木走日記

場末の時事評論

円高より円安の方が日本企業は儲かる理屈を理詰めで学ぶ

アメリカは株価が下がって通貨も下がるのに、日本は通貨が上がって株価が下がる、どうにも納得がいかない私

 今日(12日)の日経速報記事から。

日経平均、下げ幅500円超・一時1万5000円割れ

 12日後場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は一段と下げ幅を拡大。下げ幅は500円を超えており、取引時間中で2006年7月27日以来の1万5000円割れとなる場面があった。前週末9日の米国株急落などを嫌気した前場の流れを引き継いでいるほか、アジア株の急落や1ドル=110円を突破して109円台に入った円高も売りに拍車をかけているようだ。東証株価指数(TOPIX)も一段安。

 米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の余波や、中国人民銀行中央銀行)による預金準備率の引き上げ発表を嫌気して、香港市場でハンセン指数の下げ幅が1000ポイントを超えるなど、アジア株式相場が軒並み安の展開。リスク許容度の低下もあって円相場は1ドル=110円前後まで上昇しており、輸出企業業績の先行き懸念もさらに強まっている。前場中ごろからの下げ止まりで打診買いを入れていた短期資金も見切り売りを急いでいるようで、幅広い銘柄が下値模索の展開となっている。〔NQN〕(12:56)

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20071112NTE2INK0212112007.html

 うーむ、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の余波とやらで、米国株急落の影響を受け、アメリカの通貨ドルが暴落、109円台に入った円高も売りに拍車を掛けて東京株式市場で日経平均株価は一時1万5000円割れと下げ幅500円超となったのだそうであります。

 円高になると輸出企業業績の先行き懸念になることから株安に拍車が掛かっているそうであります。

 なんでわがままで独りよがりのアメリカ経済のせいで、世界全体の経済が動揺しちゃうのか、アメリカがくしゃみをすると、日本は政策面で打つ手が乏しいうえに、影響だけは確実に及んできて、へたすると肺炎になってしまうという、昔ながらのこの情けない立場はほんとどうにかならないものでしょうか。

 アメリカがドジ(サブプライムローン問題)踏んで株価暴落させてドルも安くなるのはいっこうに構いませんが、どうにも不満なのは、なんでドルが安くなると、アブラや金や他国通貨である円が暴騰しちゃって、日本経済まで調子おかしくなっちゃって株価暴落しなきゃならんのか。

 アメリカは株価が下がって通貨も下がるのに、日本は通貨が上がって株価が下がるとは、不平等じゃないでしょうか。

 だいたい、一国の通貨価値が上がると言うことは、国際的に見てその国家の経済の評価が高まっている証なのであり、ドル換算の一人当たり国民所得だって高まって統計資料を見てほくそえむことができるし、輸出が苦しいっていっても輸入は安くなるわけだから原材料のほとんどを輸入に頼っている日本にとっても悪いことばかりじゃないでしょ。

 極端な話、1$=100円だったら、アメリカに10万円持って旅行するときその価値は1000ドルなわけですけど、円の価値が2倍に高くなったら1$=50円だから、10万円は2000ドルにもなっちゃっていっぱい買い物できていいじゃないですか。

 ・・・

 アメリカは株価が下がって通貨も下がるのに、日本は通貨が上がって株価が下がる、どうにも納得いきません。



円高より円安の方が日本企業は儲かる理屈を理詰めで学ぶ

 不肖・木走は零細IT企業の経営者でありますが、自慢じゃないが金融政策・為替政策にはまったく疎いのであります、エッヘン。(←本当に自慢する事じゃないだろが(苦笑))

 ・・・(汗

 なぜ、アメリカは株価が下がって通貨も下がるのに、日本は通貨が上がって株価が下がるのか、この矛盾をどう説明してくれるのか、経済の専門家といっていいでしょう、私の旧友の某新聞経済担当記者にこの難問を電話で聞いてみることにしたのです。
(↑難問ってお前が理解できないだけだろ(苦笑))

