木走日記

場末の時事評論

世界同時株安が円高を招く理屈を『円キャリートレード』のからくりから学ぶ

朝鮮日報の経済記事が理解できないブロガー木走〜円キャリートレードって何?

 今日(13日)の朝鮮日報速報記事に「世界経済を脅かす「五つの悪材料」」という興味深い記事が載っています。

世界経済を脅かす「五つの悪材料」とは(上)
http://www.chosunonline.com/article/20071113000044
世界経済を脅かす「五つの悪材料」とは(下)
http://www.chosunonline.com/article/20071113000045

 記事の冒頭。

 先週末の米国株急落に続き、12日にアジア株式市場が一斉に暴落したのは、それだけ世界経済が不安だという証拠だ。

 特に、最近の急激なドル安や円キャリートレード解消など、新たな悪材料が世界経済の不安を一層かき立てている。  

 これまで韓国経済は、輸出好調と株高という2大好材料がけん引役となり成長動力を維持してきた。だが、国際経済の悪材料によって世界経済が不安になれば、打撃が避けられない。最近の世界経済を脅かす悪材料は次の五つに要約される。

 なるほど、「最近の急激なドル安や円キャリートレード解消など、新たな悪材料が世界経済の不安を一層かき立てている」ですか。

 この記事によれば「世界経済を脅かす「五つの悪材料」」とは以下の5つだそうです。

 (1)円キャリートレード解消
 (2)世界的インフレ
 (3)中国経済の緊縮政策強化
 (4)ドル安
 (5)世界的不動産バブル崩壊

 ・・・

 ・・・(汗

 スミマセン、不肖・木走ですが、まったくの経済音痴なので、いきなり一番目の「円キャリートレード解消」の意味が理解できません(爆)

 ちょっと記事の該当部分を抜粋。

(1)円キャリートレード解消

 最近、世界株式が急激に下落した最大要因の一つが、円キャリートレード解消の動きだ。

 サブプライム問題などにより、米国経済に不安な兆候が現れ、ドルの価値が下落、投資家が新たな安全資産として円に注目し、世界に投資した円資金を回収し、円を買っているのだ。

 これにより、「円キャリー投資資金の回収および円投資→円の価値上昇→円キャリー投資家の為替損拡大→円キャリー投資資金回収」のシナリオが現実的になると分析される。ドイツ銀行は最近のリポートで、現在1ドル=110円台の円が1年以内に97円台まで上昇すると展望した(円の価値上昇‐ドルの価値下落)。

 円の上昇は、日本企業と競争する自動車、情報技術(IT)企業にとっては価格競争力を高めてくれる好材料だ。しかし、世界株式が萎縮し、国内経済ひいては世界景気を萎縮させる恐れがあるという点では悪材料といえる。

 ・・・(汗

 サッパリわからん(爆)

 うーん、「投資家が新たな安全資産として円に注目し、世界に投資した円資金を回収し、円を買っている」ために、「円キャリー投資資金の回収および円投資→円の価値上昇→円キャリー投資家の為替損拡大→円キャリー投資資金回収」のシナリオが現実的になってきたって、この文章が何を言ってるのか全然理解できません(涙

 私にはチンプンカンプンなのであります。

 ・・・

 円キャリートレードって何でしょう???




●世界同時株安が円高を招く理屈を『円キャリートレード』のからくりから学ぶ

 昨日のエントリーではしなくも読者にばれてしまいましたが、不肖・木走は零細IT企業の経営者でありますが、自慢じゃないが金融政策・為替政策にはまったく疎いのであります、グッスン。

 ・・・(汗

 しかし、当ブログの読者の中には、不肖・木走と同様に『円キャリートレード』の意味が理解できないでお困りの方もきっといるはずです、いやいてほしい(苦笑)。

 なぜ、世界同時株安が円高を招くのか、そもそも『円キャリートレード』ってなんなのか、あつかましくも昨日に続いて、私の旧友の某新聞経済担当記者にこの難問を電話で聞いてみることにしたのでありました。

