木走日記

場末の時事評論

「普天間も郵政人事も献金疑惑も丸でダメだけど初めてで慣れていないのよね」〜いつまで続くか母性愛あふれるこの国の世論

 23日付け産経新聞電子版速報記事が最新の世論調査結果を報じております。

【本社・FNN合同世論調査事業仕分け評価9割 内閣支持率もアップ
2009.11.23 14:30
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091123/plc0911231430004-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091123/plc0911231430004-n2.htm

 うむ、まことに興味深い鳩山政権への世論の評価が数字として現出しております。

 この世論調査結果を私流に数字をまとめつつ文章化してみますと、日本の国民の意識はこんな感じでしょうか。

 はい、私は日本の世論です。

 「結論を先送りしている沖縄の米軍普天間飛行場移設問題への対応」は「評価しない(56.0%)」し、天下りや渡りとの批判がある「日本郵政社長への元大蔵事務次官の起用」も「評価しない(60.3%)」し、鳩山首相の政治献金問題への対応にいたってはまったく「評価しない(64.8%)」、していません。

 まったくなにやってんでしょう。

 また民主党政権が二重構造、つまり「鳩山政権で命運を左右する「キーマン」」は「鳩山首相18.9%)」じゃなくて「小沢一郎民主党幹事長(41.9%)」だって見抜いてもいますよ、もちろんです。

 でもね、民主党が掲げた公約を「必ず守るべきだ」(8.5%)なんて思ってないし、「守れないものが出てきても仕方がない」し「公約にとらわれず柔軟に政策を実行すべきだ」(合わせると9割超え)と長い目でも考えています。

 民主党はよくやっていると思いますよ、鳩山政権は「総選挙での期待に応えている」(60.3%)と思うし、「官僚に対する政治主導は進んでいる」(50.2%)じゃないかな。

 特に事業仕分けあれはいいですよね、「行政の無駄の洗い出しに役立つ」(88.7%)と思うし、できれば「毎年行うべきだ」(85.2%)と思いますよ。

 まあ今の結論からすると、「鳩山内閣支持」(62.5%)(補記:不支持率22.9%)は変わらないし、来夏の参院選与野党どちらに勝たせたいかといえば、もちろん「与党」(64.3%)(補記:「自民党などの野党」27.7%)に投票するつもりです。

 こんな感じでしょうか。

 政党支持率も、民主党39.7%、自民党17.3%、社民党3.0%、国民新党0.9%、公明党4.5%、共産党3.2%と、あいかわらず自民にダブルスコア以上の差を付けて40%近くの高支持率をキープしています。

 ・・・

 なんだかなあ、あくまで世論調査ですから参考数字ではありますが、この調査結果を見ますと、国民としては、鳩山政権の個別の政策や対応に関しては、米軍普天間飛行場移設問題への対応も、日本郵政社長への元大蔵事務次官の起用も、鳩山首相の政治献金問題への対応も、6割を越える国民が評価していない、つまりダメ出ししているわけです。

 評価が高いのは事業仕分け(評価8割強)ぐらいですもの。

 個別の対応・政策ではビシバシとダメ出ししているにもかかわらず、それにもかかわらず、鳩山政権は「総選挙での期待に応えている」(60.3%)と、鳩山内閣「支持」(62.5%)だと、来夏の参院選でも「与党」(64.3%)に投票すると。

 マニュフェストだって、「守れないものが出てきても仕方がない」し「公約にとらわれず柔軟に政策を実行すべきだ」(合わせると9割超え)と。

 うーん。

 これはなんですね、この世論調査の結果ですが、国民が鳩山政権を見る眼差しというのは、どうやら不出来な子供を見守る母親のような母性愛が感じられますね、現在のところですが。

 ユキオちゃん、普天間飛行場移設問題への対応をそんなに先延ばししちゃダメでしょ。

 天下り禁止っていってたのに、日本郵政社長へ元大蔵事務次官の起用しちゃダメでしょ。

 自分の政治献金問題への対応も何ごまかしているの、堂々と自ら明らかにしなきゃダメでしょ。

 本当にしょうがない子ねえ。

 ・・・

 ふう。

 でも、初めてで慣れていないものね。

 まあ事業仕分けとか一生懸命にがんばっているし、いいのよ、最初に約束したことができなくても、慣れてきたら公約にとらわれず柔軟に政策を実行していけばね。

 ユキオちゃん、応援しているからしっかりがんばりなさい。

 こんな感じでしょうかねえ。

 普天間も郵政人事も献金疑惑も丸でダメだけど、それでもあなたを見守りましょう、と。
 
 一般にこのような母性愛は論理的理性的な感情というよりも子供に対する盲目的愛情がベースになっていますから、これは理屈で解読することは難しいものでありますな。

 長期に渡った自民党政権に変わる初めての民主党政権を、大事に育てたいという親心なんでしょうか。

 ・・・

 しかし仏の顔も三度まで、とも言います。

 現在のところ、親のような愛情で民主党を見守っている世論でありますが、いつまでもこのようなドジを繰り返していると、いつか世論から突き放されることになりそうです。

 そのときは、あっさり勘当(かんどう)されることになりましょう・・・自民党のように。



(木走まさみず)