木走日記

場末の時事評論

橋下氏への批判一色のメディアスクラム状態を嗤う〜大阪にここまで財政悪化をもたらした「主犯」は誰だ?

 新聞各紙は一斉に大阪市長選を取り上げています。

【朝日社説】大阪市長選 「信任」からはほど遠い
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11045690.html
【読売社説】大阪市長再選 議会と調整問われる「都」構想
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20140323-OYT1T00730.htm
【毎日社説】橋下市長再選 市政、空転させただけだ
http://mainichi.jp/opinion/news/m20140324k0000m070146000c.html
【産経社説】橋下氏再選 やはり「大義」はなかった
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140324/elc14032403370000-n1.htm
【日経社説】不発だった橋下市長の戦略
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO68801320V20C14A3EA1000/

 うむ、強引とも言える再市長選を行った橋下氏への批判一色です、メディアスクラム状態です。

とても「信任された」とは言えない結果だ。(朝日)

これで「大阪都」構想が前進するのか。効果の疑わしい出直し選挙だったと言うほかない。(読売)

約6億円の選挙費用を使いながら市政を空転させただけではないか。(毎日)

過去最低の投票率では、大義とした大阪都構想への「民意」が得られたとはいえない。(産経)

何のための選挙なのか有権者にはよく理解できなかったのだろう。(日経)

 なぜ今市長選を行わなければならなかったのか、そもそも橋下氏の『大阪都構想』がなぜ生まれたのか、踏み込んだ議論をするわけでもなく、ただ表層的に「約6億円の選挙費用を使いながら市政を空転させただけ」(毎日)と批判しています。

 がしかし、史上最低の低投票率だった要因は、既存政党が情けなくも対立候補を擁立せず「橋下一人相撲」状況を作り出し事実上の「信任投票」としてしまった情けない「不戦敗作戦」を取ったことにこそあります。

 そしてメディア自身が橋下氏の再市長選決定に批判的報道に終始し、さらに選挙戦中の報道はほぼ沈黙、有権者の関心を盛り上げるべき本来のメディアの使命を放棄していたことも大きな要因です。

 そもそも橋下氏の『大阪都構想』がなぜ生まれたのか、原点に戻った議論が必要です。

 ここに大阪府の公式サイトにて会計決算の推移が確認できます。

大阪府
普通会計決算の推移
http://www.pref.osaka.lg.jp/zaisei/joukyou/04hutsuu.html

 24年度 府債の発行残高は実に6兆2510億円に昇っています、前年度比で4%増加しています。

 普通会計規模が2兆7,822億円の自治体が歳入規模の倍以上の累積債務に苦しんでいるわけです。

 さらに大阪市のサイトはこちらです。

大阪市
大阪市予算の概要と財政の現状」について(平成25年4月)
http://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000217122.html

 一般会計規模1兆6700億の自治体が4兆8713億円と3倍近くの累積債務に喘いでいる訳です。

 大阪府大阪市を合わせて4兆4500億円の会計規模で11兆円を越える累積債務を抱え込んでしまっている絶望的な状況です。

 だれがこのような絶望的な財政状態にしてしまったのか?

 当然ながら、今回候補を出さなかった既存政党で構成されてきた府議会、市議会の責任は重大です。

 同一の地域に対し、似たようなハコモノを立て、非効率な二重の行政サービスで人件費や維持費がかさばり、それぞれの既得権益を擁護しつつ二重の予算が府と市で計上され、無駄に無駄を重ねた結果が、この11兆を越える途方もない借金を累積させたのではありませんか。

 今回、対立候補を擁立しなかった自民党などの既存政党は、橋下氏の都構想に反対するだけではあまりにも無責任です。

 府と市がこれまで、同じような施設を作ったり、ばらばらの戦略で都市開発を進めたりしてきたことは、誰も否定できないはずです、ましてやあなた方、既存政党の府議会議員や市議会議員は、いわば大阪にここまで財政悪化をもたらした会計を承認し続けてきた「主犯」なのであります。

 メディアもメディアです。

 そもそも橋下氏の『大阪都構想』がなぜ生まれたのか、踏み込んだ議論もせず、責任ある対抗策を示すこともなく卑怯にも「不戦敗戦略」を取った既存政党を批判することもなく、表層的な橋下批判でメディアスクラムとは、いかなる見識なのか?

 これで「社会の公器」とは笑止千万です。



(木走まさみず)