木走日記

場末の時事評論

「あらゆる差別を排し、健全な対外関係を築く視座を揺るがせてはなるまい」〜気の抜けた炭酸水のようなぬるい朝日新聞社説

16日付け朝日新聞社説が、『嫌韓とメディア 反感あおる風潮を憂う』と題する社説を掲げています。

(社説)嫌韓とメディア 反感あおる風潮を憂う
2019年9月16日05時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S14179020.html?iref=editorial_backnumber

社説は冒頭から「『嫌韓』と呼ばれる韓国への反感をあおるような一部メディアの風潮は、いかがなものか」と問題提起しています。

 日韓関係をめぐる評論活動が活発になっている。摩擦が端緒とはいえ、近隣外交の論議が高まるのは結構なことだ。

 ただ、最近顕著になっている論じ方には憂慮すべき点が少なくない。とりわけ、「嫌韓」と呼ばれる韓国への反感をあおるような一部メディアの風潮は、いかがなものか。

「日本と朝鮮半島との交わりには長く深い歴史がある」のに、「一部の論評では、この隣国を感情的に遠ざけるような言葉が多用されている」と憂います。

 日本と朝鮮半島との交わりには長く深い歴史がある。文明の伝播(でんぱ)や交易などで双方が利を得た時があれば、日本が植民地支配をした過去もあった。

 争いは双方の国際的な立場を弱め、協調すれば共栄の可能性が高まるのは必然の理である。

 ところが一部の論評では、この隣国を感情的に遠ざけるような言葉が多用されている。

具体的に文芸春秋10月号、WiLL4月号別冊、週刊ポストの記事を列挙し「最初から相手国への非難を意図するもの」と批判、特にポスト記事は「民族差別というべき」と批判します。

 たとえば、「憤激と裏切りの朝鮮半島/日韓断絶」(文芸春秋10月号)、「202X年韓国消滅へのカウントダウン」(WiLL4月号別冊)など。

 小学館が発行する週刊ポストは今月、「厄介な隣人にサヨウナラ/韓国なんて要らない」と題した特集を組んだ。

 関係が悪化するなか、あるべき外交をさまざまな角度から提起するのはメディアの役割だ。しかし最初から相手国への非難を意図するものでは、建設的な議論につながらない。

 週刊ポストは「怒りを抑えられない『韓国人という病理』」との記事も載せた。当該論文を紹介しているとはいえ、韓国人という括(くく)りで「病理」を論じるのは民族差別というべきだ。

TV報道もふくめて「出版物の販売促進や視聴率狙いで留飲を下げる論旨に走るのならば、「公器」としての矜持(きょうじ)が疑われる」と批判します。

 テレビでも、否定的な論調が目立つ。TBS系のCBCテレビの情報番組では先月、韓国で日本人女性が髪をつかまれたとされる件にからみ、出演者が「日本男子も韓国女性が入ってきたら暴行しないといかん」と発言し、番組が謝罪した。

 もし出版物の販売促進や視聴率狙いで留飲を下げる論旨に走るのならば、「公器」としての矜持(きょうじ)が疑われる。

「国内世論の歓心をかいたい政権とメディアの追随が、重奏音となって世論を駆り立てる」と両国政府の姿勢も批判します。

 政治の責任もむろん重い。両政府とも相手を責めるのみで、問題があっても善隣関係をめざす原則は語らない。国内世論の歓心をかいたい政権とメディアの追随が、重奏音となって世論を駆り立てるのは危うい。

社説は「戦前戦中、朝日新聞はじめ各言論機関が国策に沿い、米英などへの敵対心と中国・朝鮮などへの蔑視を国民に植え付けた」と自省をしつつ、「論議の礎には、あらゆる差別を排し、健全な対外関係を築く視座を揺るがせてはなるまい」と結ばれています。

 戦前戦中、朝日新聞はじめ各言論機関が国策に沿い、米英などへの敵対心と中国・朝鮮などへの蔑視を国民に植え付けた。その過ちを繰り返さないためにも、政権との距離感を保ち、冷静な外交論議を促す役割がメディアに求められている。

 自国であれ他国であれ、政治や社会の動きについて批判すべき点を批判するのは当然だ。ただ論議の礎には、あらゆる差別を排し、健全な対外関係を築く視座を揺るがせてはなるまい。