 ・・・(大汗

 電話でのやり取り。

木走「今日のきみんところの記事見て、かねがね私がなっとくできない現象について専門家の立場からわかりやすく説明してほしいんだが、よろしいか」
I氏「なっとくできない現象とは大きく出たね、いったいなんの話だい」
木「なぜ、アメリカは株価が下がって通貨も下がるのに、日本は逆に通貨が上がって株価が下がっちゃうのか、という納得できない現象だよ、こんな不平等ないじゃないか」
I「プッ(失笑、ハハハ、なんとまたレベルの低い愚問をよくぞ電話してきたな」
木「レベルが低くて悪かったね、とにかく素人でも納得いくよう解説してくれ」
I「そもそもアメリカと違って、日本は資源のまったく持たない無資源国であり、その経済の基盤は原材料を海外から輸入して、それを加工して製品を海外に輸出している貿易立国なんだよ」
木「そんなことはわかってる」
I「だから円高になれば輸出産業に打撃が懸念されるから株安になりやすいのさ」
木「だが円高になったら原材料を安く購入できるメリットもあるじゃないか、なんで単純に悪い面ばかり語られるのかよくわからん」
I「それはそうだが経済への波及効果は、輸入産業よりも輸出産業の方が大きいしね、大企業の輸出が減れば下請けも含めた経済縮小効果は無視できないのさ」
木「だからさあ、円高になっても原材料を安く購入できるメリットを生かせば輸出にも影響少なくて済むし、そもそも通貨価値が高まること自体はその国の経済が評価されている肯定的現象なのじゃないのかい」
I「やれやれ、けっこう頑固だな、それじゃ理科系の君が納得しやすいように単純なたとえ話で理詰めで数字で説明しようか、ついてこれるかな」
木「理詰めか、望むところだ、数字で示してくれ」
I「単純な話。現状が1$=100円だったとする。ある企業は50円で海外から原材料を輸入し製品を組み立て1$(100円)で海外に輸出しているとする、この商品を一個輸出するのにいくらの利ざやが発生する?」
木「輸送費とか加工費とか人件費とか無視していいのかい、だったら売値100円ー原価50円で単純に50円の利ざやだよね」
I「そう単純な話だろ。さてここで円安と円高が起こったらこの企業の利益にどのような影響が起こるかを単純に数値化して比較してみよう。まず円高を考えよう、今円が暴騰して価値が1$=50円になっちゃったとしよう、まず原材料の輸入費はどうなる」
木「1$=100円の時50円だったんだから、半分の25円で済むよね」
I「そのとおり。じゃあ利ざやを考えてみよう、円高になったからといって売値1$を値上げしちゃったら売れなくなるから売値1$は据え置きにしたとすると利ざやはどうなる?」
木「えっと1$=50円なんだから、50円の売値から25円の原価を引くから利ざやは25円かあ」
I「そう、つまり単純に2倍の円高になると利ざやは半減してしまうんだよ。今度は逆に1$=200円の円の価値が半減する円安を考えてみよう。原価はいくらに高騰する?」
木「1$=100円のとき50円だから、100円に跳ね上がるね」
I「そうだね、じゃあ利ざやを考えてみよう、円安になっても売値1$は変わらないとすると利ざやはどうなる?」
木「1$=200円で売れるから原価100円を引いて、100円の儲けになるか」
I「ほらどうだい、円を基準として考えれば、円高より円安の方が日本企業は儲かる理屈になっているのさ」
木「あら、やだ、本当だ」
I「実際は取引を円建てにするかドル建てにするのかとか、本当はこんな単純な話じゃないけどね、しかし円安の方が儲かりやすいという単純な原理は今の単純な話で説明つくと思うよ」
木「かねがね私がなっとくできない現象について優しい説明ありがとうございました、ためになりました」
I「ハハハ、こんなの難問じゃないって、単純な話だって」
木「・・・(汗」

 またひとつ勉強になりましたですね。

 うーむ、経済は深いのであります。
 (↑お前の知識が浅いだけじゃないのか(苦笑))

 ・・・(大汗

 ・・・

 ジャンジャン。



(木走まさみず)