木走日記

場末の時事評論

稼ぐのは失敗にめげない「精神的に筋肉質の人」たちだと思う

●薬指の長い人は稼ぐ〜朝日新聞サイエンス記事から

18日付け朝日新聞サイエンス記事から。

薬指の長い人は稼ぐ トレーダー調べると7800万円差
2009年1月18日11時31分

 証券の売買をするトレーダーは、薬指が長い人の方が向いているらしいことが、英ケンブリッジ大の調査でわかった。ロンドンの金融街ティーで短期取引を専門とする男性トレーダー44人を調べた。今週の米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載される。

 胎児期に男性ホルモン(アンドロゲン)が多く作用すると、生殖器や手足の成長を促す遺伝子に影響し、薬指が長くなる傾向がある。

 研究チームは、人さし指と薬指の長さの比率と、トレーダーの収益や経験年数などとの関係を調べた。すると、薬指が相対的に長いグループ(人さし指が薬指の93%の長さ)と短いグループ(同99%)の収益の差は1人当たり年60万ポンド(約7800万円)以上になったという。

 男性ホルモンは、自信やリスク指向性、ねばり強さに関係するとされ、競技スポーツの能力との関係がわかっている。研究チームは、短期売買に必要な集中力や反応速度に影響するとみている。(香取啓介)

http://www.asahi.com/science/update/0114/TKY200901140335.html

 うーん、「胎児期に男性ホルモン(アンドロゲン)が多く作用すると、生殖器や手足の成長を促す遺伝子に影響し、薬指が長くなる傾向がある」とは初めて知りましたが、そうですか、「証券の売買をするトレーダーは、薬指が長い人の方が向いているらしい」ですか・・・

 それにしても44人とは母数が少なすぎる気がしますが、「収益の差は1人当たり年60万ポンド(約7800万円)以上になった」とはちょっとすごい相関ではありますが、それはともかくアンドロゲンの作用を実証するのになんで指標を「薬指の長さ」にしたのか、そこのところがよくわかりません。

 たしかアンドロゲン(男性ホルモン)は、数種類のホルモンがあると記憶してますが、アンドロゲンの作用である男性の二次性徴の特徴としては、別に「薬指の長さ」じゃなんかでなくとも、声変わりとか、足がでかくなるとか、骨格・筋肉が発達するとか、体毛が濃くなるとか、性欲が強くなるとか、男性型脱毛症とか、いっぱいモノサシがあるじゃないですか。

 アンドロゲンの作用により「薬指の長い人は稼ぐ」のが本当ならば、「バカの大足は稼ぐ」「大男は稼ぐ」「スケベは稼ぐ」「ハゲは稼ぐ」等、幅広く検証していただきたいですね。

 そうすれば不況でひいひい言っているちまたのお父さんの中でどれか該当する人は多いでしょうから、権威ある英ケンブリッジ大の調査が「科学」としてエールを送ることができるというものでしょう。

 そういえばお父さんたちの体臭とか靴下が臭いのも男性ホルモンの影響であると聞いたことがあります。

 そしたら「足の臭いやつは稼ぐ」もいけるかもですね。

 残念ながら私も含めて不肖・木走のまわりにいるオヤジ達は、足はでかいし、態度もでかいし(関係ないか(苦笑))、スケベもいればハゲもいて、すべからく足が臭いのですが、誰も儲けていないのであります、残念ながら。

 ・・・

 この記事、いちおうサイエンスのカテゴリーがついてますが、母数の数も少ないし調査の期間や方法の詳細も書かれていないのでどうも正当な科学的記事として取り上げる価値があるかはなんとも判断しづらいのではありましたが、読み物としてたいへん面白く読ませていただきました。

 男性ホルモンと金儲けの相関に注目しているこの稀有な研究チームの今後のさらなる実証実験に期待いたしましょう。

 つぎはスケベ度あたりで調査して欲しいな(ボソ

 ・・・



●稼ぐのは失敗にめげない「精神的に筋肉質の人」たちだと思う

 薬指の長さはさておき、上記朝日記事の結語「短期売買に必要な集中力や反応速度に影響する」、ここですね、所謂「稼ぐ人たち」の特徴を私なりに考えてみたいと思います。

 トレーダーではありませんが、不肖・木走は仕事柄多くの経営者の方々とお会いしてきましたが、そのような方々と接してお話させていただいてみると、経営者の中でも所謂「成功した人」と呼ばれる人たちの多くには、もちろん多くの成功事由があるのでしょうが、その中のひとつにある共通項があると私は感じるようになりました。

