木走日記

場末の時事評論

これはメディア談合だ!!〜正論振りかざすなら財務諸表公開してみろ!!

●新聞の特殊指定 言論選択の自由に不可欠〜産経社説

 昨日(15日)の産経社説から・・・

■【主張】新聞の特殊指定 言論選択の自由に不可欠

 全国どこでも朝起きれば自宅ポストに新聞が届いている生活−。世界有数の新聞普及率を支えるその日本の戸別宅配制度が、根底から覆されかねない議論が進められている。公正取引委員会が行っている新聞などに対する「特殊指定」を見直す作業だ。

 特殊指定とは、学校教材用など特例を除き、同じ新聞なら地域や読者によって価格を変えて販売してはならないという規定である。

 これが廃止されれば、新聞界は激烈な値引き競争の波に呑(の)まれ、結果的に山間部や離島など配達コストの高いところは宅配制度の恩恵から遠ざけられかねない。

 一方で資本力のある新聞社による寡占が進み、民主主義社会の礎ともいえる多様な言論を選択する自由そのものが脅かされる恐れすらある。イエロージャーナリズムの台頭も予想されるであろう。

 当然ながら、新聞業界はこぞってこの特殊指定解除に反対している。また最近の世論調査でも、国民の九割近くが宅配制度維持を望んでいる。にもかかわらず、公取委はなぜ見直しを急ぐのか首をかしげざるを得ない。

 新聞には書籍とともに発行元が小売店に価格を指定できる「再販売価格維持制度」も認められている。特殊指定とともに社会の公器として、その存在意義を認められての措置である。

 ところが、公取委再販制度があるのだからそれで十分ではないかとの見解だ。しかし、二つの措置は車の両輪で、特殊指定が解除されれば再販制度そのものが意味を失いかねない。

 公取委がよって立つ独占禁止法は公正な競争促進の観点から不公正な取引を禁じている。だからこれを阻害する例外措置は原則撤廃すべきだ−との考えのようだ。

 だが独禁法本来の趣旨は、その競争が消費者の真の利便に資することにある。読者が新聞に期待する要素は価格面だけでの競争ではあるまい。求められているのは、言論機関として社会の不正や権力の腐敗を追及することなどを競い合うことではないのか。

 国会審議が必要な再販制度と違い、特殊指定の廃止は同委の告示だけで済む。見直しには国民に納得のいく慎重さが求められている。

http://www.sankei.co.jp/news/060315/morning/editoria.htm

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●新聞特殊指定の堅持を〜日経社説

 本日(16日)の日経社説から・・・

社説2 新聞特殊指定の堅持を(3/16)

 公正取引委員会は新聞などの「特殊指定」の見直しを進めている。日本新聞協会はこれに反対し、特殊指定の堅持を求める特別決議を15日採択した。

 特殊指定では新聞販売店などの定価割引を禁止しており、その見直しは販売店間の価格競争激化を通じ戸別配達制度の崩壊につながる。新聞社は報道の質の維持を含め社会的な使命を果たせなくなる恐れがある。特殊指定を存続すべきである。

 独占禁止法は不公正な取引を防ぐため、特定業種についての禁止事項を定めた特殊指定を設けている。新聞を含め海運、教科書、物流など6分野が対象だ。新聞の発行会社は教材用などの例外を除き、販売相手や地域の違いで定価を割り引いてはならない。新聞の販売店は例外なしに定価の割引をしてはならない。

 公取委は販売店の割引禁止規定の見直しなどを考えているようだ。それを見直すと、読む人や地域によって値段が違うという不公平を生む恐れがある。販売店同士の乱売合戦も避けられない。それをきっかけに再販売価格維持制度(発行会社が販売店の小売価格を指定できる)を維持できなくなる恐れも極めて強い。経営体力の弱い新聞販売店の中には、戸別配達(宅配)を部分的にやめるところも出てこよう。どの地域にも同じ条件で情報を届けるという新聞社の使命を果たせなくなるし、読者にとっては選択の幅が狭くなる。

 日本新聞協会の特別決議は「昨年7月施行の文字・活字文化振興法は、すべての国民が等しく文字・活字文化の恵沢を享受できる環境の整備を国に義務づけている」と指摘し、特殊指定の見直しは時代の要請にも逆行している、と批判している。

 乱売合戦になったとき、部数維持のため国民が知るべき重要な情報をおろそかにし、紙面全体の質を低下させる新聞社が増えることも懸念される。一般の関心が薄くても重要な情報を伝えるのは、民主主義を健全に機能させるためとても大切だ。

 私たち新聞人も経営効率化、質の高い報道、社員教育の徹底などに努める必要がある。しかしメディアをめぐる環境変化も考えるなら、新聞が今後も社会の負託に応えられるよう特殊指定を堅持すべきである。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20060315MS3M1500415032006.html

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 いいかげんにして下さい。

 日本新聞協会は談合組織なのか?

 それとも大政翼賛会か?

