木走日記

場末の時事評論

ネットばかりやっていると脳がキレやすくなるのか?


 最近、ネットの右傾化とか保守化とか議論をよんでいるわけですが、今回は少し時事ネタから離れて、はたして「ネットばかりやっていると脳がキレやすくなるのか?」という興味深いテーマについて、読者の皆様と考察してみたいと思います。

 ●興味深い日経BPの感情爆発度チェック

 まあ、現代人は総じて「マジギレ・イライラ度」が高じているわけでして、当ブログもしょっちゅうマスメディアなどを批判しまくっているわけで、あんまりエラソウなことは言えないのではあります。

 満員電車での通勤・通学などもう「マジギレ・イライラ」を満載しているようなもので些細なことでの喧嘩は耐えませんよね。

 中年リーマン、OL、学生、現代人はみんな「イライラ」しちゃっているのであります。

 ・・・

 さて、ソースが少し古くて恐縮ですが、九年前の9月に日経BPが「マジギレ・イライラ解消法」を特集していました。

 その特集記事の冒頭に、各自の「マジギレ・イライラ度数」が自己測定できる「感情爆発度」チェックテストがありこれがとても興味深いのでした。現在でもリンクは繋がっています。

日経BP 感情爆発度をチェック 2005年9月6日
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/associe/iraira/050906_explosion/#aresult

 抜粋してご紹介いたしましょう。

 まずは下記の、A群とB群から「よく当てはまる」、「だいたい当てはまる」と思う内容をチェックしてください。

A群
机の上や引き出しの中など、きちんと整理しておかないと落ち着かない
約束事やスケジュールなどを面倒がらずに、一つひとつメモしておく
物腰がソフトで言葉遣いも丁寧だが、時々感情を荒げるので周囲が驚く
計画を途中で変更することが多く、発言内容も目まぐるしく変わる方だ
親しい相手に対して、場合によっては理屈で激しく非難することがある
要領の悪さがあり、意外と頑固である
親しくなると相手に物足りなさを感じ、つらく当たったり敵対心を抱く傾向がある
凝り性で、一つの趣味にとことん時間とお金をかける
収集(コレクション)しているものがある
時々激しく感情爆発を起こして、物を投げつけたりする

B群
自分が所持している高価な物、一流ブランド品などをつい自慢したくなる
人の好き嫌いがはっきりしていて、嫌いな相手には終始冷たく当たる
相手によってつき合う態度がガラッと変わる傾向がある
いつも話題の中心にいて、周囲から注目されていないと気が済まない
新製品や話題のタレントなどの情報を、いち早くキャッチしている
時々病気を理由にして、仕事や学校をさぼることがある
自分でも「目立ちたがりや」だと思う
自分のご機嫌を取らないような相手は冷たくあしらうことがある
いつも気を張って背伸びしているところがある
周囲の人と違ったことをするのが楽しい

 で、早速判定。

A群・B群とも4個以下の人

比較的温厚で、感情爆発によって人生を棒に振るリスクは低そう。

A群が5個以上の人

粘着質型の性格です。不満が蓄積されて飽和状態になると感情を爆発させてしまう。

B群が5個以上の人

自己顕示型の性格です。見栄っ張りで、自分が優位に立てないとヒステリックになる。

A群・B群とも5個以上で、A>Bの人

生真面目に努力するタイプだが、思い通りにならないと些細なことでキレる。相手の真意を誤解したまま罵倒したり、あらゆる策を講じて攻撃・誹謗中傷するなどして、社会的信用を落とす恐れがある。

A群・B群とも5個以上で、A<Bの人

表面的には物腰柔らかだが、心に渦巻くブランド志向・自己顕示欲が満たされなかったり見透かされたりすると、紳士的態度が一変。ヒステリックに怒鳴り散らし、相手に突っかかっていく危険性を秘めている。

A群・B群とも5個以上で、A=Bの人

生真面目に努力するタイプだが、思い通りにならないと些細なことでキレる。相手の真意を誤解したまま罵倒したり、あらゆる策を講じて攻撃・誹謗中傷するなどして、社会的信用を落とす恐れがある。表面的には物腰柔らかだが、心に渦巻くブランド志向・自己顕示欲が満たされなかったり見透かされたりすると、紳士的態度が一変。ヒステリックに怒鳴り散らし、相手に突っかかっていく危険性を秘めている。

 いかがでしたか。

 もうこの評価はとても厳しい内容なのであって「A群・B群とも4個以下の人」以外は全部ダメダメなのです。

 「粘着質型の性格です。不満が蓄積されて飽和状態になると感情を爆発させてしまう。」とか「自己顕示型の性格です。見栄っ張りで、自分が優位に立てないとヒステリックになる。」とか、お願いだからほっといてちょうだい(苦笑)、って感じです。

 まあしかしココは冷静に、たまには自分のイライラ度を自己分析するのも悪くはないでしょう。



●部屋にこもってネットばかりやっていると脳がキレやすくなる?

