木走日記

場末の時事評論

木走教授のトンデモ講演〜天下の暴論、みなさ〜ん、アスベストしてますかあの巻

●量産される中国アスベストを警戒せよ〜恐怖の大王が日本に舞い降りる? 
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050805/1123214871

 昨日エントリーしたアスベストの記事ですが、予想通り(?)極めて不評であります。(爆笑)

 いわく、中国からそんなに問題になるほどアスベストが飛んでくるのか?
 いわく、大変だと危機感を煽るのはウンザリ、
 いわく、タバコの煙のほうがはるかに危険な物質、 etc・・・

 ・・・

 ごもっともです。

 うーむ、中国からの大気越境汚染の問題と、アスベストの問題を同時に問題提起したのですが、根拠を具体的に示すに至らなかったのが敗因かも・・・

 いかん、このままでは単なる煽りエントリーで終わってしまう。(汗

 よーし、こういうときには、あの方に登場願い、与太話にしてお茶を濁しちゃおう。
 (↑お前は朝日か、それともNHKか(爆 )

 ていうわけで、本日は与太話です。



●木走教授のトンデモ講演〜天下の暴論、みなさ〜ん、アスベストしてますかあの巻

司会「はいどーも、司会のどーも君です。本日はあなたの疑問になんでも応えるトンデモセミナーシリーズ第一弾であります。本日のテーマは、「アスベストは危険なのか」であります。それでは木走教授張り切ってまいりましょう、みなさん、盛大な拍手をおねがいしや〜す」

聴衆バチバチバチ」

教授「ゴホン、ただいまご紹介いただきました木走です。今日は「アスベストは危険なのか」と題して、アスベストの危険性について科学的・論理的に解き明かしていこうと思います。」

司会「教授、早速ですがまずアスベスト石綿ですが、そこにあること自体が直ちに問題なのではなく、飛び散ること、吸い込むことが問題となるといわれておりますが」

教授「そうですね、大量に吸い続けない限り危険は少ないと言われておりますが、肺に吸い込んだ石綿の量、期間、種類によって異なりますが、発症するリスクが高まるのは事実ですね。」

司会石綿が原因で発症するのはどのような病気なのですか?」

教授石綿アスベスト)の繊維は、肺繊維症(じん肺)、悪性中皮腫の原因になるといわれ、肺がんを起こす可能性があることが知られています(WHO報告)。石綿による健康被害は、石綿を扱ってから長い年月を経て出てきます。例えば、中皮腫は平均35年前後という長い潜伏期間の後発病することが多いとされています。

(1)石綿アスベスト)肺
 肺が繊維化してしまう肺繊維症(じん肺)という病気の一つです。肺の繊維化を起こすものとしては石綿のほか、粉じん、薬品等多くの原因があげられますが、石綿の曝露によっておきた肺繊維症を特に石綿肺とよんで区別しています。職業上アスベスト粉塵を10年以上吸入した労働者に起こるといわれており、潜伏期間は15〜20年といわれております。アスベスト曝露をやめたあとでも進行することもあります。

(2)肺がん
 石綿が肺がんを起こすメカニズムはまだ十分に解明されていませんが、肺細胞に取り込まれた石綿繊維の主に物理的刺激により肺がんが発生するとされています。また、喫煙と深い関係にあることも知られています。アスベスト曝露から肺がん発症までに15〜40年の潜伏期間があり、曝露量が多いほど肺がんの発生が多いことが知られています。治療法には外科治療、抗がん剤治療、放射線治療などがあります。

(3)悪性中皮腫
 肺を取り囲む胸膜、肝臓や胃などの臓器を囲む腹膜、心臓及び大血管の起始部を覆う心膜等にできる悪性の腫瘍です。若い時期にアスベストを吸い込んだ方のほうが悪性中皮腫になりやすいことが知られています。潜伏期間は20〜50年といわれています。治療法には外科治療、抗がん剤治療、放射線治療などがあります。
一旦吸い込んだアスベストの一部は異物として痰のなかに混ざり、体外に排出されますが、大量のアスベストを吸い込んだ場合や大きなアスベストは除去されずに肺内に蓄積されると言われています。」

