木走日記

場末の時事評論

マスメディアよ、まず節電すべきはあなた方自身じゃないのか!?

 主要新聞紙紙面やTV各局では、ほぼ連日のように国民に節電を訴えています。

 朝日・読売・毎日各紙の社説から。

【朝日社説】電力不足―停電より「計画節電」を
http://www.asahi.com/paper/editorial20110320.html
【読売社説】電力不足 節電に努め長期化に備えよ
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110323-OYT1T01066.htm
【毎日社説】電力節約 長期化に備えた対応を
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20110322ddm005070062000c.html

 朝日社説のポイントはここ。

 例えば稼働するエレベーターを減らしたり、生産ラインの一部を休止したりする。操業を短縮して帰宅を早め、家庭では夕食を早く済ませて、早く寝る。操業の一部を土日に移す。学校の春休みを長くするのも一案だろう。

 さまざまな努力を積み重ねれば、かなりの節電ができる。

 電気事業法では、政府が強制的に電力使用を制限することができる。1974年の第一次石油危機で発動された時は、一定規模以上の事業者は電力の使用量を15%削った。もちろんネオンなどの照明も抑制した。

 「稼働するエレベーターを減らしたり、生産ラインの一部を休止したりする。操業を短縮して帰宅を早め、家庭では夕食を早く済ませて、早く寝る」、「さまざまな努力を積み重ねれば、かなりの節電ができる」、それはその通りでしょうが簡単に「かなりの節電ができる」と決めつけられても中小工場にとって「生産ラインの一部を休止したりする」ことはそれこそ死活問題なのはマスメディアの論説室からは見えないんでしょうか。

 今回の大震災に伴う電力不足による「計画停電」などのマスメディアの報道姿勢には、非常に国民を馬鹿にしている問題点があると思うのですよ、その点を指摘している論説がほとんどないようなので、あえて憎まれ役を買うかもしれませんが、マスメディアの姿勢を批判したいのです。

 国民に偉そうにガマンを強いるならば、一言いいたいです。

 マスメディアよ、まず節電すべきはあなた方自身じゃないのですか!?

 日本のマスメディアがたちが悪いのは、日本のTVは事実上新聞社が支配している「クロスオーナーシップ」の悪弊のために、TV局は新聞の批判を決してしませんし、親会社の大新聞もTV局の問題を積極的には取り上げないというマスメディア全体がチキン(臆病)になってしまっている点です。

 欧米の先進国の多くでは、言論の多様性やメディアの相互チェックを確保するため、新聞社が放送局を系列化する「クロスオーナーシップ」を制限・禁止する制度や法律が設けられていますが、日本でも、総務省令(放送局に係る表現の自由享有基準)にクロスオーナーシップを制限する規定があるにはあるのですが、これは一つの地域でテレビ・ラジオ・新聞のすべてを独占的に保有するという「実際にはありえないケース」(岩崎貞明・メディア総合研究所事務局長)を禁止しているにすぎません。

 その結果、読売新聞と日本テレビ朝日新聞テレビ朝日産経新聞とフジテレビ、毎日新聞とTBSといった新聞とテレビの系列化が進み、テレビが新聞の再販問題や押し紙問題を一切報じないことなどに見られるようにメディア相互のチェック機能がまったく働かず、新聞もテレビも互いの問題点を隠し合うという弊害が生じているのです。

 この非常時に国民に「節電」を訴えるならば、マスメディアは範をたれるべきでしょう。

 まずTV局。

 関東圏だけで、NHK、NHK教育、日本テレビ、フジテレビ、TBS、テレビ朝日テレビ東京と7局がひしめき、朝から夜中の4時過ぎまで放送を垂れ流していますが、この非常時にこのような放送垂れ流しの必要性はあるのか、はなはだ疑問です。

 特に昼間の時間帯など過去番組の再放送とか放送価値があるとは思えない下らない番組が多すぎます。

 夜中の4時まで放送する必然性も理解できません。

 昼間時間の一定時間、と夜の12時以降の放送を中断しても国民生活には何も支障がないでしょう。

 放送時間を短縮すべきです、多くの家庭がその時間TVを視聴しなくなりものすごい節電効果があることでしょう。

 加えて曜日によって特定の局が終日放映しない「計画停電」でも行ったらよろしいのではないですか。

 どこか一局放送が中断していても国民生活には何ら支障はありません。

 そして大新聞。

 この非常時に「押し紙」問題を放置していていいのですか。

 実は新聞は独占禁止法上の「新聞特殊指定」対象で返品はできない仕組みや定価を変更できない仕組みに過保護にまで守られています。

 新聞社は販売店にたとえば1万部「販売」しますが、そのうちの何割かは「押し紙」として購読者に読まれずに夜中にそっと廃品回収トラックにより捨て去られています。

 例えば1万部のうち3割が「押し紙」だとして、実売は7000部なのですが、新聞社も販売店も公称「1万部」として、新聞社は新聞紙面の広告主に、販売店はチラシの広告主にアナウンスしているわけです、そのほうが広告料金を高くできますからね。

 何割もの無駄な誰にも読まれない新聞が全国で輪転機で大量に印刷されトラックで運搬され、そしてひっそりと廃品回収されているわけです。

 なんという資源の無駄遣いでしょう。

 この新聞社の「押し紙」問題は、新聞は決して報道しませんし、もちろん、系列のTVもラジオも決して取り上げません、日本のマスメディアのタブー中のタブーです。

 大新聞は「押し紙」を即刻止めるべきです、そうすればものすごい資源と電力の節約になります。
 
 ・・・

 マスメディアは資源を浪費している自分たちを棚に上げて国民に節電を求めても、まったく説得力がありません。

 まず節電すべきはあなた方自身じゃないのですか!?

 

(木走まさみず)