 大脳生理学、心理学の面から、まずはキレるメカニズムを押さえておきましょう。

腹立たしい場面を目撃したとき、見た像は網膜から視神経を伝って中継地点の視床に達し、後頭葉の視覚野に投影されてビジュアルとして認識される。そして感情をつかさどる扁桃で怒りが込み上げ、一方で理性を司る前頭前野がブレーキをかける。ブレーキが利かないと暴言となる。暴力の場合は視覚情報が視床から扁桃に直結するため、相手の様子や態度を観察する間もなくいきなり手が出てしまうから厄介だ。

キレて暴言や暴力に至るのは、前頭前野の働きが悪いため。活性化すれば解決できる。主な処方箋は、価値観の転換と食生活の改善に大きく分けられる

 うーむ、腹立たしい事象は、網膜→視神経→視床後頭葉の視覚野という経路を辿って人の脳に認識され、結果、扁桃で怒りが込み上げ、一方で前頭前野がブレーキをかけるわけですね。

 キレて暴言や暴力に至るのは、前頭前野の働きが悪いためなのか。

 前頭前野を活性化すれば解決できるのですねえ。

 主な処方箋は、価値観の転換と食生活の改善に大きく分けられるそうですが。

 医学博士である高田明浜松医科大学名誉教授や臨床心理学者・田村正晨東京薬科大学生命科学部教授などの専門家に言わせると、食生活では「肉と砂糖」が精神の安定に良い作用をするのと、「生活面では、太陽の光を浴びて体を動かすことが重要」なのだそうです。

脳内には、脳幹から分泌される神経伝達物質がある。幸福感や意欲を高めるドーパミン、精神を安定させるセロトニン、元気・怒りを高めるノルアドレナリンの三つが代表格で、分泌量は食生活でコントロールできる。

キレないために増やしたいのがセロトニンドーパミン。その生成に欠かせないのが、意外にも肉、そして砂糖だという。「肉にはセロトニンの原料となるトリプトファンというアミノ酸が含まれている。また砂糖が体内で分解・吸収されたブドウ糖は、トリプトファンを脳内に取り込みやすくする」(高田教授)。むろん、糖分の多い缶飲料などをガブ飲みすれば肥満になるのでほどほどに。ほかにも精神の安定に作用する栄養素を挙げた。サプリメントなどで補給しよう。

生活面では、太陽の光を浴びて体を動かすことが重要だ。太陽光はトリプトファンセロトニンに変え、体を動かすとドーパミンが増えて幸福感も増す。セロトニンの一部は熟眠ホルモンのメラトニンに変性して、夜は熟睡できる。前向き発想と規則正しい食生活でイライラは抑えられるのだ。

 うーむ「肉と砂糖」なんて肥満の大敵だと思っていたけど、これは太っている人に温厚な人が多いという通説が医学的にも正しいということなのでしょうか。

 ・・・

 しかしなあ、仕事でもプライベートでも四六時中パソコンの前に座っている当ブログとしては「生活面では、太陽の光を浴びて体を動かすことが重要」という指摘は痛いなあ。

 つまりこういうことです。

 キレないために増やしたい神経伝達物質は、幸福感や意欲を高めるドーパミン、精神を安定させるセロトニンのふたつ。

 ところが、部屋にこもってネットばかりやっていると、太陽光はトリプトファンセロトニンに変えてくれるのにその効用にあやかれず、体を動かすとドーパミンが増えて幸福感も増すのにそれも増えない。挙げ句の果てに、セロトニンの一部は熟眠ホルモンのメラトニンに変性して、夜は熟睡できるはずなのに、セロトニンが不足しているからそれもダメ。

 別にネットにこじつけなくても、何十日もアトリエにこもって創作活動を続けている芸術家は爆発しやすいとか、研究室で研究に没頭しているトンデモ科学者は性格破綻者が多いとかいろいろ考察できそうですが・・・

 ・・・

 うーん、部屋にこもってネットばかりやっていると脳がキレやすくなるのか・・・

 ・・・(汗

 読者のみなさま、ネットの見すぎにはお互い気をつけましょう。



(木走まさみず)