木走日記

場末の時事評論

基本法則1:小泉総理の敵は自滅する〜またひとつ証明された小泉総理の「豪運」

kibashiri2006-03-03




●民主自滅で全面降伏

 朝日新聞から・・・

民主平謝りの中、予算案衆院通過 小泉改革固め直しへ

 攻守は逆転した。06年度予算案が通過した2日夕の衆院本会議場。小泉改革の負の側面をたたく野党にとって格好の見せ場のはずが、討論に立った民主党議員はまず頭を下げるほかなかった。メール問題で野党第1党が自滅した結果、小泉政権の政策を検証する政治の追及力が鈍り、国会は空洞化の危機にある。ライブドアショック以降、求心力が低下したかに見えた小泉首相はこれを機に改革路線を固め直そうとする。皇室典範改正問題などを機に距離を置いたポスト小泉候補はどう反応するか、それが今秋の自民党総裁選への焦点となってきた。

 通常国会前半の最大の節目の日、民主党が忙しかったのは政権与党に頭を下げることと、国対委員長の引き受け手を探すことだった。衆院予算委員会で質問した原口一博氏、反対討論に立った松野頼久氏とも謝罪を余儀なくされ、「これを機に党を再生し、品位ある国会の論議を進めたい」と語った。

 小泉首相「気を落とさずに頑張って下さい」。

 前原民主党代表「ご迷惑をおかけしました」。

 衆院本会議場では、首相が前原氏の肩をポンとたたき、こんなやりとりを交わしたという。

 その首相の目は、すでにこの先の展開に向いている。今後の国会について「今回は行革推進国会であると位置づけておりましたからね。その本筋に戻っていくと思います」、ポスト小泉についても「閣内の大臣としての職務に専念しなければならない時期ですからね」と記者団に語った。

 公務員の総定数削減などを含む行政改革推進法案の早期成立を目指し、改革論争を通じた政権の求心力維持を図る。6月にとりまとめる「骨太の方針」にそれを明記すれば、改革路線で事実上、ポスト小泉の政策を縛ることが出来る――。首相の狙いは明白だ。

 だが、「デフレ脱却宣言」を最後の仕事に見据えているとはいえ、ライブドア事件を機に生じた所得格差の問題に世論がどんな視線を注ぐかは分からない。

 外交に目を転じても、在日米軍再編やイラクに派遣している自衛隊の撤退、米国産牛肉の輸入再開といった日米間の問題は見通しが利きにくい。靖国神社参拝問題で滞ったアジア外交をどうするのかは、重い課題であり続けている。「敵失」で取り戻した主導権を背景に、今後どうこなしていくか。

 さらに、安倍官房長官はじめ谷垣財務相、麻生外相、福田康夫官房長官らポスト小泉候補が、政権を取り巻く環境の変化を受けて改革路線の立て直しにどう絡んでいくのか。そこがカギとなる。

   ◇

 06年度政府予算案は2日、衆院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で原案通り可決され、参院に送られた。民主党・無所属クラブの田中真紀子元外相は、政府案に賛成した。予算案は憲法の規定により参院が可決しなくても30日以内に自然成立するため、予算の年度内成立が確定した。

2006年03月02日21時31分 朝日新聞
http://www.asahi.com/politics/update/0302/010.html

 小泉首相「気を落とさずに頑張って下さい」で、前原民主党代表「ご迷惑をおかけしました」ですか・・・

 もう、勝負有りですね、民主自滅で全面降伏であります。

 国会を空洞化させた、民主党の罪は重いです。

 メール問題で迷走した揚げ句、本来追求すべき武部幹事長及び次男氏とライブドア堀江元社長との癒着疑惑は手つかずのママ放置されようとしています。

 それだけでなく、予算案審議では、ライブドア事件、米国産牛肉の輸入再開問題、耐震強度偽装事件、防衛施設庁の官製談合という「四点セット」で、政府・与党を追い詰めるはずだったのが、全てもくろみは失敗し、真相究明と責任追及は、「四点セット」すべてで消化不良になってしまいそうです。

 ・・・

 ふう。

 それにしても、小泉首相、またしても敵失で救われましたね。

 たしかに昨日小泉首相自身が国会答弁でおっしゃってたとおりです。

 「運のいい悪い、人生ですからありますよ」

 ・・・



●「能力の違い、才能の違い、運のいい悪い、人生ですからありますよ。」

 昨日(2日)の衆院予算委員会で、民主党前党首岡田克也氏との質疑での小泉首相の答弁は昨日の報道ステーションでも一部取り上げられていましたが、実に興味深い小泉発言が展開していました。

