表も選挙にお金が必要という話はしていたのか。

 「当然。選挙以外に何の話も出ていない。振込先は政治献金とは違う個人の口座だった」

 うむ、記事によればDHCの吉田嘉明会長は「振込受付書」の写しまで提示してますね、5億円の受取人は渡辺喜美氏で、記入欄外には銀行による平成24年11月21日付の出納印が押されている写真まで一部加工の上掲載しています。

 3億円の借入が2010年7月11日(日)参院選の直前、5億円の借入が2012年12月16日(日)衆院選の直前、貸したご本人が「選挙資金以外に3億円を貸したりしますか」と公表しているわけです。

 渡辺氏の「個人的に借りた」や「借り入れは選挙目的ではない」という釈明は客観的に見てかなり苦しいでしょうねえ。


 しんぶん赤旗などは早速、「こうした不記載は、資産公開法に違反する疑いがあります。また政治活動や選挙運動に使用した場合は、政治資金規正法公職選挙法違反にあたります。」と、嬉しそうですね。

しんぶん赤旗2014年03月27日 09:28
みんな渡辺代表に8億円 DHCの会長手記 3億円が不記載/7000万円近い献金
http://blogos.com/article/83180/

 お気の毒なのはみんなの党の所属議員であります。

松田公太2014年03月27日 11:5
1DHC会長からの借入について
http://blogos.com/article/83171/

 「渡辺代表を信じています」と健気です。

一つだけ言えるのは、私も、みんなの党の国会議員一同も、渡辺代表を信じていますし、今回のことが問題に繋がることはないと思っています。

 そして陰謀論が飛び出します。

例えば、何故このタイミングでDHC会長がわざわざお金を貸したことを暴露する必要があったのか(記事では「渡辺さんが変わってしまったから」と説明していますが、本当にそんな事で政党の代表を貶めるような、あえてスキャンダラスに書いた手記を、大企業のトップが出すでしょうか)。
つまり、その後ろで、気味の悪い笑みを浮かべてこそこそ動いている策士がいるのは間違いないのです。このタイミングで、このネタを無理にでも出したかった人たちがいるのです。

 「気味の悪い笑みを浮かべてこそこそ動いている策士」って誰よ(苦笑)、そんなこともあったのかよくわかりませんが根拠なく国会議員が無責任に陰謀論などネットで流していいのかしらん。

 ・・・

 さて、当ブログは個人的にDHCの吉田嘉明会長と一度だけですがお会いしたことがあります、もっともむこうはこちらを覚えてらっしゃらないと思いますが、数年前ですがさる会合でたまたまお話をうかがう機会があり、この人の官僚嫌いは筋金入りであると承知していました。

 上記朝日新聞インタビューでも「今回、カネの流れを明らかにした理由」をこう述べています。

 ――今回、カネの流れを明らかにした理由は。

 「私がなぜ多額の支援をみんなの党にしてきたのか。それは日本をダメにしている官僚機構を改革するため。(みんなの党から分裂し)脱官僚を掲げている結いの党に参院予算委員会のポストを渡そうとしなかった渡辺さんに耐えられなかった。お金を返してもらいたいとは全く思っていない」

 吉田嘉明会長は一代でDHCをここまでの大企業に育て上げた叩き上げのお方です。

 吉田さんのお話をうかがったときDHCという社名の由来をお聞きしましたが「大学・翻訳・センター」の頭文字なのですね、そもそも翻訳業から起こした会社が、現在ではCMでもお馴染みの化粧品・健康食品・ダイエット食品の販売で大成功を収めたわけですが、創業のときの熱き想いを残すためDHCの社名は変えないのだとか。

 そもそも翻訳業から畑違いの化粧品業界に殴り込んだとき、既存メーカーからの嫌がらせや既存メーカーに身贔屓(みびいき)する官僚たちの頭の硬さには、本当にまいられたとのことでした。

 当ブログの昔話では信用ならんという読者もおられるでしょうから、論より証拠、吉田会長自らの言葉をネットで確認できますのでご紹介。

 ここにDHC採用情報のページに会長のメッセージがご覧いただけます。

会長メッセージ
http://recruit.dhc.co.jp/president.html

 失礼して当該箇所を抜粋。

 (前略)

 東大出の官僚が、何か経験した事のない新しい事態に直面すると、うろうろおろおろと狼狽して、頓珍漢な結論を出してしまうのは、まさに彼らが判断力や独創性を養う体験を若い時にしていないということから来ています。知恵がないなあということになります。

 DHCでは勉強のできる人は要りません。地頭の良い人を必要としています。子供の時に人一倍苦労をしてきた人、普通の人に無いような体験をいっぱい積んできた人、どんなことを任せても自分なりの工夫で知恵を出し切れる人。そういう人はDHCでは大歓迎です。学歴は低いが自分には知恵があると思う人や、不良で勉強はしなかったが知能指数だけは高い人は、是非DHCに来て下さい。きっと、思いっ切り活躍できる場が見つかるはずです。

 採用のページで「東大出の官僚が、何か経験した事のない新しい事態に直面すると、うろうろおろおろと狼狽して、頓珍漢な結論を出してしまうのは、まさに彼らが判断力や独創性を養う体験を若い時にしていないということ」とは強烈ですよね。

 ね、吉田会長は筋金入りの官僚嫌いなのであります。

 ・・・

 本件では、一代で大企業を起こした筋金入りのお方を渡辺代表が怒らしてしまったという単純なオチなのだと、当ブログはふんでいます。

 陰謀論

 吉田会長は、政治家の浅知恵に振り回されるような小物ではないと思います。 

 渡辺代表は怒らした相手が悪かったということでしょう。



(木走まさみず)