木走日記

場末の時事評論

事務所経費もマネジメントできない愚者は国会議事堂から即刻退去すべし!

『過ちて改めざる、是を過ちと謂う』(論語

 だれだって過失を犯すことはあります。ところが、世の中には気が付いていながら改めようとしない人がいます。それこそが本当の意味で「過失」なのであると、孔子は申しております。



●『死せる孔明生ける仲達を走らす』のバンソーコー版

 今日(7日)の産経新聞電子版速報記事から。

赤城前農水相、報告書また訂正 

 赤城徳彦農水相衆院茨城1区)が代表を務める自民党茨城県第1選挙区支部が6日、茨城県選管に対し、政治資金収支報告書に添付していた領収書5枚を削除する訂正手続きをした。

 県選管によると、訂正されたのは、衆院選のあった平成17年の政治資金収支報告書で、領収書は印刷費などの名目だった。同年の収支報告書では、同支部と赤城氏の後援会の2政治団体が総額約272万円にのぼる同一の領収書を経費として計上していたと一部で指摘されており、これを受けての訂正とみられる。

 赤城氏をめぐっては、実家を主たる事務所とした後援会の事務所経費問題のほか、15年分の後援会と同支部の報告書に同じ領収書コピーが添付される二重計上が発覚。1日の農水相辞任会見の際、赤城氏は「間違いは(郵便局名など)2カ所だけ」としていた。

(2007/08/07 01:47)
http://www.sankei.co.jp/seiji/seikyoku/070807/skk070807000.htm

 自民党茨城県第1選挙区支部と赤城氏の後援会の2政治団体が総額約272万円にのぼる同一の領収書を経費として計上していたと一部で指摘を受けての、訂正手続きだそうであります。

 一部メディアの執拗な報道に後追いで訂正手続きを繰り返している赤城氏なのでありますが、死して(辞任して)なお、メディアを走らし安倍政権の足を引っ張っているという当たりさすがですな、『死せる孔明生ける仲達を走らす』のバンソーコー版ですな、かなり強引で迷惑な使い方ですが(苦笑

死せる孔明生ける仲達を走らす

読 み: しせるこうめいいけるちゅうたつをはしらす
意 味: 偉大な人物というものは、生前の威光が死後も残っており、人々を恐れさせるということ。
解 説: 中国の三国時代、蜀の諸葛孔明が魏の司馬仲達と五丈原で対陣中に病死した。軍をまとめて帰ろうとした蜀軍を仲達はただちに追撃したが、蜀軍が反撃の構えを示したため、仲達は孔明の死の知らせは何か策略があるのだろうと疑い、退却したという『三国志』の故事から。

ことわざデータバンク より
http://www.sanabo.com/kotowaza/arc/2004/01/post_543.html

 ・・・



●「打落水狗」つまり「水に落ちた犬は打て」

 なぜ一部メディアが執拗に赤城事務所の不始末を「溺れた犬を棒で叩く」ように追及しているのかと言えば、これはもう安倍政権への間接的揺さぶり・攻撃であると見なしていいでしょう。

 赤城さんが醜態を晒せば晒すほど、任命責任者で当初徹底して赤城さんを守ろうとして選挙で惨敗した後で、遅きに失するかたちで赤城さんだけを辞任させた安倍政権の情けない対応が浮き彫りとなるからです。

 最近の内閣支持率では22%とかいう値が示され安倍政権自身すでに「溺れた犬」のような状態なのでありますが、一部メディアは赤城さんの大臣辞任でもってこの問題の免罪符とはしていないようです。

 『阿Q正伝』などで知られ、20世紀の中国を代表する作家、魯迅は革命運動家でもありましたが、その魯迅の言葉として有名なのが「打落水狗」つまり「水に落ちた犬は打て」であります。

 ・・・

 メディアの意図がどこにあろうが、政治資金に貴重な税金が投入されている以上、大臣を辞めても国会議員である限りこの問題は免罪されない、国民感情としては当然なのであります。

 大臣を辞任させて事足りたと済ましたい安倍政権、しつこく赤城さんの不正経理を追及するメディア、この構図にこそ、今日の安倍政権の危機管理能力の欠如がシンボリックに浮かび上がっていると思うのです。

 安倍さんはじめ自民党幹部の諸氏が今回の参院選で示された国民の怒りのレベルを正しく認識されているとは私には思えないのです。

 ・・・



●「香典などの慶弔費、切符などは領収書をもらうのが難しい」〜この期に及んで慎重論相次ぐ自民党コンプライアンス(法令順守)小委員会

 2日付け朝日新聞記事から。

「領収書、1円以上から公開が民意」 中川自民党幹事長
2007年08月02日00時29分

 自民党中川秀直幹事長は1日の会見で、党が検討している政治資金規正法の再改正について、「私個人の意見だが、政治団体全体を対象に1円以上から領収書を公開するのが、民意の大勢だと受け止める。政治活動の自由の視点は、国民に受け入れられなかった」と述べ、透明性の向上に前向きな考えを示した。

 さらに「法改正は秋の臨時国会以降だが、内閣改造前に流れを先取りし、閣僚も対応できる(党の)規約をつくっておく必要がある」と述べ、週内にも党改革実行本部で党規約の骨格を作成する考えを示した。
http://www.asahi.com/politics/update/0802/TKY200708010461.html

 選挙に大敗した後1日の時点で自民党中川秀直幹事長は、「私個人の意見だが、」と前置きしたうえでですが、「政治団体全体を対象に1円以上から領収書を公開するのが、民意の大勢だと受け止める」と会見で発言しました。