 個人的私見にすぎませんが、何百人と経営者と接してきた素人の見立てを、参考までにお話したいと思います。

 それは驚くべき「集中力」とでも表現すればいいのでしょうか、ずばり表現できるうまい日本語がなかなか浮かばないのですが、すごく「精神的に筋肉質の人」が多いのであります。

 ある経営者の印象的な話をご紹介しましょう。

 彼は一代で全国展開する企業を築きあげた、メディアでも時々取り上げられる立志伝中の人物であります。

 商工会主催のあるセミナーの懇親会で、たまたまお話をうかがえる機会を得ました。

 彼は仕事中であれ会議中であれ移動中であれ、本当に集中して思考していると周りの音も声もなくなり風景すら静止しているように感じるときがあるというのです。

 「木走さん、人は集中してものを考えるとある瞬間たぶん時間の感覚がなくなるんだと僕は思うんです」

 「僕は集中すると時間が止まったような錯覚に陥るぐらい、頭がものすごく回転するときがあるんです」

 彼のいわんとする感覚は私のような凡人にはわかりづらいのですがこういうことのようです。

 「集中してものを考えると1秒間あたりの頭の回転数が上昇する、それがあるレベル以上上昇すると、あたかも周りがスローモーションのように止まって見える」ときがあるというのです。

 「僕はそういう瞬間に得た考えなりアイディアを手帳にメモすることを心がけてきました」

 なるほど、かつて偉大な打者が「心技体が充実して集中して打席に入れると、打撃の瞬間ボールが止まって見える」という話を思い出しました。

 アスリートの場合は肉体的なたぐいまれな運動神経の持ち主なんでしょうが、この経営者はもちろん肉体派ではありません、ですのでこの経営者のたぐいまれな集中力・思考力を、上述のように私は「精神的に筋肉質の人」というつたない表現をしたわけです。

 ・・・

 多くの成功した経営者は自分の成功談を話すことは得意としていません。

 というか自慢話のような成功談などをする人は、私の経験から言わせていただければ、実は成功してなんかない人だったりがほとんどのようです。

 上述の経営者の多くは、彼らがいかに成功してきたかよりも、いかに失敗を繰り返してきたかを語りたがります。

 失敗といっても、ほんの日常の失敗から事業の失敗まで深刻さの度合いもまちまちなのですが、彼らが過去の失敗を語るとき、例外なくその失敗の詳細を鮮明に覚えていてそしてそのとき自分がなぜ失敗をしたのかを冷静に語るのです。

 彼らはたぐいまれな集中力・思考力で得たアイディアはそれがいかにユニークな独創的なものであっても、それを実践すればかならず成功したわけではないようです。

 ただ失敗した後にも集中力を発揮しそこから次のアイディアを考える力が彼らにはあるようです。

 そこには自らの失敗を卓越した洞察力で客観的に評価し、そこから学習しようとする真摯な姿勢があります。

 「人間は繰り返し失敗していく生き物だと思っています」

 上述の経営者は私が成功の秘訣を教えて欲しいというとこう言いました。

 「失敗を繰り返す中で前の失敗を教訓にしてすこしでも改善していく。その意味で僕は生涯失敗中なのだと思ってます」

 成功したからこういう表現を言っても説得力があるのかもしれません。

 ただ、多くの成功者は自分の失敗を人生の財産として大切にしているのは事実なのでしょう。

 おそらく彼らのたぐいまれな集中力が自己を客観視できるのでしょう、凡人の私からすると、彼ら「精神的に筋肉質の人」は、失敗も含めた集中思考の繰り返しをあたかも楽しんでいるようにすら思えます。

 そしてこの習慣はすばらしい副産物を生むようです。

 私のような凡人は、めげてしまうので一般に自分の行動を「失敗」と評価することに臆病になりがちですが、彼らは逆にそこから学ぼうとする精神力を持っていますので、積極的に自らの「失敗」を探そうという姿勢が保たれています。

 必然的に彼らは強烈な自己向上心を有することになります。

 私が思うに、彼らの習慣が結果的に社会的成功をもたらせたのでありましょう。

 失敗にめげない「精神的に筋肉質の人」たちが結果として「成功」という評価を勝ち得るのではないでしょうか。

 ・・・

 ・・・

 ちなみに不肖・木走は零細企業経営者のはしくれですが、自分の失敗より社員の失敗のほうが気になる「精神的に虚弱体質の人」(苦笑)なので、もっか精神的体質改善努力中ですが、自分を棚に上げて、すぐ政権の悪口書いたり、メディア批判を書いたり、どうもこのブログ書いている限り努力はいっこうにむくわれそうもありません。(タメイキ



(木走まさみず)