司会「空気中のどのくらいアスベストが飛散していると危険なのでしょうか?」

教授大気汚染防止法に定められたアスベストを取り扱う工場などの敷地境界線における規制基準というのがありますが、『大気1リットル当たりアスベストが10本以下』であれば安全であるとされています。

●一般人が心配するような問題はほとんど起こらない

司会「実際にこの値を超える測定値が検出されることはめったにないのですよね。」

教授「ビルの解体時とかに瞬間的・局所的には検出されることがありますが、しっかりとリスク管理しておけば、一般市民が普通の生活をしている限り決して不安を覚えることはないでしょう。」

司会「つまり、長期間アスベストを吸い続けるような環境でなければ心配はいらないということでしょうか?」

教授「御意。量的にどのくらい被爆したら発病するのかという確たる目安は残念ながらありませんが、感覚的に言えば、数年オーダーで日常的に暴露すると発病するというイメージですね。 一般生活環境の目安でいえば、さきほど示した環境庁基準「1リットル当たり10本」というものがあります。国立保健医療科学院の建築衛生部で実施した事務室内などにおける測定結果では、基準を上回っているのは「アスベストを使用して工事をしている空調機械室の中」だけで、そっとしておく分にはそれほど高い濃度にはならないわけです。まして一般の住宅であれば、あまり心配しない方がいいですね。」

司会「なるほど、しっかりリスク管理していけば一般人が心配するような問題はほとんど起こらないのですね。ちなみに東京などの市街地における大気中のアスベスト濃度はどのくらいなのでしょうか?」

教授「東京都環境局が行っていた調査では、平成12年調査で、江東区で0.23、新宿区で0.22、多摩地区で0.21と、規制基準(10本/1L以下)に比べ著しく低くなっています。5年前のデータですが今もそれほど大きくは数値は変動していないでしょう。」

司会「まったく問題ないというわけですね。」

教授「いえ、ひとつだけ大きな問題があります。もし何らかの要因により都市部の大気中アスベスト濃度が上昇してしまうと、長い年月による間接吸引の蓄積による被害が発生する可能性があります。東京都衛生局の調査でも、ピークの昭和61年には、江東区で1.45、新宿区で1.11と平成12年の約5〜7倍もの濃度だった時期があるのですよ。」

司会「教授はそのような可能性があると予想されておるのですか?」

教授「もしふたたび1.00を超える濃度が常態化するとするならば、中国からの越境大気汚染によるアスベスト濃度上昇が考えられるのです。」

司会「でも、平成12年にはそれぞれ0.2ぐらいまで濃度は低下しているわけじゃないですか? 仮に昭和61年の江東区の1.45の値としても規制基準(10本/1L以下)に比べ著しく低いわけですから、問題ないでしょう」

●暴走する木走理論に聴衆唖然!!

教授「しかたがない、少し長くなりますが、長い年月による間接吸引の蓄積による被害を理論的にご説明しましょう。

 さきほども述べましたが、量的にどのくらい被爆したら発病するのかという医学的な確たる目安は残念ながらありません。感覚的に言えば、数年オーダーで日常的に暴露すると発病するというイメージですね。
 今、仮にですが、1リットル当たり10本の危険濃度の環境で1日8時間労働、年間200日労働、という労働時間で10年間働くと、ほぼ疾病してしまうアスベスト量に達すると仮定しましょう。
 この仮定で吸収アスベスト量を試算してみます。

 まず、大人の安静状態における平均的な呼吸値は、それぞれ呼吸数は15回/分、そして呼吸量は8リットル/分であります。
 1分当たり8リットルの空気を呼吸していますから、1時間では60倍の480リットル、8時間ではさらにその8倍の3840リットル呼吸することになります。
 また、1リットル当たり平均10本のアスベストが含まれていますので、1日当たり3840リットル中では、38400本のアスベストを吸引することになるわけです。」

司会「なるほど」

教授「年間200日労働するとして38400を200倍、1年当たり768万本のアスベストが吸引されることになります。10年間で7680万本なわけです。

 つまり、あくまでも仮定の試算ですが、この試算に基づけば累積7680万本のアスベストを吸引すると疾病することになります。

 さて、今の東京の大気中の濃度0.2で、この量のアスベクトを吸引するには何年かかるのか試算してみましょう。

 まず1分当たり8リットルの空気を呼吸しますので、1分当たり吸引してしまうアスベスト量は平均1.6本となります。1時間では60倍の96本です。1日では24時間ですから(この場合残念ながら寝ていても吸引していますので8時間での計算ではありません)、2304本なります。