 それを受けて、自民党の党改革実行本部(本部長・石原伸晃幹事長代理)は、政治団体の事務所費などの経常経費(人件費を除く)全支出に領収書添付を義務づけることで協議に入ったのであります。

 3日の読売新聞記事から。

政治団体の支出、外部監査結果を報告…自民小委が方針確認
衝撃 与党惨敗

 自民党の党改革実行本部(本部長・石原伸晃幹事長代理)は3日、党本部でコンプライアンス(法令順守)小委員会を開き、所属国会議員は政治団体などの過去3年間の経常経費支出について外部監査を受け、その結果を報告することを党規約に定める方針を確認した。

 また、党所属国会議員に対し、資金管理団体や関係の深い政治団体の事務所費などの経常経費(人件費を除く)全支出に領収書添付を義務づけることで協議に入った。しかし、出席した議員から「香典などの慶弔費、切符などは領収書をもらうのが難しい」「新しい執行部で政治資金規正法改正の論議を進めた方がいいのではないか」など慎重論が相次ぎ、継続して協議することになった。

 小委の冒頭、石原本部長は「参院選でも政治とカネを巡る問題が大きな焦点となった。わが党としても、さらなる政治資金の透明化へ研究を深め、党員や国会議員の理解を得て、成案を得たい」と述べた。

(2007年8月3日13時28分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070803i305.htm

 「香典などの慶弔費、切符などは領収書をもらうのが難しい」

 「新しい執行部で政治資金規正法改正の論議を進めた方がいいのではないか」

 参院選挙で惨敗したこの期に及んでも、「全支出領収書添付を義務づけ」に慎重論相次ぐ自民党コンプライアンス(法令順守)小委員会なのであります。

 ・・・

 呆れるばかりです。

 この自民党コンプライアンス(法令順守)小委員会の民意からの乖離・コンプライアンス(法令順守)感覚の麻痺は、国民から見ればまさに『過ちて改めざる、是を過ちと謂う』なのであります。



●事務所経費もマネジメントできない愚者は国会議事堂から即刻退去すべし!

 毎年決算においてそれこそ全ての経費を1円単位で報告する義務を負っている一民間零細企業経営者の立場から一言、自民党国会議員の先生方に苦言を申したいのです。

 「香典などの慶弔費、切符などは領収書をもらうのが難しい」などとわけのわからない能書き言ってるから、日本中の民間企業関係者や個人事業主の方々から冷笑されるのです。

 確かに香典などの慶弔費などは領収書をもらうことなど常識から言ってできません。

 では、一般の民間会社では会社として慶弔費が発生した場合どうしているのか、領収書に替わる税務調査で裏付けとなる資料を添付します。

 葬儀に参列した証になるたとえば先方の挨拶状とかを添付します。なおかつ会計台帳にはしっかりと何月何日に誰々の葬儀に金何円慶弔費支出と、その支出の相手方と摘要を明記すればいいだけです。

 交通費に関しても同様です。

 交通費明細として何月何日にどこどこに出張、交通手段として飛行機であれ新幹線であれその利用区間と料金を明記、つまり交通費としてその支出の相手方と摘要を明記すればいいだけです。

 私は15年零細企業を経営していますが、過去の税務調査において徹底的に交通費の裏取りをされたことがあります。

 ランダムにある一ヶ月の弊社の全従業員の交通費をピックアップし、勤務台帳等他の管理資料やときには相手方の企業にまで調査して、何月何日にだれだれどこどこにいくらの交通費が発生しているがそれは本当だったか、徹底的に調査された経験があります。

 そのときは幸いにもすべて正しいことが判明し、「どうやら健全に計上しているようですね」と担当官から認めてもらえましたが、もし1点でも不正が発覚したら大変です、過去3年の全ての交通費が精査されていたことでしょう。

 「香典などの慶弔費、切符などは領収書をもらうのが難しい」などと素人発言されては困るのです。

 民間企業では当たり前に管理していることです。

 ・・・

 自民党中川秀直幹事長は1日の会見で、「政治活動の自由の視点は、国民に受け入れられなかった」とも述べたそうですが、これは誤解です。

 一部で政治家たるモノ、庶民感覚ではなく大所高所から政治活動は行うべきであり、一円にこだわっていては小物政治家になってしまう、といった暴論も聞こえてきます。

 国民は「政治活動の自由」を否定などしていませんし、政治家には大所高所から政治活動を行ってほしいと考えています。

 ただ政治活動の資金には税金も投入しているのだからその支出明細は透明性を担保すべき、と当たり前のことを求めているだけです。

 また一部には一円からの経理管理は膨大な事務作業を発生させるという懸念もあると言います。

 バカも休み休み言いなさい、そんなこといったら民間企業の経理担当者や自身でしっかり経理されている個人事業主に物笑いにされますよ。

 事務所ごと、団体ごとにしっかりと責任ある経理担当を一人設けて管理すればよいだけです、なんだったらその人は秘書兼任だって構いません。

 民間団体が当たり前に義務として管理していることをなぜ政治団体だけができないというのか、根拠を具体的に示してほしいです。

 ・・・

 自身の政治団体の事務所経費のマネジメントすらできない人が、国をマネジメントできるとは到底思えません。

 政治家とは究極的には税金による国家予算の適正配分が使命であります。

 自身の政治団体の事務所経費すら杜撰に放置してしまう人が、大切な国家予算・省予算を国益のために配分する使命を全うできるはずはありません。

 ・・・

 あえてきつい檄文調でこの小論を結びたいと思います。



 事務所経費もマネジメントできない愚者は国会議事堂から即刻退去すべし!



(木走まさみず)