木走日記

場末の時事評論

米軍グアム移転日本分担59%に異議あり〜お前は41%OFFの安売りブラウスか?(爆笑)

 ITコンサル業をしているといろいろな業界の企業と接する事が多いわけですが、いつも商品やサービス販売業の企業が悩んでいるのが「価格設定」でありますね。

 商品やサービスの売れ行きを左右する重要な要素が価格であることは言うまでもないのですが、まあ最近はオープンプライスが増えてきて安いのか高いのか分からない場合もありますが、商品やサービスの価格は、消費者とメーカーのバランスと競合他社の価格等が影響してきます。

 消費者が「この金額なら買っても良い」という価格で、メーカーも原価と利益が出るのであればその価格がバランスの取れた状態です。

 で、価格をどのように決めるかといいますと、製造原価を計算してその金額に利益を上乗せして決める方法や、競合他社の価格を参考にして決める方法、消費者が購入すると思われる価格から逆算する方法など様々な方法で決定されます。

 特に大切なのは、消費者が「この金額なら買っても良い」という価格であり、どのような価格決定プロセスを経たとしてもその価格を超えると販売が難しくなります。

 で、メーカー側、販売側は数字のトリックを使って、お客様の購買意欲をそそるように工夫するのであります。

 それは「端数価格」というテクニックであります。



●1980円の数字の魔力〜2000円より確かに売れるが実は奥が深い「端数価格」

 2000円前後で価格設定する商品の実に多くの価格が1980円という「端数価格」を採用していることは、みなさんもよくごぞんじのことでしょう。

 2000円出してお釣りが20円もらえるこの「端数価格」は、安く感じさせる手法として有名なのですがマーケティング理論から話すとこれもとてもシビアな戦略のなせる業なのですよ。

 今 2000円で利益率5%の商品があるとしましょう。

 つまり一商品あたりの利益は100円ということになります。

 もしこの商品を1980円で売り出すとしたら、商品の利益は100−20円つまり80円になってしまいます。

 つまり2000円を1980円にしても売上単価は1%の値引きしかないですが、商品1個当たりの利益金額は100円から80円へと20%もダウンするわけです。

 一日2000円で1000個売れていた商品ならば、利益金額は1000×100円、つまり10万円ですよね。

 もしこの商品を1980円に値引きして端数価格で販売するとするならば、少なくとも10万円の利益を確保するためには、1250×80円、つまり1250個売らなければなりません。

 整理するとこの商品の場合、2000円の売値を1980円の売値に1%値引きする販売戦略を採るためには、今まで1000個だった売上げ個数が25%UPの1250個売れなければならないわけですね。

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 ね、けっこうシビアでございましょ。



●41%引きの数字の魔力〜根拠のない定価で顧客の購買欲を刺激する姑息な割引率設定

 「端数価格」の応用編として、これも服飾販売を中心に広く普及している端数割引セール価格があります。

 例えば定価10280円のブラウスが、定価欄が横棒で消されていて(元の定価が誰でもわかるように(苦笑))41%OFFで6760円というセールス価格が表示されている手法であります。

 これも実は問題ありありなんですが、業界業種また扱う商品によって多少違いもありますが、一番悪質なのは最初にもう売値が決まっていることが多いことですかね。

 この場合、店で6760円でこのブラウスを売るということは決まっているわけです。
 で、定価をいくらに付けて何割引にするかを後付で決めるのですよね。

 80%OFFとかでは、値引きしすぎでお客が信用しないだろうし、20%OFFでは購買意欲が注がれないわけで、ここは40%とか50%とかがよろしいわけです。

 で、興味深いのは40%きっかりのOFFよりも41%OFFの方が売れ行きがいいのですよね。

 つまり客受けする。

 これは裏「端数価格」現象ともいえるのですが、40%OFFの定価の6割買いよりも、41%OFFの定価の5割9分買いのほうが、安く感じさせるわけですね。

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 いやブラウスならばまだ何ですが、血税にもこの手法が使われるとしたらいただけないですよねえ。



●米軍グアム移転費で合意 日本側負担は59%に決定〜各社速報から

 今日(24日)の新聞各紙の電子版速報記事で、米軍グアム移転費で合意され、日本側負担は59%と決定したそうであります。

【朝日速報】
米軍グアム移転費で合意 日本側負担は59%
http://www.asahi.com/politics/update/0424/006.html
【読売速報】
グアム移転、日本分担は59%・60億9000万ドル
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060424it02.htm
【毎日速報】
米軍再編:グアム移転費 日本側負担60.9億ドルで合意
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20060424k0000e010037000c.html
【産経速報】
グアム移転費59%負担 安倍氏「日米同盟に資する」
http://www.sankei.co.jp/news/060424/sei053.htm
【日経速報】
海兵隊グアム移転経費、日本負担59%で決着
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20060424AT3S2400E24042006.html

 なんだかなあ、どの速報も59%、59%ってしつこいですねえ。

 お前は41%OFFの安売りブラウスか?(爆笑)

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 失礼しました(汗

 代表して朝日速報記事から・・・

米軍グアム移転費で合意 日本側負担は59%

 額賀防衛庁長官は23日午後(日本時間24日午前)、米国防総省ラムズフェルド国防長官と会談し、在日米軍再編で焦点になっていた在沖縄海兵隊のグアム移転費について、日本が総額102億7000万ドル(約1兆1900億円)のうち59%にあたる60億9000万ドル(約7000億円)を負担することで合意した。米軍再編をめぐるその他の分野で日米は大筋合意しており、再編協議は決着する見通しになった。日米双方は今後、外務・防衛担当閣僚の日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開く方向で、在日米軍再編の「最終報告」に正式合意する予定だ。