 さきほど試算した危険本数7680万本吸引するのに要する時間は1日あたりの吸引数で割ればよいですから、7680万本を2304本で割って日数を出すと、33333.3日、約92.6年という計算になります。」

司会「ずいぶん計算されていましたが、東京都民が今の濃度で疾病リスクまで達するのに92.6年も掛かるわけですよね。そこから潜伏期間20〜50年あるわけですから、まあ、生きている間には問題ないですよね。」

教授「今の0.2濃度が維持され続ければの話です。もしなんらかの要因で大気中アスベスト濃度が昭和61年の江東区の値1.45に戻ってしまえば、一日辺りの吸引量は16704本に増えてしまいます。そうすると、危険本数7680万本吸引するのに要する時間は、わずか4597.7日、約12.6年になるのです。」

司会「え、12.6年で蓄積されてしまうのですか?」

教授アスベストのもつ真の問題はこの大気中の間接吸引蓄積です。よくたばことの発ガンリスク比較をしてアスベストはそれほど恐ろしいものではないという単純な議論を見受けますが、それは科学的考察を無視したものです。なぜなら、たばこは吸わなければいい、副流煙を避ければよろしい。しかし、微細粒子アスベストはそうはいきません。
 その都市の赤ちゃんからお年寄りまで全員が吸引蓄積していくのです。アスベストを扱っている工場付近の局所的な話ではないし、アスベストを使用した建物の解体時に瞬間的に発生するものでもない。
 より広域に蓄積していく点では、まさに硫化化合物による「酸性雨問題」と同じ様に、広域のレンジと時間スパンで検証していかないととんでもないことになるわけです。」

司会「なるほど、しかし肝心の教授が言われてる中国からのアスベスト飛散が日本に届いたという観測結果はあるんですか?」

教授「そ、それは・・・」

司会「なーんだ、肝心のところで何も根拠がないんじゃどうしようもありませんねえ」

聴衆「クスクス」

聴衆「なんだ、根拠もない煽り話なのか!」

教授「あ、今、あんた怒鳴った時、アスベスト2本吸ったぞ!ケケケケケ」

司会「教授、興奮しないで下さい!」

教授「あ、お前も今3本吸ったぞ、うん? いかん、オレも今1本吸ったかもしれん」

教授「(口を手で覆いながら、会場を見渡しながら)うわああ、ここはアスベストだらけじゃないか」

司会「いかん、教授がご乱心だあ。ガードマン教授をお連れするんだ!」

教授「(ガードマンに両脇をつかまれながら引きずられしつつ)ケケケケ、みなさ〜ん、アスベストしてますかあ」(ズルズルズル、バタン、退場)

司会「・・・・」

聴衆「・・・・」

司会「やれやれ、アスベストより木走教授のほうがよっぽどリスキーなようで」

聴衆「ゲラゲラゲラゲラ」

 本日は与太話でした。



(木走まさみず)



<参考サイト>
アスベスト解説 日経BP社特別編集サイト
http://nikkeibp.jp/sj2005/interview/05/index.html?cd=interview_adw
厚生労働省 アスベスト石綿)についてQ&A
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/07/tp0729-1.html
●大気中粉塵及び建材等製品中のアスベストの測定
http://www.nittech.co.jp/M02/M0204.html
●「 建築物の解体等に係るアスベスト飛散防止対策マニュアル」(東京都環境局)
http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/kaizen/kisei/taiki/asbest/1.htm
●@酸素生活/Special
http://www.balancedate.co.jp/special/018.html

<関連テキスト>
●木走教授のトンデモ講義〜「温度に上限はあるのか」を考察の巻
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050508/1115540077
●木走教授のトンデモ講義〜ホリエモン報道におけるメディアリテラシー
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050312
●木走教授のトンデモ講義〜「量子テレポーテーション」を考察の巻
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050614/1118722196
●木走教授のトンデモ講義〜「カーナビ」の原理を考察の巻
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050721/1121925477
●量産される中国アスベストを警戒せよ〜恐怖の大王が日本に舞い降りる? 
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050805/1123214871