 まだ議事録はネットで公開されていませんがビデオ映像は公開されています。

衆議院TV
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.cfm

 で、注目したいのは、岡田克也(民主党・無所属クラブ)氏とのやり取りの中の、49分37秒〜52分17秒までの小泉発言なのであります。

 岡田克也氏が、資料に基づき小泉政権5年間の間で、格差拡大社会になってしまってるじゃないかと、失業者やニートの問題に絡めて食ってかかるのですが、小泉首相が能力あるやる気のある人が報われる世界のどこが悪いと反論し、また岡田氏が能力があっても報われない人もいるんだと再反論した後の答弁です。

 なにやら、運の悪い人、運のいい人の話まで出てきて少し哲学的(苦笑)なのですが、ご紹介いたしましょう。

 以下は上記国会ビデオライブラリより、該当の小泉発言部分です。(書記:木走)

小泉首相

 何回も申し上げていますように、どうしても自分一人では立ち向かうことができない人に対しては、しっかりとしたセーフティネットなり、社会保障制度、これを整備していくということは、政治として極めて重要なことだということを、何回も申し上げているんです。

 その上で、チャンスがある人、やればできる人、努力すれば報われる人、こういう人に対しては、立ち上がれるようなチャンスを提供していこうと。

 もちろん能力だけじゃありません。

 どんなに、能力があったって運が悪い人はいます。

 努力すればそれだけ努力しない人よりも恵まれるかというと、かならずしもそうでないのは世の中であります。

 選挙運動一生懸命やっても当選できない人がいる。あんまり選挙運動やんなくたって当選できるひとがいる。

 それは、野球ひとつ見たってあれだけ才能のある選手が集まっているプロ野球でも、能力あると思われていながら、どんなに練習しても努力しても、血のにじむような訓練・練習をしても3割を打てない選手もいる。

 しかしながら、天性、それほど必死に練習しなくてもホームランを打ったり3割打てるバッターもいるんです。

 これはもう能力の違い、才能の違い、運のいい悪い、人生ですからありますよ。

 そういう中でできるだけ、やればできる、やりたいという人に対してはチャンスを提供しようと。

 たった一例でありますけれども、今まで一千万円の資金がなかったら株式会社を立ち上がることができない、オレは会社つくりたいんだ、というのに、じゃ一円あれば株式会社できるようにしようと、そういうことにしたら、どんどんやる人が出てきた、

 こういうチャンスを提供することが大事なんです。

 私は、そういうことを言っているのであって、一人で立ちいけない人に対してなんにもしなくていいなんてことは一度も言ってませんよ。

 セフティネットを整備すること、社会保障に対して持続可能なものにしていくこと、そしてニートに対してきめ細かい指導をしていくこと、そういうことも重ねて申し上げているんです。

 どうでしょう、とても興味深い発言なのであります。

 この答弁は、小泉首相の本音の発言と思いました。

 小泉流新自由主義主観の発露と言ったら言い過ぎでしょうか。

 「努力すればそれだけ努力しない人よりも恵まれるかというと、かならずしもそうでないのは世の中であります。」もその通り、「これはもう能力の違い、才能の違い、運のいい悪い、人生ですからありますよ。」もその通り、小泉首相の素直な個人的な人生観が、言葉として表出しているのでありましょう。

 ・・・

 「能力の違い、才能の違い、運のいい悪い、人生ですからありますよ。」

 運のいい人生、運の悪い人生、

 人生いろいろですか・・・



●「何かピンチになると、逆境に入ると、なんかいい風が吹いてくるんですねえ」

 一週間ほど前の小泉首相のご機嫌な発言を朝日記事から・・・

「逆境に入ると、いい風が吹く」首相、情勢一変で語る

 「何かピンチになると、逆境に入ると、なんかいい風が吹いてくるんですねえ」。小泉首相は24日、福田赳夫元首相の次男・故横手征夫さんを偲(しの)ぶ会に出席。耐震偽装問題などの「4点セット」で野党側から追及されていたが、民主党の「送金メール騒動」で情勢が一変したことを念頭に、こう語った。

 首相は「『あんた小泉は運がいいな』。そう言われるが実は運じゃなくて、私には福がついている。福田家のご縁が、ピンチに陥ると福の神が支えてくれる」と余裕の弁。ポスト小泉の1人にあがる福田康夫官房長官についても「官房長官として懸命に私を支えて頂いた」と持ち上げた。