「『嫌韓』と呼ばれる韓国への反感をあおるような一部メディアの風潮は、いかがなものか」と現在の雑誌やテレビの風潮を憂える朝日新聞社説なのであります。

今読み解いた通りこの朝日社説の結論は結びにあります。

 自国であれ他国であれ、政治や社会の動きについて批判すべき点を批判するのは当然だ。ただ論議の礎には、あらゆる差別を排し、健全な対外関係を築く視座を揺るがせてはなるまい。

「あらゆる差別を排し、健全な対外関係を築く視座を揺るがせてはなるまい」ですか。

この朝日社説の読後感ですが、気の抜けた炭酸水のようなぬるさはいかんともしがたいです。

それは、思考・論説として深みがないのはメディア論説として致命的なのだと思うのですが、取り上げてる事象『嫌韓』に対して表面的に触れているだけで、日本の一部メディアに『嫌韓』が起こっているその深層にある原因について、全く分析がされていないのです。
多くの国民が韓国に対して嫌気を指しています。だからこそ雑誌でもテレビでもメディアでは韓国に対し批判的な報道が増えているわけです。

批判的な報道の中には確かに韓国に対して表現がきつめの報道もあることでしょう。

一部メディア報道姿勢が朝日社説の指摘にもあるように「出版物の販売促進や視聴率狙いで留飲を下げる」ように見えることでしょう。

ではなぜそのような『嫌韓』メディアが、部数や視聴率を稼げるのか、肝心の点で朝日社説は一切の分析を放棄しています。

日本国民の『嫌韓』感情の高まりは、その原因は国際的な約束を守らない韓国政府にあります。

日韓合意を一方的に破り日本が10億円支出したのもかかわらず慰安婦財団を一方的に解散させた韓国政府。

日韓請求権協定に違反する韓国最高裁判決に対し、協定を守ろうとせず日本企業の財産没収を傍観する韓国政府。

安倍首相は11日、内閣改造後の記者会見で、韓国に対する外交政策について「新しい体制の下でもみじんも変わるものではない」「韓国には国と国との約束を守っていただきたい」と要求しています。

茂木敏充外相は「(韓国の)判決は(日韓請求権)協定に明確に違反している」「国際法違反の状態を一刻も早く是正することを引き続き強く求めていく」と述べています。

菅義偉官房長官も12日、「協定で最終的かつ完全に解決済みだ」と語りました。

日本政府はボールは韓国側にあると明言しているのです。

日本が求めているのは、韓国は国際合意を守れ、国と国との約束を守れ、この一点だけです。

そして日本政府の「約束を守れ」と筋を通す対韓国外交姿勢を多くの国民が、これまでの軟弱外交と比較し強く支持をしているのです。

今一度、朝日社説の結びの一文。

あらゆる差別を排し、健全な対外関係を築く視座を揺るがせてはなるまい

「健全な対外関係を築く視座」だと?

それは「国と国との約束を守る」(安倍首相)という国家として当然の義務を韓国が果たせばよいだけです、ボールは韓国にあります。

この局面でいったい何が言いたいのか?

約束を守らない国家に「健全な対外関係を築く視座」など不要です、というか無用です。

朝日社説の気の抜けた炭酸水のようなぬるい社説なのでした。



(木走まさみず)

はたして現状の原発処理水は希釈して放出可能なのか検証

原田環境相原発処理水「海洋放出しかない」と発言して波紋を呼んでいます。

日経新聞記事から。

原田環境相原発処理水「海洋放出しかない」
政治 環境エネ・素材 社会
2019/9/10 15:19

原田義昭環境相は10日の記者会見で、東京電力福島第1原子力発電所放射性物質トリチウムを含んだ処理水について「所管を外れるが、思い切って放出して希釈するしか方法がないと思っている」と述べた。汚染水処理後に残る処理水について政府は処分方針を正式に決めておらず、現職の閣僚の発言は異例で、波紋を広げる可能性がある。

11日の内閣改造を前に、就任後の所感の中で述べた。福島第1原発を視察した際に、貯蔵タンクに余裕がない状況を見たことなどを根拠とした。原田環境相は「極めて重要な話であり、しっかり説明し対策を取らなければならない」とも述べた。

