木走日記

場末の時事評論

北方領土問題:4島「面積で2等分」麻生外相私案に物申す!〜「千島列島全島日本の固有領土である」という日本共産党の主張をどう考える?

プチリベラルのナショナリストとよくわからないスタンスを自称する不肖・木走にとってとっても気になる発言が飛び込んでまいりました。



北方領土解決へ4島「面積で2等分」…麻生外相が私案

 今日の読売新聞記事から・・・

北方領土解決へ4島「面積で2等分」…麻生外相が私案

 麻生外相は13日の衆院外務委員会で、北方領土問題について、北方4島(択捉、国後、色丹、歯舞)全体の面積を2等分する境界線を日露両国の国境とする新たな解決案を示した。

 民主党前原誠司・前代表が「4島を(二つに)分けても、4島とも日本の領土に入るという認識が必要だ」と指摘したのに対し、外相は「北方領土を半分にしようとすると、択捉島の約25%と、残り3島をくっつけることになる。面積も考えず2島だ、3島だ、4島だというのでは話にならない。現実問題を踏まえて交渉にあたらなければならない」と述べた。

 外相はさらに、「ロシアのプーチン大統領は強い権力を持ち、領土問題を解決したい意欲もある。この人のいる間に決着を付けなければならない」と語り、大統領の任期が切れる2008年5月までに解決の道筋を付ける意向を強調した。

(2006年12月14日3時34分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20061213it14.htm

 なんとあの麻生外相が国会の場で「北方領土を半分にしようとすると、択捉島の約25%と、残り3島をくっつけることになる。面積も考えず2島だ、3島だ、4島だというのでは話にならない。現実問題を踏まえて交渉にあたらなければならない」と主張、併せて「ロシアのプーチン大統領は強い権力を持ち、領土問題を解決したい意欲もある。この人のいる間に決着を付けなければならない」と発言したのであります。

 どういうことだ???

 これが野党民主党当たりからの発言ならば売国奴と保守派から激しい突き上げをくらうところでしょうが、他ならぬ核議論容認発言など強気の保守派的発言を繰り返してきた麻生外相からの発言というところが、いやはやなんともであります。

 「面積も考えず2島だ、3島だ、4島だというのでは話にならない。」

 「現実問題を踏まえて交渉にあたらなければならない」

 「この人(プーチン)のいる間に決着を付けなければならない」

 ・・・

 ちょっとまってほしいです。

 一国の外相の立場でしかも国会という公式の場でいかに私見とは言えこのような無責任な発言をしてもらっては困ります。

 外務大臣の国会発言ですから他国政府が日本政府が公式に領土問題で妥協し始めたと誤解しかねないじゃないですか。



●タイミングが悪すぎるなさけない麻生私案

 だいたい戦後政府・自民党の領土外交政策の不甲斐なさにはかねがねとても不満を持っていたのですが、領土問題に関しては特に一貫性がないのと島国根性丸出しの自己主張の無さが災いして、事実上連戦連敗、外務省の交渉ベタも相まって日本の主張など国際舞台では一顧だにされてこなかったじゃないですか。

 「面積も考えず2島だ、3島だ、4島だというのでは話にならない。」

 「現実問題を踏まえて交渉にあたらなければならない」

 「この人(プーチン)のいる間に決着を付けなければならない」

 麻生外相はこう発言していますが、だから自民党はダメなんです。

 いいですか、各国利害が激しくぶつかる領土問題では、陳腐な現実主義を持ち出しても一ひねりで返り討ちにあうだけです。

 「この人(プーチン)のいる間に」などとプーチン大統領をずいぶん買っているようですが、逆に「現実問題を踏まえて」ロシアの状況を捉えてみれば、ここ数年の原油高を背景にすこぶる経済順調のロシアが今このタイミングで日本に領土問題で妥協するはずはありません。

 人物としてのプーチンを買いかぶるのはよいですが、外交政策を転換するような重大な発言をするならば、せめて国際交渉ごとでは徹底的に相手国の政治状況を分析した上で、ある程度の水面下の根回しのうえ交渉の筋書きとゴールを描いていなければ話になりません。

