木走日記

場末の時事評論

驚きの読売スクープ「鴨下環境相借入金800万円説明できず」〜官側に情報リーク者がいる可能性

●読売スクープ〜鴨下環境相、資金団体「借入金800万円」説明できず

 読売のスクープです。

 本日(5日)の読売新聞電子版記事から。

下環境相、資金団体「借入金800万円」説明できず
安倍改造内閣

 鴨下一郎環境相(58)(衆院東京13区)の資金管理団体が8年間にわたり、政治資金収支報告書に1000万円と記載し続けてきた借入金が、借入時の収支報告書では200万円しか記載されていなかったことが、読売新聞の調べで分かった。

 差額の800万円について、鴨下氏の事務所は「借入金額を裏付ける書類が残っておらず、分からない」としており、明確に説明できていない。鴨下氏本人は「ずさんと言われれば、甘んじて受けなければならない。反省している」と話している。

 政治資金規正法では、政治資金の透明性を確保し、政治活動の公正さを検証できるようにするため、政治団体の収入や支出だけでなく、所有不動産や負債など資産の記載を義務付けている。借入金は、借りた年に収支報告書の「収入」欄に記載し、100万円以上の残高や借入時期を「資産等」欄に書かなければならない。返済すれば、「支出」欄に記載の必要がある。

 鴨下氏の資金管理団体(現・政策パラダイム研究会)の1998〜2005年の収支報告書の「資産等」には、96年8月に同団体が鴨下氏個人から借りたとする1000万円が記載され続けている。ところが、96年の収支報告書の「収入」に記載されている借入金は、200万円だけだった。

 鴨下事務所は当初、読売新聞の取材に対し、最近の収支報告書の記載に沿って「96年の借入金も1000万円だった可能性が高い」としていた。しかし、96年の収支報告書に書かれていた200万円との差額800万円は、どこにも記載がなく、支出の時期も使途も書かれていない。

 同事務所は4日になって、「確たる証拠は手元にないが、使途不明金はありえず、当時の借入金は200万円だった可能性が高い」として、収支報告書の借入金額を1000万円から200万円に訂正する意向を示した。だが、200万円が事実なら、鴨下氏からの借入金は8年間にわたり、実際より800万円も多く記載されていたことになる。

 鴨下氏が衆院議長に提出した資産等報告書によると、鴨下氏の貸付金残高は00年6月に820万円、03年11月と05年9月はゼロとなっている。資金管理団体の借入金が1000万円でも200万円であっても、収支報告書の記載とは大きく食い違っている。

 鴨下氏は4日の取材に「ずさんというそしりは甘んじて受ける。申し訳ない。根拠が十分ではないが、質問には精いっぱい答えているつもりだ」と話した。

(2007年9月5日3時0分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070905it01.htm?from=top

 驚きです。

 うーん、鴨下氏は「ずさんというそしりは甘んじて受ける。申し訳ない。根拠が十分ではないが、質問には精いっぱい答えているつもりだ」と述べておりますが、差額が800万円とは額の大きさが気になります。

 話の進展しだいではこの問題、安倍政権の命運が尽きる、政権にとどめを刺すような事態を招くことになるかもしれません。

 それはさておき、この読売のスクープですが、衆院議長に提出した資産等報告書まで裏取りしていることから、不正を確信したうえで事務所や本人の談話も押さえています、じっくりと調べ上げた上での自信作(?)なのでしょう。

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●官側に情報リーク者がいる可能性

 しかし私が驚きを隠せないのは、このタイミングで次々に新閣僚の不正をスクープするメディアの取材力であります。

 あなたたち、そんなに取材力ありましたっけ?(苦笑

 遠藤武彦氏の補助金不正は確か朝日のスクープと記憶していますが、メディアには失礼な言い方になりますが、あたかもターゲットの分担を決めて徹底的に洗い出しを行っているのではと疑いたくなるような、裏取りとタイミングの良さなのです。

 もちろん安倍政権の「身体検査」の甘さを指摘すべきなのでしょうが、ここまでスクープが連発すると、どうも腑に落ちないのであります。

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 例えば、関連省庁が安倍政権の「身体検査」には非協力的であり情報提供をしぶり、逆にメディアには意図してリークしていたとしたら、スクープ連発も納得なのです。

 スクープ記事の情報提供ソースはメディアは決して明かさないのが鉄則ですから、憶測でしか語ることができないのですが、一連のメディアの新閣僚不正スクープは、その情報精度の確かさ、裏取りとタイミングの良さを考えると、上記読売スクープも本当に「読売新聞の調べ」でわかったのか、それとも情報リーク者がいたのではないか、穿って考えると後者の可能性が高いのではないか、と私は強く疑っています。

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 マスメディアによる安倍政権の新閣僚の不正スクープ報道が止まりません。

 安倍政権の事前「身体検査」がほとんどチェック機能を果たしていなかった事実と一連のマスコミスクープを合わせて考えると、役所側からメディアへの情報リーク者がいるのかも知れません。

 マスメディアの独自調査だけとは考えにくいのであります。

 官側に情報リーク者がいる可能性があると思います。



<追記>2007/9/5 11:30

 読売が本件の続報記事を同日、早くも打ちましたので追記しておきます。

借入金問題、鴨下環境相「詳細に調べ説明する」

 鴨下環境相の資金管理団体の不透明な借入金問題で、鴨下氏は5日朝、都内で記者団に対し、「事実関係について詳細に調べて、皆さんに報告したい」と述べ、同日中にも記者会見などで説明する考えを示した。

 また、鴨下氏は「きちんと説明して、納得いただけるかどうかどうかに全力を尽くしたい」と述べ、現時点では閣僚を辞任する考えはないと強調した。

 与謝野官房長官は鴨下氏から事情を聞く方向だ。与謝野氏は5日朝、都内のホテルで自民、公明両党の幹事長、国会対策委員長と会談し、10日からの臨時国会への対応などを協議した。閣僚の「政治とカネ」をめぐる問題がまた表面化したことに対し、政府内では「鴨下氏は実際にお金を貸しているが、うまく記載できていないのではないか。不正に使ったわけではないのだろう」という見方が出ている。だが、鴨下氏の説明次第では野党からの辞任要求が強まる可能性がある。

(2007年9月5日11時3分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070905i103.htm?from=navr

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(木走まさみず)