木走日記

場末の時事評論

2013年参議院選挙総括〜ネット選挙の暴走機関車トーマスと化した菅直人氏に悪酔いした私


 さて大方の予測通りと申していいでしょう、参院選は自公の圧勝で、安倍政権は6年ぶりに衆参のねじれ解消に成功いたしました、一方民主党は当選わずか17議席、−27減という壊滅的敗北を喫しました。

 各政党の獲得議席及び議席の増減をまとめておきます。

■表1:2013年参議院選挙政党別獲得議席及び増減

政党 選挙区 比例区 今回当選 公示前 新勢力 増減
自民 47 18 65 84 115 +31
公明 4 7 11 19 20 +1
民主 10 7 17 86 59 -27
みんな 4 4 8 13 18 +5
維新 2 6 8 3 9 +6
共産 3 5 8 6 11 +5
生活 0 0 0 8 2 -6
社民 0 1 1 4 3 -1
みどり 0 0 0 4 0 -4
改革 - - - 2 1 -1
大地 0 0 0 1 0 -1
諸派 1 0 1 0 1 +1
無所属 2 - 2 7 3 -4

 さて議席数の増減から単純に勝ち組と負け組を色分けすれば、勝ち組は自民、公明、みんな、維新、共産の5党、一方負け組みは民主、生活、社民、みどり、改革、大地の6党となります。

 当ブログとしてこの結果を分析すれば、一言で表現すれば「民主と元民主に対する国民の怒りの鉄槌が下されたのだ」ということだと思います。

 民主党が17議席と半減以下に壊滅的敗北を喫したのと同様に、いやそれよりももっと激しく国民に拒否されたのが、生活、みどりなどの獲得議席ゼロの「元民主」の議員諸氏です。

 今回「元民主」35人の当落は5勝30敗という散々たる結果なのでありました。

■表2:2013年参議院選挙「元民主」議員選挙結果

選挙区 氏名 当落
01 青森 平山幸司 生活の党 ×
02 千葉 太田和美 生活の党 ×
03 新潟 森裕子 生活の党 ×
04 広島 佐藤公治 生活の党 ×
05 比例 三宅雪子 生活の党 ×
06 比例 はたともこ 生活の党 ×
07 比例 東祥三 生活の党 ×
08 比例 広野允士 生活の党 ×
09 比例 山岡賢次 生活の党 ×
10 比例 藤原良信 生活の党 ×
11 埼玉 行田邦子 みんなの党
12 神奈川 松沢成文 みんなの党
13 山梨 米長晴信 みんなの党 ×
14 比例 山口和之 みんなの党
15 比例 富岡由紀夫 みんなの党 ×
16 比例 平智之 みんなの党 ×
17 茨城 石井章 日本維新の会 ×
18 神奈川 水戸将史 日本維新の会 ×
19 比例 室井邦彦 日本維新の会
20 比例 川口浩 日本維新の会 ×
21 比例 土田博和 日本維新の会 ×
22 比例 橋本勉 新党大地 ×
23 比例 萩原仁 新党大地 ×
24 比例 松木謙公 新党大地 ×
25 比例 内山晃 新党大地 ×
26 山形 船山康江 みどりの風 ×
27 比例 谷岡郁子 みどりの風 ×
28 比例 山田正彦 みどりの風 ×
29 比例 大江康弘 自由民主党 ×
30 比例 金子善次郎 自由民主党 ×
31 岩手 平野達男 無所属
32 東京 大河原雅子 無所属 ×
33 山梨 坂口岳洋 無所属 ×
34 岡山 高井崇志 無所属 ×
35 香川 植松恵美子 無所属 ×

 当ブログでは選挙前に「元民主」2勝33敗と予測していましたが、みんなの党所属の「元民主」の予想外のがんばりで予測を若干外してしまいましたが、まあそれでも5勝30敗です、「大惨敗」と評してよいでしょう。

2013-07-13 「元民主」大惨敗予測2勝33敗 編集
■[政治]「元民主」大惨敗予測2勝33敗〜参院選民主党以上に嫌われている「元民主」の自業自得
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20130713/1373707461

 ・・・

 昨年暮れの衆議院選、先の東京都議選に続く今回の参議院選ですが、一連の自公大勝利と民主大敗北の結果でありますが、当ブログとして歴史的評価をさせていただければ、「3人の民主党に関わった政治家の政治的生命の終焉」と総括したいです。

 1人目は鳩山由紀夫元首相です。

 言うまでも無く昨年の衆議院選のときにすでに党公認も危うく選挙前に立候補断念に追い込まれ政界を引退、今年になり民主党の党籍も離脱、中国に行っての領土問題でのトンチンカンな発言で国民から大顰蹙(だいひんしゅく)を買うありさまです。

