木走日記

場末の時事評論

これは世襲政治家だらけの日本の国会の大問題に発展する可能性がある〜驚くべき週刊現代のスクープ記事・安倍晋三「相続税3億円脱税」疑惑の内容

●驚くべき週刊現代のスクープ記事『本誌が追いつめた安倍晋三相続税3億円脱税」疑惑』の内容

 遅まきながら、話題の週刊現代のスクープ記事『本誌が追いつめた安倍晋三相続税3億円脱税」疑惑』を読みました。

緊急ワイド
史上最低の「無責任な官邸」全真相

突如辞任を発表、翌日には緊急入院――「安倍首相をここまで追い込んだ」と、発売前から永田町、メディアを騒然とさせたのは、本誌のこのスクープだ。
【Scoop 1】このスクープで総理は職を投げ出した! 最大の「政治とカネ」スキャンダルは総理の政治団体に 亡き父・晋太郎の「遺産」6億円と“出資者不明”の巨額献金
本誌が追い詰めた安倍晋三【首相】「相続税3億円脱税」疑惑


高瀬真実(ジャーナリスト)と本誌取材班

発売前から永田町は騒然

「なぜ参議院選挙大敗の責任を取らなかったのに、内閣改造のおわったいま辞任するのか」
「インド洋の給油活動延長に職を賭す、といっていたのに逃げではないのか」

 ・・・

http://kodansha.cplaza.ne.jp/wgendai/article/070917/top_01_01.html

 まあ詳細は是非週刊現代をお読みいただきたいです。

 いやしかしこの内容には驚きました。

 簡単にまとめれば、首相には、父・晋太郎氏が政治団体に寄付した6億円あまりの遺産を、政治団体ごと相続することによって、3億円あまりの相続税を脱税した疑惑があるというのです。

 週刊現代は一年近くの時間を掛け、安倍首相の政治団体の連結収支報告書等を入手、その過去の経理状態を徹底的に洗い出しています。

 その生の資料を手に財務省主税局相続税担当まで取材しコメントを取っています。

 該当個所を週刊現代記事より抜粋引用いたしましょう。

 ・・・

 財務省主税局の相続税担当の幹部に、連結収支報告書の数字を示しながら聞いた。政治団体を通じた巨額の資産相続に違法性はないのか?
政治団体に個人献金した資金が使われずに相続されれば、それは相続税法上の課税対象資産に該当します。政治団体がいくつもある場合は、合算した資産残高のうち献金された分が課税対象になります。たとえ首相でも、法律の適用は同じです」
 そう説明した幹部は、連結収支報告書の数字を見比べてきっぱり言った。
「この通りなら、これは脱税ですね」

 ・・・

週刊現代9月29日号 29頁より抜粋

 週刊現代の記事によれば、安倍事務所に対しA4にして5枚の質問状を回答期限付きで送ったのだそうですが、回答期限が迫った12日午後2時に驚くべき事に安倍首相は突然辞任、いまもって質問状への回答はないそうです。

 ・・・

 税法上は時効だが、政治的責任や道義的責任に時効はありません。

 首相は、首相の名誉のためにも疑惑に真摯に答えるべきでしょう。

 もし事実でないなら、事実でないときちんと反論すべきですし、逆にもし事実ならば、たとえ時効であろうとも、払わなかった税金を自主的に納付するのは当然だし、即刻、議員を辞職すべきです。

 ・・・



●これは世襲政治家全体の問題に発展する可能性がある〜本当に安倍首相だけの問題なのか?

 もし仮にこの週刊現代のスクープ記事『本誌が追いつめた安倍晋三相続税3億円脱税」疑惑』の内容が事実だとするならば、これは本当に安倍首相だけの問題なのか緊急に検証する必要があります。

 世襲政治家だらけの自民党にとって、大問題に発展する可能性があると思います。

 親の政治家が生前多額の資産を自らの政治団体に寄付し、親の死後子供の政治家が親の政治団体を継承する形で相続税を免れるというこの違法行為は、本当に安倍氏だけの疑惑なのかどうか、早急に調査すべきです。

 次の総裁候補である福田氏も麻生氏も、その他の自民党幹部も多くの世襲政治家がいる事実を考えると、この問題はもしかすると自民党を土台から揺るがしかねない大問題に発展する可能性があります。

 すべての世襲政治家政治団体の収支報告書を早急に検証すべきです。

 ・・・

 まず安倍氏は自らの政治生命を掛けて、スクープ記事に対峙すべきです。

 事実でないならば週刊現代を即刻訴え、公の場で名誉毀損を主張すべきです。

 事実であるならば全額納税の上、即刻議員辞職すべきです。

 その上で、事実だとすれば安倍事務所だけの問題だとは考えづらいです。

 このような不当な税金のがれがなされてはいないか、全ての世襲政治家政治団体の収支報告書を過去にさかのぼり早急に検証すべきです。

 政治家が自ら自浄作用を示すことができないとするならば、マスメディアが追及すべきでしょう。

 肝心なところで権力に臆病・チキンな日本のマスメディアですが、今こそその存在価値が試されていると思います。

 もちろん、党派を超えて民主党小沢代表も含めて検証すべきなのは言うまでもありません。

 この問題、世襲政治家だらけの日本の国会の大問題に発展する可能性があると思います。



(木走まさみず)



<関連テキスト>
■[政治]世襲議員で固めた安倍改造内閣党執行部〜国家・国民の立場で問題を俯瞰することははたしてできるか?
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070827
■[政治]異常としか思えない総裁選候補者も入閣予定者も世襲議員だらけの自民党
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20060910