福島第1原発の処理水の保管用タンクは既に900基を超え、2022年夏ごろに満杯になる見通し。薄めて海に放出することが、最も現実的な手段とみられているが、風評被害を懸念する漁業関係者らの反発は根強い。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49622460Q9A910C1CR8000/

放射性物質トリチウムを含んだ処理水について「所管を外れるが、思い切って放出して希釈するしか方法がないと思っている」、この原田義昭環境相の発言はまったく科学的に正しいと考えます。

放射性物質トリチウムを含んだ処理水の海洋放出は、カナダや韓国など世界の原発で今も行われており、まったくそこに環境に対する悪影響は発生していません。

ただしです。

東電のタンクに溜まった処理水は、残念ながらトリチウムを希釈すれば放出可能な綺麗なタンクだけではないことは留意が必要です。

本日は、はたして現状の原発処理水は希釈して放出可能なのか、この本質的問題を科学的に検証しておきます。

・・・

東京電力の公式ページに『多核種除去設備 (ALPS)』の図解入りの説明があります。

多核種除去設備 (ALPS)
f:id:kibashiri:20190913142621p:plain
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/genkyo/fp_cc/fp_alps/index.html

説明文より。

既に設置している水処理設備では、放射性物質セシウム(※1)を主に除去しているが、セシウム以外の除去が困難であった。多核種除去設備(ALPS)ではセシウムを含む62種の放射性物質トリチウム(※2)を除く)の除去が可能となっている。2013年6月現在、本格稼働を目指して試験(※3)を行っている。

 ※1.セシウム・・・アルカリ金属の一種。放射性セシウムは事故後、放射線ヨウ素とともに主に検出されている放射性物質のひとつで、ガンマ線を放出する。

 ※2.トリチウム・・・ベータ線を放出する放射性物質。主に水の形態で存在することから、ろ過などでは除去することができない。

 ※3.A系は2013年3月30日より開始(6月16日に停止)、B系は2013年6月13日より開始、C系は2013年9月27日より開始。

ここでポイントになるのは、汚染水処理の切り札ともいえるセシウムを含む62種の放射性物質トリチウム(※2)を除く)の除去が可能なこの『多核種除去設備 (ALPS)』が、事故から2年3ヶ月たった「2013年6月現在、本格稼働を目指して試験(※3)を行っている」つまり正式稼動をしていなかったことです。

当時の当ブログは、多核種除去設備(ALPS)が廃棄物保管容器の強度不足で稼動に至っていないことを指摘しています。

 一方、62の放射性物質を除去する多核種除去設備(ALPS)は、1日約500トンの処理能力があり、汚染水浄化の切り札と言われていますが、12年秋に稼働を始める予定だったが、廃棄物保管容器の強度不足が判明し、今も稼働に至っていません。

2013-03-12
もっと注目されるべき福島第一原発の高濃度汚染水〜捨て場のない放射能汚染物質に対し備えがない日本 より
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/20130312/1363079403

まずこの事故後、多核種除去設備(ALPS)が正式稼動するまでの2年数ヶ月の間に汚染水を貯めたタンクは、現在に至っても高濃度の放射性物質が含まれていることを東京電力は認めています(東電の公式サイトの説明は後述)。

次に多核種除去設備(ALPS)が正式稼動しても高濃度の放射性物質がうまく処理されず含まれているケースがあることも判明しています。

図解を見て右側の吸着塔で吸着剤カートリッジに多核種を吸着させそれを除去しているのですが、運用に慣れていない東京電力による吸着材の交換が遅れたために、高濃度の放射性物質が残ってしまったのです。

これですがかなりの期間で交換遅れが周期的に発生していたことを東京電力は認めています。

もちろん現在、多核種除去設備(ALPS)は正常に稼動しています、したがってトリチウム以外の核種はほぼ除去されています。

だが上記事由(ALPSの稼動不具合)により、かなりの割合で処理水タンクにトリチウム以外の核種を含んだ高濃度の放射性物質の汚染水が含まれているのです。

ここに東京電力の処理水ポータルサイトがあります。

処理水ポータルサイト
f:id:kibashiri:20190913142444p:plain
http://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watertreatment/

