木走日記

場末の時事評論

2年半に10人も農相をコロコロコロコロ替えるステキな国家ニッポン

 まったく呆れてモノが言えません。



●同一人物が3ヶ月で農相3回目の就任〜有史以来人類政治史上初の快挙だ! ギネスに申請しなさい、ギネスに(苦笑〜日本の農相よ、お前の寿命はアブラゼミの成虫か(怒

 今日(3日)の朝日新聞電子版速報記事から。

遠藤農水相引責辞任 後任に若林前環境兼農水相

2007年09月03日13時23分

 遠藤農林水産相は3日午前、組合長を務める農業共済組合補助金不正受給問題の責任をとり、安倍首相に辞表を提出、受理された。首相は記者団に「任命責任はすべて私にある」と認めた。与謝野官房長官は記者会見で、後任に若林正俊前環境兼農水相(73)を充てる人事を発表。政治資金収支報告書への会議費の重複計上が発覚した坂本由紀子外務政務官も同日、辞任した。参院選惨敗を受け、政権浮揚をかけた内閣改造からわずか1週間で閣僚らが相次いで辞任し、首相の政権運営能力が再び問われる事態となった。民主党など野党側は10日召集の臨時国会で、最終的には問責決議案提出を視野に首相の任命責任を追及するとともに、補助金など農水省の構造的な問題を取り上げる方針だ。

(後略)

http://www.asahi.com/politics/update/0903/TKY200709030031.html

 就任わずか8日でアブラゼミの成虫のようにはかなく散った遠藤農林水産相なのであります。

 お疲れさまです、ご苦労様です、また、後任の若林正俊前環境兼農水相、就任おめでとうございます。

 若林正俊さんの大臣再任でありますが、メディアではまったく触れていないですが、これはたぶん世界初の快挙ですよね。

 ちょっと過去1年足らずの安倍政権歴代農相の在任期間を表にまとめてみました。

氏名 就任日 在職日数 備考
初代 松岡利勝 2006年9月26日 234日 在任中自殺
2代 若林正俊 2007年5月28日 4日 臨時代理
3代 赤城徳彦 2007年6月1日 62日 事務所費問題・バンソウコウ
4代 若林正俊 2007年8月1日 26日 環境大臣兼任
5代 遠藤武彦 2007年8月27日 8日 補助金不正
6代 若林正俊 2007年9月3日 ???日

 こうして表にまとめてみるとすごいことになっているのであります。

 臨時代理も含めるとわずか一年足らずで今回の若林さんが安倍政権農水大臣のべ六代目なのであります。

 六代目襲名おめでとうございます(爆

 そして若林さんに限れば、わずか3ヶ月余りの短期間で今回の襲名じゃなかった就任で実に3回目の農相就任であります。

 同一人物が3ヶ月で農相3回目の就任ですよ。

 月一回のペースですよ、これは。

 私が記憶している限り、諸外国も含めて3ヶ月間の間に同じ担当大臣を3回就任した人物は前代未聞であります。

 おそらく有史以来人類政治史上初の快挙でございましょう(爆

 安倍さん、この快挙は任命責任者であるあなたの手柄とも申せましょう。

 ギネスに申請しなさい、ギネスに(苦笑

 絶対登録されます、普通の国ではあり得ないことです。

 ・・・

 ふう。

 アホか・・・

 こういうのは普通国の恥、国辱と表現するのです、快挙ではなく愚挙ですよね。

 しかし何なんでしょう、この日本の農水大臣の短命ぶりは。

 8日ですか・・・

 日本の農相よ、お前の寿命はアブラゼミの成虫か(怒

 ・・・



●2年半に10人も農相をコロコロコロコロ替えるステキな国家ニッポン

 もうね、過去一年足らずの安倍政権下で利勝君→正俊君→徳彦君→正俊君→武彦君→正俊君(親近感を込めてファーストネームで君付けして呼称させていただきます(苦笑))と、こうコロコロコロコロ大臣が替わってしまっては、諸外国の農相もお困りでしょうね。

 アメリカのマイク君も誰を相手にしていいのかお困りのようです。

 一昨日(1日)の読売新聞から。

米農務長官、輸入牛肉の月齢制限撤廃求める方針

 【ワシントン=矢田俊彦】マイク・ジョハンズ米農務長官は、日本の米国産牛肉の輸入条件について、「(月齢制限のない)国際獣疫事務局(OIE)基準を採用すべきだ」と述べた。