 日本に総額の75%負担を求めた米側と、約30億ドル(約3500億円)負担を主張した日本側の双方が折り合った形だ。

 額賀氏らの説明によると、日本側が直接財政支出するのは28億ドル(約3200億円)。このほか日本側負担は、新設する特殊会社への出資15億ドル(約1700億円)と、国際協力銀行などによる融資17億9000万ドル(約2100億円)。出融資は、家賃収入が見込める家族住宅などにあてる。

 日本が財政支出の対象としているのは、隊舎、庁舎、学校など軍事訓練と直接関係のない施設に限られ、訓練場や滑走路、娯楽施設は含まれていない。今後7、8年かけて移転を終えることを目指している。

 日本政府が海外の米軍施設に財政支援した例はないことから、政府は今後、グアム移転費負担の法的根拠を担保する新たな法律の制定に入る。5月の連休明けには国会に法案を提出し、6月18日までの現在の国会会期中に成立を目指す考えだ。

 グアム移転の費用負担は、ともに財政状況が厳しい日米両政府間で調整が難航し、どう歩み寄るかが焦点となっていた。

 米側はこれまでの協議で、住宅や訓練施設など総額約100億ドル(約1兆1570億円)と見積もり、日本側に75%負担を要求。「グアム移転は日本の要請に基づくものだ」(ローレス国防副次官)としていた。

 一方、日本側は、住宅や生活関連施設整備費に絞って融資方式で約30億ドルを負担すると主張。負担要求額や総額の見直しを米側に求めていた。

 協議後、額賀氏は記者団に「沖縄県民と日本全体の負担を軽減していくため、応分の負担をしなければならない」と話した。さらに、米側から当初は総額の75%負担を求められていたことについて、日本側は住居や庁舎などを対象として「積み上げ方式で考えていった」と説明した。

 安倍官房長官も24日午前の記者会見で「沖縄の負担軽減を、なるべく短期間に進めていきたい。応分の負担は、やむを得ない」と語った。

 今回の合意を受け、日本側は5月の連休中にも2プラス2を開く方向で米側と調整を始める。沖縄県普天間飛行場宜野湾市)の名護市辺野古崎への移設計画など、他の合意事項も盛り込んだ在日米軍「最終報告」で正式に合意する予定だ。

2006年04月24日11時58分
http://www.asahi.com/politics/update/0424/006.html

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 「日本が総額102億7000万ドル(約1兆1900億円)のうち59%にあたる60億9000万ドル(約7000億円)を負担することで合意した。」そうであります。

 この59%負担は「日本に総額の75%負担を求めた米側と、約30億ドル(約3500億円)負担を主張した日本側の双方が折り合った形だ。」そうであります。

 また「日本が財政支出の対象としているのは、隊舎、庁舎、学校など軍事訓練と直接関係のない施設に限られ、訓練場や滑走路、娯楽施設は含まれていない」のだそうです。

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 たしかに「グアム移転は日本の要請に基づくもの」(ローレス国防副次官)ですし、額賀氏のおっしゃる「沖縄県民と日本全体の負担を軽減していくため、応分の負担をしなければならない」点も理解しております。

 しかし、不肖・木走は、この胡散臭い発表内容に異議ありなのであります。

 おそらく多くの日本国民が、この内容には納得していないのではないでしょうか。



●米軍グアム移転日本分担59%に異議あり〜積算根拠示さなきゃ納得できんぞ!

 まず、第一に米国の提示した総額金額についてです。

 米国が試算した総額102億7000万ドル(約1兆1900億円)という移転費用ですが、この積算根拠は提示されたのですか?

 一部には米国の見積もりは高すぎてせいぜい総額70億ドルぐらいであるという民間試算もあるようですが、総額102億7000万ドルの根拠を示していただきたいです。

 まさか、根拠のない定価で顧客の購買欲を刺激する姑息な割引率設定手法のように、最初に日本負担額が決定して、その割合が60%を切るように、あとから総額を「調整」したとは思いませんが、根拠があいまいならばそう突っ込まれても仕方がないでしょう。

 総額102億7000万ドルならば確かに約7000億円の日本負担は59%かもしれませんが、もし実は総額80万ドルならば当初の米国の要求通りの75%負担になっちゃうわけですよ。

 日本政府には、ブラウス見たいに「定価の後付」ではないことを、しっかり国民に明らかにしてほしいですね。

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 次に細かい話ですが、具体的に実際アメリカ側の負担金額がいくらになって、確かに日本の財政支出の対象が隊舎、庁舎、学校など軍事訓練と直接関係のない施設に限られて使用されることをどうトレース・検証できるのですか。

 渡した金の使途検証はどうするつもりなのでしょう。

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 ふう。

 59%、59%と、安売りセールスみたいに数字を強調して発表するならば、その数字を裏付けるしっかりとした根拠を開示すべきでしょう。

 根拠を示せないならば、この米軍グアム移転日本分担59%には異議ありです。

 41%OFFの安売りブラウスじゃないんですからね(プンプン



(木走まさみず)