木走日記

場末の時事評論

はたしてマスメディアは「マスメディアの走狗」問題を報道するのか

 鳩山首相の総額2億か3億かという献金疑惑から比べるとだいぶ小粒でありますが、登場人物が興味深いので今回はこの件を取り上げたいと思います。

 ことの経緯は辛口の評論でコアなフアン(私もその一人です)を有する時事ブログ「或る浪人の手記」さんの以下のエントリーで知りました。

或る浪人の手記
クリーン(笑)で清廉(笑)な山本ピン太くん劇場

http://restororation.blog37.fc2.com/blog-entry-1869.html

 TVの討論番組でお馴染みの山本一太自民党参議院議員が新聞業界から3千万円献金、それも自民党支部を迂回して献金が発覚したとのことであります。

 上記エントリーで取り上げられているMyNewsJapan19日付けの記事から。

山本一太議員 新聞業界から3千万円献金、見返りに露骨な業界保護活動
黒薮哲哉
20:50 11/19 2009

 新聞業界から山本一太参院議員に5年間で3千万円を超える政治献金がなされていた事実が明らかになった。山本議員は、再販制度や新聞特殊指定の問題が政治課題に上がった際、新聞業界の既得権を守るために代理人並みの働きをした経緯がある。献金の中心的な役割を果たしてきた地元・群馬県新聞販売組合の本部が、上毛新聞社と同じ住所であることも判明した。特定業界の既得権を守る見返りに多額の献金を受けとる行為は本来、あっせん収賄罪に問われるべき内容。批判を恐れたためか同議員は、自民党支部を迂回させて自身の政治団体献金を流し込んでいることも分かった。

(後略)

http://www.mynewsjapan.com/reports/1163

 この記事の記者黒薮哲哉氏は、知る人ぞ知る新聞業界の暗黒面「押し紙問題」をしつこく追求しているルポライターでありまして、この「押し紙問題」報道で、週刊新潮VS読売新聞の裁判中であります。

 それはさておき、山本一太参院議員といえば、自民党新聞販売懇話会事務局長であり、新聞の特殊指定に関する議員立法検討チーム事務局長を務め、特殊指定の見直しに反対してきた、「新聞業界のエンジェル」であり、そもそも父・富雄氏は新聞販売協会顧問であったわけです。

 山本一太氏といえば1000万プレビューを誇るブログをお持ちですが、8年前の記述では、ご自身の選挙戦中、「新聞販売業界(販売店)は山本一太で一致結束というムード」とご満悦のご様子でした。

ジェットコースターが止まらない

(前略)

 午後2時過ぎに伊香保温泉に入る。県の某女性団体の総会で挨拶。ここでも上州のお母さんたちはとても優しかった。幹部の方々と記念写真を撮り、そのまま同じホテルで行われていた「群馬県新聞販売組合」の総会へ。県内のほとんどすべての新聞販売店が、扱っている新聞の系統にかかわらず、こうして一同に会したのは、恐らく初めてのことだと思う。

 衆参の国会議員で作る「新聞販売懇話会」の事務局長として「再販制度」をはじめとする新聞の問題に実働部隊の中心として取り組んできた。実家は草津温泉の老舗旅館(山田屋)だったが、父の時代に新聞販売店の経営も始める。

 (中略)

 当然のことながら、新聞販売業界(販売店)は山本一太で一致結束というムード。来賓として招かれていた日本販売協会の会長も、ずい分「宣伝」してくれたらしい。この6年間の「目に見える実績」がちゃんとして評価に結びついていることが何より嬉しかった。総会と懇親会の合間をぬって各階の出席者の部屋を猛スピード?で回った。

(後略)

山本一太の「気分はいつも直滑降」
http://ichita.blog.so-net.ne.jp/2001-06-14

 「日本販売協会の会長も、ずい分「宣伝」してくれた」らしいそうですが、「この6年間の「目に見える実績」がちゃんとして評価に結びついている」とご満足な様子であります。

 しかしなあ、黒薮哲哉氏の報道が事実とした場合、これは少々案配が悪いことになりそうです。

 「特定業界の既得権を守る見返りに多額の献金を受けとる行為は本来、あっせん収賄罪に問われるべき内容」におもいっきり抵触している可能性があるわけです。

 現時点でこの黒薮哲哉氏の報道に対する、山本一太氏からの見解はまったくありませんが、これね、朝日・読売や地元上毛新聞ならびに系列TV局などマスメディアはどう取り上げるんでしょうか。

 ・・・

 TVの討論番組などで引っ張りだこ、また、自民党新聞販売懇話会事務局長として、新聞業界の既得権益擁護を展開して「目に見える実績」(ご本人談)を誇示してきた、マスメディアのエンジェルこと山本一太参議院議員

 裏で自民党支部を迂回して業界から何千万も献金受けていたのが事実ならば、これは政治家として完全にアウトであります。

 山本一太参議院議員は「マスメディアの走狗」だったのか?

 ・・・

 この件のこれからのマスメディア報道に注目しましょう。

 下手すると読売新聞「押し紙裁判」と同様、大新聞から全国TVおしなべて沈黙を通すかも知れません。



(木走まさみず)