 元総理大臣として発言を中国に利用されたりしてますが、政治的には完全に過去の人になっております。

 2人目は小沢一郎民主党代表、現生活の党代表です。

 今回生活の党は当選議席ゼロという壊滅的敗北です。

 小沢一郎氏にかつての集票力はもはやありません。

 象徴的なのは小沢代表のお膝元、岩手県における選挙結果です。

■表3:2013年参議院選岩手県選挙区(定員1)選挙結果

氏名 得票数 得票率 所属 現・新人 当選
平野 達男 243,368 39.71% 無所
田中 真一 161,499 26.35% 自民
関根 敏伸 91,048 14.86% 生活
吉田 晴美 62,047 10.12% 民主
菊池 幸夫 46,529 7.59% 共産
高橋 敬子 8,322 1.36% 諸派

 生活の候補者は無所属、自民の候補の後塵をはいし、得票率わずか14.86%です、これがかつて小沢王国と称された岩手県における選挙結果であります。

 「生活の党」候補者壊滅、これは今回の参院選小沢一郎氏の政治的生命の終焉を決定付ける選挙として総括できるトピックとして位置付けれると思います。

 さて最後に3人目は菅直人元首相です。

 鳩山由紀夫氏や小沢一郎氏と異なり菅直人氏はいまだ民主党に所属しており最高顧問の地位にあるわけですが、今回の参議院選では、ネット選挙解禁のもとでまさに「暴走機関車」と化し、大暴れ状態となりました。

 、民主党執行部の批判にも臆することなく、東京選挙区において民主党公認候補に反旗を翻し無所属候補を勝手に応援いたします。

 また選挙期間中にネット上で安倍現首相を名誉毀損で提訴、世間を驚かせます。

安倍総理を名誉棄損で提訴
http://blogos.com/article/66361/?axis=b:30

 さらにはネット上でブログとツイッターにて、前代未聞の他党に対するネガティブキャンペーンである「比例は自民党には投票しない落選運動」なるものを呼び掛けます。

比例は自民党には投票しない「落選運動」の呼び掛け
http://blogos.com/article/66524/?axis=b:30

 もはや誰にも止められない「ネット選挙の暴走機関車トーマス」状態(苦笑)と化します。

 再三菅さんの行動に批判的に対峙してきた当ブログでありました。

2013-07-04■[政治]すこし寒気をおぼえる菅直人氏のガバナビリティの低さ
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20130704/1372911443

2013-07-18■[政治]笑止!菅直人元首相が安倍晋三現首相を名誉棄損で提訴!〜政策決定のプロセスを歴史的に検証することを無効にしてきた無責任政治家集団がどの口で言う
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20130718/1374117656

 が、最後には降参いたしました、選挙期間末期の菅さんの行動、比例は自民党には投票しない「落選運動」にいたっては、もはやあきれ果てて沈黙するしかありませんでした。

 もはや誰にも止められない「ネット選挙の暴走機関車トーマス」状態と化した菅直人さん、その常識では考えられない行動を目の当たりにして、私は本当に情けない話ですが、「菅直人」という一人の男の行動に酔ってしまいました。

 それはまさに荒れ狂う波に木葉のように揺れる小船の上で船酔いする者と同じように、私は「菅直人」という一人の男の異様な行動にクラクラと目まいをおぼえ、本当に気分が悪くなってしまいました。

 もはやなすすべがなく、菅さんの異様なネット選挙運動、その獰猛な嵐が去るのをただ待つしかすべがありませんでした。

 そして東京選挙区の選挙結果です。

■表4:2013年参議院選挙東京都選挙区(定員5)選挙結果

氏名 得票数 得票率 所属 現・新人 当選
丸川 珠代 1,064,660 18.88% 自民
山口 那津男 797,811 14.15% 公明
吉良 佳 703,901 12.49% 共産
山本 太郎 666,684 11.83% 無所
武見 敬三 612,388 10.86% 自民
鈴木 寛 552,714 9.80% 民主
小倉 淳 413,637 7.34% 維新
桐島 ローランド 320,287 5.68% みんな
大河原 雅子 236,953 4.20% 無所

 菅さんが党に逆らって応援していた大河原雅子氏は8位と玉砕、それだけでなくこの菅さんの行動は民主党公認候補の次点落選を生じさせます、結果として見事な「利敵行為」となりました。

 衆議院選挙、都議選に続いて菅さんの応援する候補は自身を含めて選挙区で玉砕を繰り返しています。

 ・・・

 民主、および元民主が大敗北を喫した今回の選挙ですが、当ブログとしては、今論じたように「3人の民主党に関わった政治家の政治的生命の終焉」と総括したいです。

 そしてなかでもです。

 菅直人さん。

 特に今回のネット解禁選挙で「ネット選挙の暴走機関車トーマス」状態(苦笑)と化した菅直人さん、その応援する候補はことごとく玉砕を繰り返すという完全なる「利敵行為」に結果的になっているにも関わらず、聞く耳持たずもはや誰にも止められないその鬼神のごとくの暴走に、私は本当に気分が悪くなり「菅直人酔い」になってしまいました。
 菅直人さん、色々な意味でただものではない、すごい人間だと思いました。

 ふう。


(木走まさみず)