木走日記

場末の時事評論

辞職勧告決議は効果も効力もないただの野党によるデモンストレーションだ

さて、丸山氏辞職勧告案を野党6党派が提出であります。

産経新聞電子版速報記事から。

丸山氏辞職勧告案、野党6党派が提出 立民など、与党に賛成呼び掛け
2019.5.17 15:38

 立憲民主など野党6党派は17日午後、北方領土を戦争で取り返すことの是非に言及し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員の議員辞職勧告決議案を衆院に共同提出した。自民、公明両党には決議案へ賛成を呼び掛ける方針。両党は対応を協議する。決議案は丸山氏に対し「国会全体の権威と品位を著しく汚したという事実は拭いがたい」とした。

 衆院議院運営委員会の野党筆頭理事を務める立民の手塚仁雄氏は17日、議員辞職決議に関し「重たい決議で慎重に扱うべきだが、丸山氏の暴言は限度を超えている」と記者団に理由を説明した。

 提出に先立ち、手塚氏は与党筆頭理事である自民党菅原一秀氏と国会内で会談し、決議案の共同提出に加わるよう要請した。菅原氏は決議案の件名や中身を変更するように求めて調整したが、折り合わなかった。

https://www.sankei.com/politics/news/190517/plt1905170013-n1.html

うむ、「国会全体の権威と品位を著しく汚したという事実は拭いがたい」(立民議員)との提出理由であります。

実際の丸山氏の発言はこちらで確認できます。

「戦争で取り返すの賛成か反対か」丸山議員の音声データ:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASM5F7G81M5FIIPE02T.html

ロシアが実効支配する北方領土の国後(くな・しり)島に5月11日、元島民らが参加する「ビザなし交流」の訪問団が訪れました。丸山穂高衆院議員もそのメンバーでした。

その夜に島内の施設で団員らの懇談会があり、団長で国後島出身の大塚小彌太さん(89)に、同行記者団が取材をしていました。そこへ酒に酔った丸山議員が割り込みました。

丸山議員は「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と聞きました。大塚さんは「戦争なんて言葉は使いたくないです」「戦争はするべきではない」と繰り返しましたが、丸山議員は「戦争しないとどうしようもなくないですか」と問い続けました。

これですね、TPOをわきまえないどうしようもない発言なのはその通りで、国会議員として批判されても致し方ないでしょう。

内容以前に、酒を飲んで民間人に絡むようなくどい発言をしてはダメダメです。

さらに「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と日本外交と安全保障の根幹に関わる議論をするとなれば、その相手は民間人のご高齢の団長であるはずがありません。

まったくトンチンカンなTPOを無視した発言だと申せましょう。

さてです。

丸山氏が戦争を煽っているかのような報道は例によって発言の一部を切り取った過熱報道といえましょう。

丸山穂高氏は、「戦争で取られたものを取り返すのは一筋縄でいかない」と述べています。

f:id:kibashiri:20190517172935p:plain
https://twitter.com/maruyamahodaka

北方領土という戦争で取られたものをどのように取り返すのかというのは本当に一筋縄ではいかないと改めて痛感したと言っていました。

彼としては膠着しているように見える北方領土をめぐる日露外交に、一石を投じるつもりで発言をしたのではないでしょうか。

それにしてもこの発言に、国会議員を辞めなければいけないほどの重大な問題が含まれているとは思えません。

そもそも議院運営委員会における国会議員辞職勧告決議ですが、法的拘束力はないうえに、過去事例では8回提出されていますが、2002年(平成14年)5月14日衆議院鈴木宗男氏に対する決議案が唯一可否同数(委員長決裁で否決)ですが、他7回は全て否決されています。

効果も効力もないただの野党によるデモンストレーションに過ぎません。

このレベルの発言で辞職勧告決議が提出されるとなれば、この先例は野党にとりブーメランになりかねません。




(木走まさみず)