祝!菅直人氏またしてもの比例復活!!あなたの政治的「生命力」は超人的です!!!〜読者の皆さん。このクソのような重複立候補制度は即刻廃止すべきです。
『悪法も法なり』という法諺(ほうげん。法律がらみの格言・ことわざ)があります。
ラテン語で "Dura lex, sed lex"("The law is harsh, but it is the law":「法は過酷であるが、それも法である」)と言います。
一般にはソクラテスが言ったとされていますが、ソクラテスの言行を記録したとされる文献である『クリトン』に、似た内容の話の記述があります。
現行の公職選挙法では、惜敗率(小選挙区における当選者の得票数に対する落選候補者の得票数の割合のこと)が高い落選者から比例区で復活」させるという、重複立候補制度が用意されています。
公職選挙法が「悪法」かどうかはさておき、この法諺の意味するところを今回の選挙結果にからめて当ブログなりに整理しますと、次のように集約できます。
『悪法も法なり』の意味する一点は法治国家としては現在実効されている法の遵守が第一なのだという当たり前のルールです。
法治国家においては、たとえ問題があっても現在有効な法律には従わなくてはならないのです。
悪法といえども法なのだから、その法に基づく諸制度およびその運用の結果も尊重されなければなりません、それが法治国家です。
従って公職選挙法が規定している惜敗率(小選挙区における当選者の得票数に対する落選候補者の得票数の割合のこと)が高い落選者から比例区で復活」させるという重複立候補制度の運用とその結果は、我々有権者は尊重しなければならないのは当然のことです。
『悪法も法なり』の意味するもう一点は人の作る「法」の限界性であります、人の作る法は必ずしも「正義」を体現できているわけではない、ときに正義とは矛盾する「悪法」も存在しうるという事実です。
したがって人の作った法や制度について、その絶対正義を盲目的に過信することなく、たえず謙虚にその内容が社会正義と矛盾することがないかを、チェックし続けることは大切です。
もし改正の必要が見出されたならば、その場合もあくまで現行法を遵守しつつですが、正規の手続きを踏み、より良い法や制度に改正すべき将来の手続きを踏めば良いということです。
現行の公職選挙法や重複立候補制度においても100%のものではありません。
その結果は尊重しつつ、問題点を議論することは重要です。
選挙前、当ブログでは過去に東京の小選挙区で落選ししかし比例復活をした海江田氏および菅氏の例を検証しつつ、「ゾンビ議員のセーフティネットと化した衆議院重複立候補制度は即刻廃止すべき」と主張いたしました。
2014-12-08■何度も死んで(落選して)も必ず蘇る(比例復活)ゾンビ議員問題〜ゾンビ議員のセーフティネットと化した衆議院重複立候補制度は即刻廃止すべき
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20141208
「小選挙区制の欠点である高い「死票率」を低める効果が期待される」重複立候補制度の意義を認めつつも、実際には「実際の運用は、党利優先の小選挙落選議員のセーフティネットと化して」いると批判いたしました。
さて本来惜敗率の高い落選者を復活させる、小選挙区制の欠点である高い「死票率」を低める効果が期待される重複立候補制度なのですが、今検証した通りその目的意義は理解できるのですが実際の運用は、党利優先の小選挙落選議員のセーフティネットと化しています。
そもそもこの日本が採用している国際的にも特異な重複立候補制度なのですが、本当の意味で「死に票」を「生きた票」にしているのか、根本的なしかし重大な問題を抱え込んでいます。
復活当選した候補者への票は基本的に死票に該当しないとされるわけですが、これはその候補者およびそれに投票した支持者に限って成立する極めて限定的な「定義」であります。
この制度は「政党議席増加に使われない点で「死に票」そのものだ」、「政党にとって単に獲得した議席の奪い合い、いうなれば「共食い」をしているだけ」だと指摘いたしました。
少し広義に解釈すれば、例えばその所属政党・所属政党の支持者の視点から見れば、これらの票は政党議席増加に使われない点で「死に票」そのものだからです。
重複立候補制度は所属政党にしてみれば、小選挙区で政党議席の増加に失敗して落選した者が、比例のみで立候補した者の当選枠を奪っているにすぎないのであり、政党にとって単に獲得した議席の奪い合い、いうなれば「共食い」をしているだけなわけです。
この制度により議席が増えない点で「死に票」なのであります。
「国民視点で考えれば、もっとおかしな制度」であり、「NOを突き付けて落選させたはずの議員が、その「死に票」によってこのセイフティーネット制度・重複立候補制度により「復活」をする」おかしな制度であり、「国民視点で見れば民意に背く結果」を招いていると指摘しました。
さらに広義な視点、国民視点で考えれば、もっとおかしな制度であります。
少なくとも小選挙区において有権者(投票者)の大半がその議員の当選にNOを突き付けて落選させたはずの議員が、その「死に票」によってこのセイフティーネット制度・重複立候補制度により「復活」をするわけです。
これは文字通り本来死んだ人間が蘇るという点でゾンビ議員の誕生を意味します。
ゾンビ議員によっては何度も死んで(落選して)も必ず蘇る(比例復活)を繰り返すことになります。
国民視点で見れば民意に背く結果になってしまいかねません。
これでは逆に有権者の投票意欲をそぐ結果になりましょう。
当ブログとしては、この問題の多い重複立候補制度の即刻廃止を強く訴えるものであります。
「これでは逆に有権者の投票意欲をそぐ結果」を招くと危惧してエントリーを結びました。
さて当ブログの予言(?)通り、今回の総選挙の最後の一議席は民主党東京1区で落選した海江田氏と、東京18区で落選した菅氏による「比例復活惜敗率」を競う、みじめな最下位争い、民主党幹部同士の「共食い」が展開され、夜中の3時過ぎ、しぶとくも菅氏が475人目の確定者として「比例復活」したのであります。
最後の当選者は菅直人元首相 比例で復活
2014年12月15日03時12分民主党の菅直人元首相(68)は、東京18区では敗れたが、比例代表で復活当選が確実となった。菅氏は2年前の衆院選でも、自民の土屋正忠氏(72)に敗北し、比例復活していた。
ご本人のお礼のご挨拶。
菅直人2014年12月15日 03:52
475番目の当選当選者の最後、475番目で比例区当選。小選挙区で当選して自民党の一議席を奪いたかったが、残念ながらかなわず。私の努力不足。
今回からインターネットを利用した選挙期日後の挨拶行為は解禁された。そこで、応援をしていただいた皆さんに心からお礼を申し上げます。
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菅直人氏の最後の「復活」、この結果は現行法に基づく現行制度が正しく運用された上での有権者の投票行動の結果であり、当ブログとして尊重いたします。
菅直人さん、前回に続きまたしてもの「比例復活」おめでとうございます。
475番目の「比例復活」とは芸術的ですらあります。
貴兄の政治的「生命力」は超人的であります。
ますますのご活躍をお祈り申し上げます。
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読者の皆さん。
このクソのようなゾンビ議員のセーフティネットと化した衆議院重複立候補制度は即刻廃止すべきと改めて主張いたします。
(木走まさみず)