木走日記

場末の時事評論

公約どおり早くも『獅子身中の虫』となった丸川珠代氏〜「珠代、涙がでちゃう」夕暮れの感動劇場

kibashiri2007-07-20


 丸川珠代氏のホームページから。

私の決意

私はこの国に生まれ、この国に育てられたことに感謝しています。

日本は、時代ごとに社会のひずみや、解決の難しい問題を抱えてきました。けれども、すべての国民が保険に入り、高い教育を受け、すぐれたモノづくりの力を持っています。それを支えているのは目の肥えた消費者、つまり私たちひとりひとりです。どんなに安くても、使う人の気持ちになって、手を抜かずモノをつくり、サービスを提供する。それこそが日本人の心意気です。だからこそ、日本は世界から信頼を得てきたのです。この国、日本がそれを私に教えてくれました。アメリカという世界一の経済大国でそのことに気づかされました。

私は母子家庭で育ちました。母が医師をしていたため、幸いにも不自由なく暮らすことができました。幸運にもアナウンサーという仕事につくこともできました。これも母が収入のほとんどを私の教育につぎ込んでくれたおかげです。その母があるとき病気になりました。そのとき以来、母と祖母は二人で助け合う生活を余儀なくされました。二人の頼りは年金と私の仕送りでした。そのとき初めて、私は未来へのあてどない不安を感じました。
もし私が病気になったら、母と祖母はどうやって暮らしていくのだろう。

幸いにも私はここまで、家族を支えられるだけの仕事と、健康に恵まれました。でもそれがかなわず、なお不安を背負う人たちが、東京には少なくありません。これまでの幸運に、母の教育に、この国に感謝しているからこそ、与えられたこの機会に、私はそのお返しをしたいと思います。
批判ならメディアにいてもできる。政策を練るなら大学に戻ってもできる。法案を問うだけなら野党でもできる。でも今まさにこれから生まれようとする法案に、変わろうとする価値観に、少しでも私の熱い思いを反映するなら、政権与党の真ん中にその声を届けるしかない。だから私は自民党から国政への挑戦を決意しました。

権力が過ちをおかしたときには、もちろん獅子身中の虫となってその過ちを正す覚悟です。

どうぞ皆さん、力を貸してください。

丸川珠代オフィシャルサイト より抜粋
http://www.t-marukawa.jp/mind.html

 すばらしい「決意」でありますね。

 特に「これまでの幸運に、母の教育に、この国に感謝しているからこそ、与えられたこの機会に、私はそのお返しをしたい」というお気持ちは素晴らしいです、失礼ながら36才という若い人にしてはとてもしっかりとした愛国の心をお持ちなんだと感心しました。
 で、少し気になったのが決意の結語の当たりなんですが。

「批判ならメディアにいてもできる。政策を練るなら大学に戻ってもできる。法案を問うだけなら野党でもできる。でも今まさにこれから生まれようとする法案に、変わろうとする価値観に、少しでも私の熱い思いを反映するなら、政権与党の真ん中にその声を届けるしかない。だから私は自民党から国政への挑戦を決意しました」

 えーっと、「批判」も「政策を練る」のも「法案を問う」のでもなく、「政権与党の真ん中にその声を届ける」ために、「自民党から国政への挑戦を決意」することにしたんですね。

 そうか、だから国民の権利である投票権を行使することなく過ごしてきたのかあ・・・
 ・・・

 なんだかなあ(苦笑)



●「珠代、涙がでちゃう」夕暮れの感動劇場〜なんだかなあ(苦笑)

 スポーツ報知速報記事から。

丸川珠代氏号泣

 元テレビ朝日アナウンサーの丸川珠代氏(36)=自民・東京選挙区=が19日、みそぎの黒いスーツ姿で涙を流し、選挙の投票に行っていなかった「選挙権問題」からの出直しを誓った。武蔵小山駅前の演説では涙をぬぐい、同行した片山さつき衆院議員に抱きつき、号泣。また、遊説場所が重なった女優の若尾文子氏(73)=共生新・比例代表=の前では存在感を示せないなど、逆風はまだやみそうにない。

 珠代、涙がでちゃう―。武蔵小山駅前に立った午後6時過ぎ、丸川氏は前日同様「投票権を行使していなかったこと、恥ずかしい思いでいっぱいであります」と演説を始めた。23秒間、頭を下げ続けたところで、聴衆から励ましの声。つぶれた声で何とか演説を終え再び頭を下げたが、顔を上げられない。下を向いたまま袖で2回、涙をぬぐった。