2006年02月24日20時06分
http://www.asahi.com/politics/update/0224/006.html

 うーん、ここ一両日の民主自滅・全面降伏状態の国会の模様を見せられると、

 「何かピンチになると、逆境に入ると、なんかいい風が吹いてくるんですねえ」

 この発言、頷かざるを得ませんねえ(苦笑

 過去五年、数々のピンチを逆に順風に変えてきた小泉首相なのですが、確かにただの運の強さでは説明できない、悪運(強運?)の持ち主であります。

 今年に入ってからも、皇室典範改正問題で党内で求心力を急速に失いつつあったときには、紀子様ご懐妊という幸運に恵まれ、今回のライブドア事件、米国産牛肉の輸入再開問題、耐震強度偽装事件、防衛施設庁の官製談合という「四点セット」国会では窮地に立たされれば、民主党が勝手に自滅してくれたのであります。

 ・・・

 「ピンチに陥ると福の神が支えてくれる」と語るご機嫌な小泉首相ですが、私には「福の神」なのか「魔神」(失礼(苦笑))なのか、なんだかわかりませんが、小泉首相は運が強すぎることだけは認めざるを得ません。


●小泉超ラッキー伝説または小泉の法則〜基本法則1:小泉総理の敵は自滅する

 2ちゃんねるに有名な「小泉総理は運が強すぎる」スレッドというのがあります。

小泉総理は運が強すぎる まとめサイト
http://yasz.hp.infoseek.co.jp/

 なんか当ブログにもここから遊びに来てくれる読者が少なくないのでありますが、ここのまとめサイト「小泉超ラッキー伝説または小泉の法則」という小泉首相の強運を法則としてまとめてある記述があります。

●小泉超ラッキー伝説または小泉の法則

基本法

基本法則1:
小泉総理の敵は自滅する。(ブーメラン効果またはマホカンタ効果)
(小泉総理に対して、意図して敵対した者/自覚して明示的に対立した者は、高い確率で墓穴を掘る)

基本法則2:
小泉総理にとって不利/不利益な事件が起こると、その直後に小泉総理にとって有利/有益な事件が起こる。
(または、小泉総理にとって喜ばしくない小事件(必ずしも喜ばしくないわけではないが、注目を集めたり騒がれたくないできごとも)が起きた場合、さらに別の大事件が起きて直前の不利益な事件についての報道がうやむやになってしまう)

基本法則3:
アンラッキーな事件が致命的であるほど、大きなどんでん返しを伴った幸運が転がり込む。
(大きなピンチは、大きなラッキーの予備状態であり、ピンチが大きいほど期待感が高まる)

基本法則4:
世論、支持者、敵対者の全てが「今度こそ小泉はダメだろう」と確信した瞬間が、ピンチの底である。
(信者が見限る、支持者が溜息を吐く瞬間が、ラッキーの発動トリガーになっている)

基本法則5:
サプライズは週末に起きる。
(法則1、法則2で起きる事件は金曜に発生することが多い。土日は通常のワイドショーがないため、マスコミは出遅れ、月曜には新局面になっている)

基本法則6:
小泉政権下では、内政、防衛、外交のすべてにおいて『これで流れが変わる』と言われた時は、結局流れが変わらない。
小泉政権に批判的な意見が誌面に踊り大きく蠢動するときほど、何も変わらない。運スレにホロン(アンチ意見)が大量発生するとき、小泉政権の判断が日本の利益・国益に対して良い結果に繋がっていることが、後日判明する)

http://yasz.hp.infoseek.co.jp/log2/jirei.htm#basic_rule

 おもしろいですねえ。

 で、ここの住人のみなさんは、小泉さんの強運(悪運)の強さを「豪運」という造語で読んでいるそうです。

※豪運とは……
運スレでは小泉総理の運の強さを「豪運」と表現しますが、これに対する反対論者の主張(そして小泉総理自身の愚痴)としては「そんなに運が良かったら、そもそもこれほどトラブルは続かない」です。運スレで言うところの豪運は、「波風が立たない幸運」ではなく「波風が立っても船が沈まない幸運」のことであり、豪運とは「不幸中の幸い」を意味するものと考えられます。

 うーん、今回の民主自滅で救われた小泉首相なのですが、

 またひとつ小泉総理の「豪運」が証明されたということなのでしょうか。

 ・・・

基本法則1:
小泉総理の敵は自滅する。(ブーメラン効果またはマホカンタ効果)
(小泉総理に対して、意図して敵対した者/自覚して明示的に対立した者は、高い確率で墓穴を掘る)

 今回は「基本法則1:小泉総理の敵は自滅する」がきれいに適用できそうですネ。





(木走まさみず)