木走日記

場末の時事評論

「靖国法案」を国会決議せよ!〜うらやましいぞ仏「フォアグラ法案」

kibashiri2005-10-20


 だめだ。靖国問題を真摯に議論しようと思っていたのですがどうしても気になるニュースが入ってきたので、今日は与太話であります。(苦笑

 日本で「靖国参拝問題」が議論白熱いっきに国際問題となろうという中で、かたやフランスでは「フォアグラ生産問題」が大加熱し一大国際問題(?)として急浮上しているのです。



●フォアグラは仏文化の「遺産」、仏下院が法案可決

 今日(20日)の読売新聞から・・・

フォアグラは仏文化の「遺産」、仏下院が法案可決
 【パリ=島崎雅夫】世界有数の料理王国を誇るフランスの国民議会(下院)がこのほど、フォアグラが仏文化の「遺産」であるとした法案を全会一致で可決した。

 フォアグラ法案は、農業政策に関する包括法の一部で、フランスが世界でフォアグラの80%以上を生産していることを指摘し、保護すべき仏文化・料理の貴重な遺産であると宣言している。フォアグラを作るのに必要なカモやガチョウの強制肥育についても、「ほかに方法はない」として擁護する姿勢を鮮明にした。

 フォアグラ法案に対しては、仏女優ブリジット・バルドーさんが主宰する動物愛護団体などが、強制的に大量のエサを与えてカモやガチョウの肝臓を肥大させる方法は「動物への拷問である」と改めて批判した。

 米国や欧州の一部、中東などでは、フォアグラを作るための強制肥育の廃止を検討する動きも出ており、今回のフランスの「フォアグラ支持宣言」は今後、国際的に波紋を広げそうだ。

(2005年10月20日11時8分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20051020it03.htm

 むむむむ・・・

 「フォアグラが仏文化の「遺産」であるとした法案を全会一致で可決」ですと。

 やるなあ、仏下院(爆笑

 不肖・木走にはどうでもいいやあなどと思ってしまいますが、この「フォアグラ生産問題」、少し調べてみると今回のフランスの「フォアグラ支持宣言」ですが、これはもう国際的に孤立してでも自国の立場を守ろうとするフランス国民の強い決意であるのですよね。

 だって、記事中にもありますが、動物愛護の観点から「米国や欧州の一部、中東などでは、フォアグラを作るための強制肥育の廃止を検討する動き」が強まっていたのです。

 10月3日のOCNニュースから・・・

フォアグラ生産禁止へ=強制飼育は動物保護法違反−イスラエル

 【エルサレム2日時事】イスラエル政府は、世界三大珍味の1つとされるガチョウやカモなどの肝臓「フォアグラ」を目的とした強制飼育は動物虐待に当たるとして、こうした飼育を禁じる見通しだ。
 2日のイスラエル紙ハーレツ(電子版)によると、カッツ農相は同日の閣議で、美食目的のフォアグラ生産の継続を求めたが、多数決で却下された。閣議はフォアグラ生産者への補償措置を検討することも決めた。
 フォアグラは、濃厚な味わいでイスラエルでも人気が高いが、肝臓を肥大させるため、ガチョウなどを動けないようにしたり、無理やり餌を与えたりしている。同国最高裁は先に「強制飼育は動物保護法違反」と認定していた。 

[時事通信社:2005年10月03日06時09分]
http://www.ocn.ne.jp/news/data/20051003/j051003X197.html

 イスラエルはフォアグラ生産禁止を閣議決定したのですか。

 アメリカのカリフォルニア州では、すでに昨年シュワちゃんがフォアグラ生産禁止したようですね。

 シュワちゃんウオッチャーのターミネーター関連情報』さんから・・・

■フォアグラの売買禁止へ 米加州、シュワ知事が署名 04/10/03
情報 【ロサンゼルス30日共同】米カリフォルニア州アーノルド・シュワルツェネッガー知事は9月29日、フランス料理などで使われるフォアグラの生産と販売を2012年以降、原則禁止する法案に署名した。
 対象となるのは、カモやガチョウにチューブを使って強制的に飼料を与え肝臓を肥大化させたフォアグラで、動物保護団体からは「残酷すぎる」と批判が強かった。
 同知事は声明で「法施行までの約7年半で、生産者は別の方法でのフォアグラ生産を考えてほしい」と語り、フォアグラそのものを完全禁止するつもりではないことを強調した。
 AP通信によると、禁止法案については元ビートルズポール・マッカートニーさんら著名人が知事に署名を求める嘆願書を送っていた。
記事 Yahoo!ニュース
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Theater/6689/t/info_schwa444.htm

 うーむ、どうもどうやら「カモやガチョウにチューブを使って強制的に飼料を与え肝臓を肥大化させ」るその生産方法がいけないようなのであります。

 ・・・

 うーむ、よくわからん(苦笑



●フォアグラ強制飼育法〜その名はガヴァージュだそうな

 よくわからんですがそんなに残酷なのか少し調べてみました。

フォアグラ

フォアグラは脂肪肝を発症したガチョウまたはカモの肝臓。世界三大珍味の1つに数えられる食品である。

古代エジプト人が、干しイチジクをガチョウに与えて飼育し、その肝臓を食したのが始まりと言われる。古代ローマの文献にも見られ、強制飼育が行われていた。 ルネッサンス期にはフォアグラ生産業が定着して食材として認知されるようになった。

