木走日記

場末の時事評論

この歴史的なこどもの日を祝したい〜42年ぶり原発稼動ゼロ

 2012年5月5日午後11時、ついに最後まで稼動していた北海道電力泊原子力発電所3号基が停止、日本の原発54基の発電能力4884.7万kwがすべて失われます。

 歴史的日と申していいでしょう。

 あらためて当ブログで作成した原発マップで確認しておきます。
■図1:原発稼働状況(2012年5月5日現在)

 すごい状況です。

 アメリカ(103基)、フランス(59基)につぐ世界三位の原発大国であった日本(54基)がドイツよりも早く、世界最速で「原発ゼロ」状態(5日付け朝日新聞社説の表現)に入るのです。

 全国54基の原発は壮大なムダとなってしまいました。

 この圧倒的な光景に私は東京都民として電力消費者としてこれから長い後処理を考えると声が出ません。

 これら54基の原発をすべて廃炉にするにしても膨大な時間とコストが掛かることでしょう。

 さらに全国の原発には行き先のない使用済み核燃料が溢れんばかりにプールされています。

 運び出す場所がないのです、最終処分場も決まっていません。

 ・・・

 2012年5月5日、日本の原発54基の発電能力4884.7万kwがすべて失われますが、日本全国、現在は電気は足りています。

 この歴史的な日に、今起こっていることを正確な数値で検証しておきましょう。

 原発を再稼動するべきか否か、冷静に議論するうえでも正確な数値が必要と思うからです。

 なお、統計データソースは、以下の電気事業連合会が公開しているデータベースを使用しました。

電力統計情報
http://www.fepc.or.jp/library/data/tokei/index.html

 2010年、震災の起こる前年のこの年は猛暑でした。

 この年の電力会社別電源別の総発電量を表にまとめます。

■表1:電力会社別電源別発電量(2010年)

会社 水力 火力 原子力 総合計(単位:Mwh(メガワット時))
北海道 3857819 12680829 16258130 32897765
東北 8232650 42882891 20690330 72656367
東京 11266542 168944319 83845029 264068296
中部 8776608 99600857 15318001 123723805
北陸 6179624 16556730 12444607 35185212
関西 15073945 49492715 66953812 131522249
中国 3334868 39606537 2280760 45222165
四国 2094111 11208659 16103978 29408223
九州 4051357 37722876 37374870 80580028
9社計 62867524 478696413 271269517 815264110
沖縄 0 6727608 0 6727712
10社計 62867524 485424021 271269517 821991822

 
 わかりやすく原子力原子力以外で各社別のグラフにしてみます。

■図2:会社別電源別発電量(2010年)

 やはり総発電量は東京電力が群を抜いています、東電は2億6407万Mwhのうち、8384万Mwhが原子力を占めていることがわかります。

 今大飯原発再稼動問題もからみ今夏の電力不足が心配されている関西電力ですが、総発電量1億3152万Mwhで、うち原子力が6695万Mwhと、原発の比率が高いことがわかります。

 では各社の発電量の電源別比率を求め、2010年実績ベースでの原発依存率をグラフ化してみます。

■図3:会社別電源比率(2010年)

 2010年の発電実績で見ると、四国、関西、北海道、九州の原発依存度が高いことが見て取れます。

 全体としてはグラフの一番右になりますが、2010年の総発電量8億2199万Mkhのうち、原子力は2億7127万Mkhとちょうど三分の一を占めていたことがわかります。

 円グラフにしてみます。
■図4:電源別発電比率(2010年)

 ・・・

 今検証したとおり、2010年実績ベースで発電の三分の一を占めていた原子力発電が、2012年5月5日をもってすべて失われるのです。

 しかし火力発電などによる代替発電の増加、国民や企業の節電努力の効果もあり、原発が一基も稼動しなくとも現在この国の電力は賄われている事実は重要です。

 夏場のピークに向けて関電など原発依存率が高かったエリアでは電力不足が懸念されています。

 これから節電手段や原発再稼動の議論が活発化することでしょう。

 議論は尽くすべきです。

 しかし5月5日こどもの日という祝日に原発の発電がゼロになった事実は重たいです。

 電源の三分の一を失ったことを悲観するか、原発ゼロを達成したことを肯定するか、それぞれの立場で意見があるでしょうが、こどもの日に全原発が止まるというのは実にシンボリックだと思います。

 42年ぶりにこの国の原発が稼動ゼロになります。

 将来のこの国をささえる子供達を祝う日にです。

 2012年5月5日は長きにわたって大きなトピックとして人々に記憶される日となることでしょう。

 とりあえずこの歴史的なこどもの日を祝したいです。



(木走まさみず)