 断言できますがこの麻生私案・北方四島「面積で2等分」案はロシア政府の嘲笑の的にはなるでしょうが、真剣に検討課題になることは現時点ではありえないでしょう。

 ロシア政府としては領土問題で妥協する見返りで日本からの経済支援を得るという選択肢はないからです、なぜなら、ロシア経済が絶好調の現時点ではロシア政府は日本の経済協力の必要性が以前に比べてほとんど薄れているからです。

 面積で四島を2当分するという内容も情けなくとうてい納得できないですが、それだけでなくタイミングを計る外交センス的にもゼロですね。

 相手国ロシアの今の状況を考えれば私案を持ち出すにしてもあまりにもタイミングが悪すぎると思います。

 ・・・



●千島列島全島すべてが日本の固有領土である!!〜右翼じゃないよ共産だよ(爆

 麻生外相は言います。

「面積も考えず2島だ、3島だ、4島だというのでは話にならない。」

 ほほう、誰が「面積も考えず2島だ、3島だ、4島だ」と言いましたか。

 不肖・木走は4島返還などにこだわるへたれ自民党案などはまったく支持しておりません。

 いったい誰がロシアに不当占領された北方領土が4島だけだと定義したのですか。

 私は千島列島全島、主要33島他周辺島嶼すべてが日本の固有領土であると主張しています。

 ロシアは最北の占守島(シュムシュ島)から最南の貝殻島(カイガラ島)まで、千島列島全島を耳をそろえて即刻返還すべきなのです。

 いいですか、麻生外相、日本固有の領土である千島列島は、全島、北から順に、占守島(シュムシュ島)、阿頼度島(アライド島)、幌筵島(パラムシル島)、志林規島(シリンキ島)、磨勘留島(マカンル島)、温禰古丹島(オンネコタン島)、春牟古丹島(ハリムコタン)、越渇磨島(エカルマ島)、知林古丹島(チリンコタン島)、捨子古丹島(シャスコタン島)、雷公計島(ライコケ島)、松輪島(マツワ島)、羅処和島(ラスツア島)、摺手岩(スレドネワ島)、宇志知島(ウシシル島)、計吐夷島(ケトイ島)、新知島(シムシル島)、武魯頓島(ブロトン島)、知理保以島(チリホイ島)、知理保以南島(チリホイ南島)、得撫島(ウルップ島)、択捉島(エトロフ島)、国後島(クナシリ島)、色丹島(シコタン島)、歯舞諸島(ハボマイ諸島)、海馬島カイバ島)、多楽島(タラク島)、志発島(シボツ島)、勇留島(ユリ島)、秋勇留島(アキユリ島)、水晶島(スイショウ島)、貝殻島(カイガラ島)まで一括に日本に返還されるべきなのです。

 千島列島は総面積10355.61km²の島嶼全てとそれに付する領海部分全てが日本固有の領土であり、ロシアが勝手に他国の領土にクリル列島などとロシア語の名前を付けていること自体、全くの国際法違反なのであります。

 ・・・

 そもそも、北方領土問題の根元は、『領土不拡大』という戦後処理の原則にソ連が反してヤルタ協定で千島の引き渡しを要求し、アメリカやイギリスがこれを認め、情けなくも日本政府もサンフランシスコ条約で千島列島の放棄を宣言したことにあるのです。

 その上で、歯舞諸島色丹島はもともと北海道の一部であり、日ロ平和条約の締結を待たずにすみやかに日本に返還されるべきなのは当然として、千島全体も一八七五年の樺太・千島交換条約で平和的に日本の領土になっているのであり、誤った戦後処理に拘束されずに国際法上も道理ある根拠を示し、正々堂々と交渉にあたるのが筋なのであります。