今日では、ガヴァージュと呼ばれる飼育法により、トウモロコシなどの飼料を大量に無理矢理食べさせて脂肪肝を発症させることで製造する。そのため、一部の動物愛護団体は動物虐待であるとして反発している。

ソテーして食べるのが一般的。フォアグラをステーキの上に乗せた料理は、ロッシーニ風と呼ばれる。

2004年9月29日、カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガーは2012年までにカリフォルニア州内で鳥に強制的に食事を与えて作られたフォアグラの生産と販売を禁止する法律を施行した。同法では、動物虐待ではない方法で生産されたフォアグラの販売は認められる。

出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%82%A2%E3%82%B0%E3%83%A9

 問題の飼育方法ガヴァージュですがこちらにくわしい解説が載っております。

ガヴァージュ

 準備期間が終わると、自由に運動できないような狭いケージに移され、約14日間のガヴァージュが開始される(S農場からガヴァージュを委託されているB農場)。

 アイガモには1日2回、蒸したトウモロコシを主体としたえさが与えられる。同じ人間が、決まった時間にえさを与えることで、ガヴァージュのストレスが軽減される。
 えさの強制給与の前に、砂のうの状態(前に給与したえさの残り具合)を確認し、給与量を調整する。ベルギーでは、ガヴァージュを行うためには、農林大臣の許可書が必要で、動物福祉の観点から、カモの快適性を重視したさまざまな規則が設けられている(B農場)。
 
 ガヴァージュを終えたアイガモは、と殺時の苦痛を与えないため、電気ショックで失神させた上で失血死させる。通常約5キログラム前後のアイガモから、約500グラムのフォ
アグラが得られる。生のまま真空包装で販売されるほか、アンティエと呼ばれるフォアグラを丸ごと加工(コニャックなどでの風味づけ)したものや、パテなどの加工品に使用される。(U農場)

 フォアグラを取り出した後のと体も、薫製各種の加工品の原料として活用される。(U農場)

 動物福祉の観点からフォアグラ生産に対し、マイナスイメージを持つ人もいるが、フォアグラ生産で最も大切な点は、ガチョウやカモにできるだけストレスを与えないことだという。豊かな自然環境があって初めて、ガチョウやカモの特性を活用したフォアグラ生産が可能となる。

ベルギーのフォアグラ生産 より抜粋(写真もこちらのサイトより)
ラッセル駐在員事務所 山田 理、吉江 昭、関 将弘
http://lin.lin.go.jp/alic/month/fore/2003/mar/gravure.htm

 うーん、別にそんなに残酷でもないと感じたのは、私に動物愛護の精神が欠落しているからかも知れません、たぶん(苦笑

 しかしなあ、松坂牛だって上等な霜降り肉にするためにビール飲ませたりしてるそうだし、別にどうってことないじゃない・・・

 ・・・

 うーん、当事者達には、それこそ固有文化にも関わるアツイ問題なんでしょうけどね、はたから見てると正直どうでもいいんですね。



●暴論! 靖国参拝も国会決着しちゃえ!

 しかし似ているよなあ、うん、実に似ている。

 え? 何がって?

 このフランスの「フォアグラ生産問題」と日本の「靖国参拝問題」ですよ。

 共に一国の固有の文化にまで踏み込みつつ国際的な論争を巻き起こしている点や、論争当事国間で過激な反応が起きている点や、何やら端から見ているとそのアツイ議論自体がコッケイに見えてしまう点とか、共通していると思いませんか?

 日本もそろそろ国家として意思統一を図り日本の決意を国会を通じて高らかに宣言すべきじゃないですかね。

 フランス下院にならって「フォアグラ法案」ならぬ「靖国法案」を決議して、「フォアグラ支持宣言」ならぬ「靖国支持宣言」か「靖国反対宣言」をしちゃえば、この論争終止符が打てるのじゃないでしょうか?

 白黒つけるために、「日本国総理大臣は未来永劫毎年靖国に参拝しなければならない法案」「日本国総理大臣は金輪際靖国に参拝してはいけない法案」を国会決議でどちらか決定しちゃうのは、どうなんですかね。

 え? 暴論だって?

 なんだかなあ、フランス国会の「フォアグラ法案」だって国会で決議する内容なのかはたから見ればよくわからない問題じゃないですか、日本の国会だって、関心のない国からしてみればよくわからん「靖国法案」を議決したっていいじゃないですか?

 少なくともこの不毛な論争に終止符打てるんだったらいいと思うんですけど、やっぱり日本じゃ無理なのかな・・・

 なんか全会一致で「フォアグラ支持宣言」したフランス下院の心意気が、みょうにうらやましく思ってしまうのは私だけでしょうかねえ。

 ・・・

 今日は、靖国問題を真面目にアツク考えている方々に、怒られそうな与太話になってしまいました。(汗

 しかし全会一致で「フォアグラ支持宣言」したフランス下院、いいなあ(苦笑



(木走まさみず)