 電話でのやり取り。

木走「昨日に続き経済問題の専門家である君に経済問題でちょっと意見を求めたいのだがよろしいかな」
I氏「手短に頼むよ、で今日はどんな「難問」なのかな(苦笑」
木「ゴホン、『円キャリートレード』について意見を求めたい、海外メディアでは、「円キャリー投資資金の回収および円投資→円の価値上昇→円キャリー投資家の為替損拡大→円キャリー投資資金回収」のシナリオが現実的になるとの分析(←ここまで、意味を理解できてないので棒読み(苦笑))もあるようだが、これってどうよ」
I「クスクス、木走先生、質問の内容が昨日に比べてずいぶんレベルがあがったね、でもどうせ記事の受け売りなんだろうけど、難しい言い回ししないでストレートに『円キャリートレード』の意味を教えてって聞けばいいじゃないか」
木「・・・(大汗 スミマセン、ちょっとカッコつけてみました(爆)」
I「『円キャリートレード』とはね、一言で言えば低金利の日本円で資金を借り入れ、それを高金利の通貨に変えて、株・為替・商品・債券など様々な金融商品で運用して利益を得る取引のことだよ」
木「低金利の日本円で資金を借り入れ、それを高金利の通貨に変えて運用して利益を得る取引・・・」
I「そう。円キャリートレードを利用しているのは主に海外のヘッジファンドなんだが、彼らは日本の超低金利と海外の高金利の差分を利用して利益を得ているんだよ」
木「もう少し具体的な手順を教えてくれないだろうか」
I「いいとも。海外投資家やヘッジファンドはまず、運用するためのお金を日本の短期金融市場などから調達する。具体的には民間金融機関からだね。もちろんその方が金利の高い外国で調達するよりも安くつくからだ」
木「なるほど」
I「彼らは手にした円を即座に全額外為市場で外貨に換える。そして海外の株・債券・商品などで運用して利益を得るんだ」
木「なるほど、なるほど、海外に比べて日本が超低金利だから『円キャリートレード』は初めて旨味のある商売になるのか」
I「そうだ、そして彼らは手にした利益から少しずつ低金利の日本の金融市場に円に換金して返済していく」
木「うん、ここまでは理解した、で、なんでこの『円キャリートレード』が今回の世界同時株安と関係しているの?」
I「まず円キャリートレードが流行ると大量の円が売られるから一時的に「円安」基調になるんだ。そして「円安」になるとますます為替差益が出るから円キャリートレードによる利ざやが増えるという循環が生まれる」
木「そうか、『円キャリートレード』が増えれば、世界市場では株がどんどん買われるから株高になり、円は一時的にどんどん売られるから円安になるのか」
I「そう、それがここ数年世界的に市場が好調でしかも円安基調が続いていたひとつの要因だといわれているんだよ」
木「ところが今回アメリカで株価暴落がおこって、この『円キャリートレード』の旨味が吹き飛んだって言うことなのか」
I「吹き飛んだどころか、資金の逆流がはじまってしまったんだよ。『円キャリートレード』で株を買っていたファンド達は、これ以上の損失を避けるために、株を売ってその資金で円を買い出したんだ、日本金融市場の返済に当てるためにだ。この動きが活発になると大量に円が買われるために「円高」基調に変わる」
木「そうか、一端円高になってくるとますます為替差損が生じるから『円キャリートレード』解消の動きが促進されるんだね」
I「その通り。世界中の市場で同時株安が起こりますます円高になる裏の要因のひとつがこの『円キャリートレード』解消の動きであると分析されているんだよ」
木「うーむ、わかる、すべてわかるぞ、これでやっと朝鮮日報の記事が理解できるぞ(感動」
I「なんかラピュタ語を理解できたときのムスカみたいなダサイ感動表現だね(苦笑」
木「・・・(汗」

 うーむ、またひとつ勉強になりましたです。



(木走まさみず)



<関連テキスト>
■[経済]円高より円安の方が日本企業は儲かる理屈を理詰めで学ぶ
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20071112