 日本政府はサンフランシスコ条約など誤った戦後処理に拘束される必要はないのであります。

 ・・・

 だいたい日本の政党は日本共産党を除いては自民・公明も民主・社民もみんな確固たる北方領土返還政策を持っていません。

 私のこの正論「千島列島全島返還論」ですが、どの保守政党も無視して政党では日本共産党だけが主張しているのです。

 見よ、この4年前の北方領土返還要求大会に参加した日本共産党志位和夫委員長の力強いメッセージを。

2002年2月8日(金)「しんぶん赤旗

北方領土返還要求大会に日本共産党代表が参加

 「北方領土返還要求全国大会」が七日、東京都内で開かれ、日本共産党を代表して松本善明党国会議員団総会長が参加し紹介されました。

 この大会に日本共産党志位和夫委員長はメッセージ(別項)を寄せています。

志位委員長のメッセージ

 お集まりの皆様の日ごろのご苦労に敬意を表すとともに、日本国民の当然の要求の実現のため、ともに頑張る決意を申し上げます。

 いま日ロ両国のさまざまな動きが伝えられるなかで痛感するのは、一方的な譲歩や小手先の外交では領土問題の公正な解決が困難だということです。今日に至る問題の根源は、「領土不拡大」という戦後処理の原則に反してソ連ヤルタ協定で千島列島の引き渡しを要求し、米、英がこれを認め、日本政府もサンフランシスコ条約で千島列島の放棄を宣言したことにあります。北海道の一部である歯舞、色丹はもちろん、国後、択捉から占守までの千島全体が、一八七五年の樺太・千島交換条約で平和的に決まった日本の歴史的領土です。二十世紀の誤った戦後処理に拘束されず、それを正面からただし、堂々と返還を要求することが重要です。ロシア国民も納得せざるをえない、道理と国際法上の論拠をもつ日本外交の確立とそれを支える国民世論が、切に求められています。

 大会のご成功を心からお祈りします。

 日本共産党幹部会委員長 志位和夫
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik/2002-02-08/05_0203.html

 日本共産党は主張しています。

一方的な譲歩や小手先の外交では領土問題の公正な解決が困難だということです。

北海道の一部である歯舞、色丹はもちろん、国後、択捉から占守までの千島全体が、一八七五年の樺太・千島交換条約で平和的に決まった日本の歴史的領土です。

二十世紀の誤った戦後処理に拘束されず、それを正面からただし、堂々と返還を要求することが重要です。

ロシア国民も納得せざるをえない、道理と国際法上の論拠をもつ日本外交の確立とそれを支える国民世論が、切に求められています。

 まったくその通り。

 異論ありません。

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 当ブログとしては、ちまちまと4島「面積で2等分」などという麻生外相私案に断固反対いたします。

 そんな一方的な譲歩や小手先の外交では領土問題の公正な解決が困難であるのは自明だからです。

 千島列島全島すべてが日本の固有領土であります。

 いいですか、麻生外相、日本固有の領土である千島列島は、全島、北から順に、占守島(シュムシュ島)、阿頼度島(アライド島)、幌筵島(パラムシル島)、志林規島(シリンキ島)、磨勘留島(マカンル島)、温禰古丹島(オンネコタン島)、春牟古丹島(ハリムコタン)、越渇磨島(エカルマ島)、知林古丹島(チリンコタン島)、捨子古丹島(シャスコタン島)、雷公計島(ライコケ島)、松輪島(マツワ島)、羅処和島(ラスツア島)、摺手岩(スレドネワ島)、宇志知島(ウシシル島)、計吐夷島(ケトイ島)、新知島(シムシル島)、武魯頓島(ブロトン島)、知理保以島(チリホイ島)、知理保以南島(チリホイ南島)、得撫島(ウルップ島)、択捉島(エトロフ島)、国後島(クナシリ島)、色丹島(シコタン島)、歯舞諸島(ハボマイ諸島)、海馬島カイバ島)、多楽島(タラク島)、志発島(シボツ島)、勇留島(ユリ島)、秋勇留島(アキユリ島)、水晶島(スイショウ島)、貝殻島(カイガラ島)まで一括に日本に返還されるべきなのです。

 ロシア国民も納得せざるをえない、道理と国際法上の論拠をもつ日本外交の確立とそれを支える国民世論こそが、今まさに切に求められているのであります。

 ジャンジャン。



(木走まさみず)