 演説後の握手を終え、向かったのは応援に駆けつけたさつき氏の腕の中。ほおをうずめて涙する後輩を抱いたさつき氏は「こういう人間味のある人だから! どうぞよろしく!」と絶叫した。

 「本当に恥ずかしいばかりで」丸川氏は涙の理由を説明してまた涙。いつもの白ではなく、黒いツーピースを着たことには「みなさんに反省の気持ちが少しでも伝われば」と、絞り出した。

 夕暮れの感動劇場で、出直しの決意を存分に表現した丸川氏。この日はさつき氏、塩崎恭久官房長官とともに、商店街を1時間45分かけて練り歩いた。さつき氏は「(選挙権問題から)再チャレンジさせてほしいわね」と語ったが、立ちはだかる壁は一つではなかった。

(中略)

 ◆丸川氏の選挙権問題 発端は16日に行った新宿区役所での期日前投票。意気揚々と出向いたが、04年6月に海外勤務から帰国していたのに、今年4月まで転入届を未提出だったことが判明。転入届提出後3か月が経過しないと区の選挙人名簿に登録されないため、選挙権がない形となり門前払いされた。住民税も払っていなかったのでは、との“疑惑”に対しては、テレビ局勤務時代の源泉徴収票のコピーを公表。支払いを証明したが、05年衆院選などの選挙に行かなかったことが明らかになった。

(2007年7月20日06時02分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20070720-OHT1T00080.htm

 「演説後の握手を終え、向かったのは応援に駆けつけたさつき氏の腕の中。ほおをうずめて涙する後輩を抱いたさつき氏は「こういう人間味のある人だから! どうぞよろしく!」と絶叫」ですか・・・

 なんだかなあ(苦笑)

 「珠代、涙がでちゃう」夕暮れの感動劇場(苦笑)を報じるスポーツ報知記事なのでありますが、まあ今回被選挙権を行使して立候補した元アナウンサーが実はこの4年選挙権を行使していなかったという「おそまつ」なわけであります。

 別に過去に選挙に行かなかった人は立候補しちゃいけないという法律があるわけじゃないですし、そんなこといったら、チリで軟禁中の国民新党比例区候補のフジモリ元ペルー大統領なんて、間違いなく一回も日本で選挙権を行使していないはずですから(苦笑)

 だからこんなことどうでもいいのですが、ようは担がれて立候補を決意する時に、転入届未提出で住民票がないことを普通だったら自覚して、こういう醜態を晒すようなことを徹底的に避けるという最低限の危機管理をするところを、自ら報道陣引き連れて「期日前投票」に行ったら門前払いされちゃった、という政治家を志す者にあるまじき大まぬけな人だったというだけであります。

 いつもの白ではなく、黒いツーピースを着たことには「みなさんに反省の気持ちが少しでも伝われば」との想いからだそうですが、よくわかりませんが「反省」なんかしなくてよろしいのであります、東京都民からすれば丸川珠代氏がどのような人物なのか、投票する上で大変参考になる事例を提供いただいたわけですから、むしろ有権者は感謝すべきでしょう(苦笑)

 ・・・

 丸川さんの「決意」の締め言葉から。

権力が過ちをおかしたときには、もちろん獅子身中の虫となってその過ちを正す覚悟です。

どうぞ皆さん、力を貸してください。

 ・・・

 丸川さんのこの獅子身中の虫の使い方が今となってはイタイのです。

獅子身中の虫
1.獅子の体内にいる虫が、その寄生している獅子の肉を食って、終(つい)には倒してしまうということ。
2.仏徒でありながら仏教に害を為す者のこと。転じて、味方でありながら内部から禍(わざわい)を齎(もたら)すこと。恩を受けた者に仇(あだ)で報いること。
http://www.geocities.jp/kurogo965/kotowaza5/page41.html

 投票前から「味方でありながら内部から禍(わざわい)を齎(もたら)すこと」をして公約を守った丸川さんなのであります(苦笑)。

 ・・・

 公約どおり早くも自民党にとり『獅子身中の虫』と化した丸川さんの今後の健闘を祈念しております。

 ジャンジャン。



(木走まさみず)