木走日記

場末の時事評論

福島みずほさん、老婆心ながら一言いいですか。


●限られた選択肢の中から、クリスマスの朝の執行

 今日(26日)の朝日新聞記事から・・・

死刑確定囚100人超え懸念 4人執行の背景
2006年12月26日01時29分

 法務省は25日、9年ぶりとなる「一度に4人の死刑執行」に踏み切った。就任3カ月足らずの長勢法相が執行命令書に署名した背景には、執行されていない死刑確定囚の「100人超え」が目前に迫っていた現状と、署名を拒否した杉浦正健前法相の存在があった。

 死刑判決は近年多く出ており、死刑確定者は03年ごろまで毎年2〜7人程度だったが、06年は20人を超えた。

 一方、実際に死刑囚の命を奪うことになる命令書への署名には消極的な法相が多い。最近10人の法相は、約30カ月の在任期間中に5人分の署名をした森山真弓元法相を除けば、最多で3人しか署名していない。結果、03年まで50人台で推移してきた未執行者は24日現在で98人。年明けに100人を超える勢いだった。

 「100人超えを許したら制度としておかしくなる。終身刑の議論はあっていいが、段階を踏まないと」。法務省幹部は危機感を募らせていた。

 昨年10月から今年9月まで法相だった杉浦氏は命令書への署名を拒否した。死刑執行者数の統計は、年締め。執行ゼロになれば92年以来14年ぶりだった。幹部は「今年をゼロにするのは絶対に避けたいという気持ちはある」と「年内執行」への執着を認める。

 別の幹部は「一度に4人というが、(杉浦前法相が拒否した)前回との2回分だから」と話す。

 執行は、国会審議に影響を与えにくい閉会中に行うのが通例。19日の閉会後、天皇誕生日の前は避けたいとの配慮も働いたとみられ、限られた選択肢の中から、クリスマスの朝の執行となった。

 長勢法相は25日午後、記者団に「法の規定にのっとって適正に、慎重に判断した」と話した。
http://www.asahi.com/national/update/1226/TKY200612250377.html

 「100人超えを許したら制度としておかしくなる。終身刑の議論はあっていいが、段階を踏まないと」とし、「今年をゼロにするのは絶対に避けたいという気持ちはある」と「年内執行」への執着を認める法務省幹部達なのであります。

 「執行は、国会審議に影響を与えにくい閉会中に行うのが通例。19日の閉会後、天皇誕生日の前は避けたいとの配慮も働いたとみられ、限られた選択肢の中から、クリスマスの朝の執行となった」そうですが・・・

 「クリスマスの朝の執行」ってどうなんでしょうねえ、事情は理解しましたが、なんともタイミング的にはよろしくないよなあ。

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●死刑執行に強く抗議する〜社会民主党 党首 福島みずほ(公式談話)

 さっそく社民党福島みずほ党首がこの「クリスマスの朝の死刑執行」に厳しく抗議する談話を発表いたしました。

2006年12月25日

死刑執行に強く抗議する(談話)
社会民主党
党首 福島みずほ

本日、東京拘置所、大阪拘置所および広島拘置所に収監されていた死刑囚4名に対して刑が執行された。社民党は死刑制度が人道と社会正義に反するものとして、その存置に強い疑問を呈してきた立場から、今回の死刑執行に強く抗議する。

今回の死刑執行は、1993年から14年連続となるものである。臨時国会が終了し、かつ年末の押し迫ったクリスマスの時期に、同時に4名も執行したことは、何としても死刑執行ゼロの年を作りたくないという法務省の姿勢が表れたものである。安倍内閣としては初めての執行であり、長勢法務大臣が刑の執行を命じたことや、法務大臣が誰であれ執行させた「実績」を作り出そうとする法務省の姿勢は、言語道断と言わざるを得ない。

1989年の国連総会で「死刑廃止条約」が採択されて以来、国連人権委員会でも「死刑廃止に関する決議」がなされ、死刑存置国に対して「死刑に直面する者に対する権利保障を遵守するとともに、死刑の完全な廃止を視野に入れ、死刑執行の停止を考慮するよう求める」とした呼びかけがされている。また先日、死刑廃止議員連盟法務大臣に対して執行しないように申し入れたばかりであった。今回の執行は、死刑制度の廃止に向かう世界の流れに逆行したものである。

死刑制度については国内外で大きな議論が起きていることを勘案し、制度の存廃や死刑に代わる措置など刑罰の在り方について国民的な議論を尽くし、その間、政府は死刑の執行を差し控えるべきである。社民党は、今後も死刑制度の見直しに全力を挙げて取り組む。
以上
http://www5.sdp.or.jp/central/timebeing06/danwa1225.html

 「死刑制度については国内外で大きな議論が起きていることを勘案し、制度の存廃や死刑に代わる措置など刑罰の在り方について国民的な議論を尽くし、その間、政府は死刑の執行を差し控えるべきである」という主張も抗議文の結びの言葉、「社民党は、今後も死刑制度の見直しに全力を挙げて取り組む。」のもけっこうなことであります。

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福島みずほさん、老婆心ながら一言いいですか。

 しかしなあ。

 でもなあ。

 福島みずほさん、老婆心ながら一言いいですか。

「年末の押し迫ったクリスマスの時期に、同時に4名も執行したこと」をたいそうお怒りなのはよくわかりますが、クリスマスの時期をことさら取り上げて批判するのは、福島みずほ氏はこれはまずいんじゃないかなあ(苦笑

 たしか今年の1月には、福島さんはこんな批判を麻生外相に浴びせていたんですよね。

日本社民党党首、外相の言論を厳しく批判

2006-02-01

日本の社民党福島瑞穂党首は29日、靖国神社参拝に関する麻生太郎外相の発言を厳しく批判した。

福島党首は記者に対して、麻生外相は日本の政教分離原則と小泉首相靖国神社参拝による悪影響を完全に無視していると指摘した上で、小泉首相靖国神社参拝を弁護することは重大な問題であるとの考えを示した。

また、福島党首は、もし日本の象徴である天皇靖国神社を参拝すれば、戦争を美化することになり、政治的に悪影響を及ぼすとしている。

「CRI」より2006年1月30日 
http://sapporo.china-consulate.org/jpn/xwdt/t233458.htm

 かねてより社民党は、小泉首相靖国神社参拝は憲法違反であり福岡地方裁判所の判決でも「小泉首相靖国神社参拝は政教分離原則に反する」と主張してきたわけですよね。

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 「小泉首相靖国神社参拝は政教分離原則に反する」と主張している方が、「クリスマスの朝の死刑執行に厳しく抗議する」ってなんだかなあ(苦笑

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 あのね、こんなおセンチな主張を繰り返しているから、だから社民党の支持率が上がらないんですよ。

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 しかしなあ、「小泉首相靖国神社参拝は政教分離原則に反する」と主張している政党が、「クリスマスの朝の死刑執行に厳しく抗議する」ってのは、なんだかなあ(苦笑



(木走まさみず)