 日本は、輸入条件を現在の「月齢20か月以下」から「月齢30か月未満」に緩和する方針だが、米国は月齢制限の撤廃を求めていく方針を改めて示した。29日にイリノイ州で開かれた農業団体との会合後に語った。

 OIEは5月に、米国を月齢制限なしで牛肉を輸出できる「準安全国」に認定している。

(2007年9月1日10時48分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070901i103.htm

 マイク君にしたって就任は2005年の1月だからすでに在職2年8ヶ月なんですよね。
 ちょっと主要国(G8)の農相の在任期間を直近2年で表にまとめてみました。

国名 省名 氏名 就任年月
アメリカ】 農務省 マイク・ジョハンズ 2005年1月
【ドイツ】 食料・農業・購買者保護大臣 ホルスト・ゼーホーファー 2005年10月
【イギリス】 環境・食糧・農村地域大臣 デービッド・ミリバンド 2005年5月
【イギリス】 環境・食糧・農村地域大臣 ヒラリー・ベン 2007年6月
【フランス】 農業・食料・漁業・農村大臣 ドミニック・ビュスロー 2005年6月
【フランス】 農業・食料・漁業・農村大臣 ミシェル・バルニエ 2007年6月
【イタリア】 農業・林業政策大臣 ジャンニ・アレマンノ 2001年6月
【イタリア】 農業・林業政策大臣 パオロ・デ=カストロ 2006年5月
【カナダ】 農業・農産食料大臣 アンドルー・ミッチェル 2004年7月
【ロシア】 農漁大臣 アレクセイ・バシーリエビッチ・ゴルデーエフ 1999年8月

 ごらんください、ここ2年半でアメリカ・ドイツ・カナダ・ロシアでは農業担当は一人でこなしています、ロシアのアレクセイ・バシーリエビッチ同志にいたっては8年間在職しております(苦笑)

 その他のイギリス・フランス・イタリアにしたって、たまたまこの期間で内閣が替わったので2名にはなっていますが、それぞれの前職者の就任期間を見ればやはり2年以上なのであります。

 つまり、この2年半をとりあげても、日本以外の主要国では、農相は1人だけ、替わっても当たり前ですが2人だけなのです。
 え? 日本はどうかって?

 では恥ずかしながら同期間の我らが日本の農相の表であります。

国名 省名 氏名 就任年月
【日本】 農林水産大臣 島村宣伸 2004年7月
【日本】 農林水産大臣 小泉純一郎 2005年8月
【日本】 農林水産大臣 岩永峯一 2005年8月
【日本】 農林水産大臣 中川昭一 2005年10月
【日本】 農林水産大臣 松岡利勝 2006年9月
【日本】 農林水産大臣 若林正俊 2007年5月
【日本】 農林水産大臣 赤城徳彦 2007年6月
【日本】 農林水産大臣 若林正俊 2007年8月
【日本】 農林水産大臣 遠藤武彦 2007年8月
【日本】 農林水産大臣 若林正俊 2007年9月

 ははは、みなさん、臨時も含めれば10人ですよ、10人。

 スバラシイ(パチパチパチパチ

 ・・・

 ふう(タメイキ

 ぜんぜん素晴らしくないです。

 あのですね、いったい世界の何処に2年半に10人も農相をコロコロコロコロ替える馬鹿な国家があるのでしょうか?

 各国とも農業政策にはしっかりとした国策を有しており、ここ10年国際会議では各国の利害がもろにぶつかり合う外交戦が展開されてきています、各国にとり農業担当閣僚は重要ポストであり国際会議での発言力をキープするためにも2年以上の長期在職が一般的なのであります。

 ・・・

 これじゃ、世界に向かって日本の農相なんて発言力を持てるはずがありません、日本の農相なんて誰がやってもやらなくても何の役にもたっていないことを証明しているようなモノなのであります。

 2年半に10人も農相をコロコロコロコロ替えるステキな国家ニッポンなのです。


(木走まさみず)



<関連テキスト>
■[政治]お下品な朝日の世論調査からこの国の政権交代サイクルは異常に速すぎる事実を憂いてみるの巻
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070801/1185935231