 守っていきたきゃ新聞協会こぞって反対運動すればよろしい。

 しかしです。

 何度言ったらわかるのですか。

 反対するに言うに事欠いて、「言論選択の自由に不可欠」(産経)だとか「民主主義を健全に機能させるため」(日経)だとか、ややこしい「大義」を振り回すのだけは止めていただきたい。

 特に産経社説の結語、「見直しには国民に納得のいく慎重さが求められている。」と、単なる自分たちの既得権益擁護の主張をするのに、主語に「国民」を使うのだけは絶対やめて下さい。

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●何度言ってもエセ正論を載せていてわからないようですから、何度でも新聞業界の詐欺師行為の実態を掲載しましょう

 以下は、以前の当ブログエントリーですが未読の人は是非一読して下さいませ。

■[メディア]読売社説の欺瞞〜タブー中のタブーを抱えながら詐欺師が何をほざいているのだ!!!
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20060221

 上記エントリーの引用部分を再度掲載しましょう。

(前略)

■折込みスポンサーに対する詐欺行為

 次に販売店に過剰な残紙がダブついているとどういうことになるのか。一つは先ほど言いました無代紙の乱用ということになります。お店にしてみればタダ同然のものですから、安い拡 材で効果抜群というわけです。もう一つ、これが大問題なのです。

 販売店に山のように残紙があれば、その処分に困ります。さすがに後ろめたいことをやっているという自覚だけはありますから、夜中とか、まだ誰も起きていない早朝とか、夜陰にまぎれて古紙回収業者が運び出すことになります。新品でピカピカの残紙だけでなく、最初から捨てられる運命にある余分なチラシが大量に運び出されているのです。

 その上に発行本社には原価を払うわけですから困るといえば困るわけですが、それが不思議とそれほど困るわけではない。先ほどの捨ててしまった折込みチラシの収入が原価相当分以上にあるからです。ですから、本社も販売店も「アン、ウン」の呼吸で押し紙とも積み紙とも区分けのつかないような過剰な残紙を抱えることになるのです。

 もう少し詳しく話します。例えば3,000部を扱う販売店があるとします。仮に2,000軒の読者しかないとすれば3分の1の1,000部は過剰な残紙です。(正確には適正予備紙を2%として40部、過剰残紙は960部となります)

 この販売店には2,000部しか配達していないのに3,000枚の折込みチラシが届けられます。毎日のように20種類前後のチラシが入ります。折込み収入は地域によって異なりますが、例えば1ヵ月に一部あたり1,500円とすれば、この店は1ヵ月に450万円の収入があるわけです。そのうちの3分の1、1,000枚の折込みは捨ててしまうわけですから、1ヵ月に150万円は不当極まりない収入です。これはスポンサーに対する重大な裏切り行為であって、明らかに詐欺行為なのです。

 スポンサーにしてみれば、この不景気の中で、泣きたくなるような経費をつぎ込んでチラシをつくり、折込み料を払って販売店に届けているチラシです。1枚だって捨てられていると知ったら頭にくるはずです。チラシの制作費は直接経費だけでも折込料の2倍くらいはかかりますから、この販売店は1店で300万円もドブに捨てていることになるのです。

■本社は百も承知の確信犯

 大多数の発行本社は、そんなことは百も承知で頬かぶりしている確信犯といえます。そう思わざるを得ません。

 販売店はこの折込み収入がなければ本社に新聞の原価を払えないのですから、「発行本社は販売店を迂回して折込み詐欺を働いている」と言われても弁解の余地はありません。折込みだけでなく本紙広告のスポンサーをも欺いていることはいうまでもないことです。

 社員はそうした詐欺行為で得た利益の中から給料をもらっていることになります。悲しいじゃありませんか。そうでも言わなければ皆さんは胸にズキンとこないだろうから申し上げるわけで、皆さんを責めているわけではありません。これは経営の問題ですから、販売の当事者だけの責任でもありません。これを機会に各社が部数の透明化に努力していただきたい。そのためにざっくばらんに申しあげていることであります。

 それにしても、「三菱自動車は何をやっとるんだ」と連日紙面ではこきおろして、悪しきをくじく格好いい月光仮面、裏でやってることは詐欺行為。大事な大事なスポンサーに感謝するどころか、いいえ、口では感謝しながら足蹴にしているということなのです。

 折込みスポンサーもおかしいと思っていますから、ABC部数の80%しか印刷しない。そういうスポンサーがどんどん増えてきています。そうするとまともにやっている販売店ではチラシが足りなくなります。そんな馬鹿なことがまかり通ってはたまりません。

(後略)

 この発言は他ならぬ業界内部関係者の赤裸々な告発なのです。

 これらの行為は詐欺行為そのものです。

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 だいたい、日本のマスメディア関係者、あなた方は都合のいいときだけ「社会の公器」などと主張しますが、実態はただの財務諸表ひとつ公開できない、胡散臭い民間営利会社じゃないですか。

 自分たちの販売利益構造は一切隠し、隠蔽し、どこが「社会の公器」なのですか。

 こんな詐欺行為で販売しているくせになにが「民主主義を健全に機能させるため」なのですか。

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 日本の大新聞には、こんな欺瞞に満ちたエセ正論を掲げる資格はないのであります。

 読者のみなさん、これらのエセ正論社説は単なるメディア談合による自分たちの既得権益擁護の詭弁にすぎません。



 大新聞よ、正論振りかざすなら、その胡散臭い財務諸表を公開してみろ!!



(木走まさみず)