ここで、「ただし、設備運用当初の不具合や処理時期の運用方針の違いなどにより、現在の告示濃度比総和別の貯蔵量は右図の通りになっています。」と、説明があります。

多核種除去設備等の処理水 貯蔵量および放射能濃度

多核種除去設備等の処理水の貯蔵量(2019年6月30日現在)
1,010,900m3
*満水タンクのみをカウントした貯蔵量で、全体貯蔵量とは差があります
現在、多核種除去設備等の処理水は、トリチウムを除く大部分の放射性核種を取り除いた状態でタンクに貯蔵しています。
多核種除去設備は、汚染水に関する国の「規制基準」のうち、環境へ放出する場合の基準である「告示濃度」より低いレベルまで、放射性核種を取り除くことができる(トリチウムを除く)能力を持っています。ただし、設備運用当初の不具合や処理時期の運用方針の違いなどにより、現在の告示濃度比総和別の貯蔵量は右図の通りになっています。

http://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watertreatment/

告示濃度比総和別の貯蔵量
f:id:kibashiri:20190913142505p:plain
http://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watertreatment/

見やすいようにグラフ部分を拡大。

f:id:kibashiri:20190913142525p:plain
http://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watertreatment/

ご覧のとおり、告示濃度1倍未満の正常の処理水が23%、5倍未満が34%、10倍未満が21%、100倍未満が16%、100倍以上が6%となっております。

この割合の分布がトリチウム以外の核種の含有にすべて依拠しているわけではないのですが、東京電力は「当社は、多核種除去設備等の処理水の処分にあたり、環境へ放出する場合は、その前の段階でもう一度浄化処理(二次処理)を行うことによって、トリチウム以外の放射性物質の量を可能な限り低減し、②の基準値を満たすようにする方針」と、もう一度『多核種除去設備(ALPS)』に通す方針を示しています。

下記Q/Aの解答欄に明記されています。

多核種除去設備」では福島第一原子力発電所で発生する汚染水に含まれる、すべての放射性核種を取り除くことができるのですか?

汚染水に含まれる放射性核種のうち、トリチウム以外の大部分の核種を取り除くことができます。
「多核種除去設備」は、福島第一原子力発電所で発生する汚染水を浄化する設備のひとつです。この設備にある、吸着材が充てんされた吸着塔に汚染水を通すことによって、放射性物質を取り除く仕組みになっており、トリチウム以外の大部分の核種を取り除くことができます。
なお、汚染水に関する国の「規制基準」は
①タンクに貯蔵する場合の基準、
②環境へ放出する場合の基準の2つがあります。周辺環境への影響を第一に考え、まずは①の基準を優先し多核種除去設備等による浄化処理を進めてきました。そのため、現在、多核種除去設備等の処理水はそのすべてで①の基準を満たしていますが、②の基準を満たしていないものが8割以上あります。
当社は、多核種除去設備等の処理水の処分にあたり、環境へ放出する場合は、その前の段階でもう一度浄化処理(二次処理)を行うことによって、トリチウム以外の放射性物質の量を可能な限り低減し、②の基準値を満たすようにする方針です。
http://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watertreatment/

実はこの事実、「福島原発トリチウム残留水 他の放射性物質が除去しきれないまま残留」が公式に東京電力が認めたのは1年前の8月のことです。

福島原発トリチウム残留水 他の放射性物質が除去しきれないまま残留
https://news.livedoor.com/article/detail/15180082/

本日は、はたして現状の原発処理水は希釈して放出可能なのか、この本質的問題を科学的に検証してまいりました。

東京電力も認めるとおり、放出の前に、もう一度多核種除去設備 (ALPS)を通さなければならないタンクが一定の割合で存在しているのが実態です。

今回は当ブログの政治的主張より、科学的事実を重んじてエントリーいたしました。



(木走まさみず)

河野太郎・茂木敏充・菅原一秀の「防衛相・外相・経産相」は対韓国で盤石の体制

さて安倍首相は11日、第4次安倍再改造内閣を発足させます。

安倍首相は、政権の安定を意識して、麻生副総理と菅官房長官を留任。

茂木経済再生相と河野外相を閣内に残して、それぞれ外相と防衛相に横滑りさせました。

それに加えて、菅原一秀氏が経済産業相で初入閣が固まっています。

河野太郎茂木敏充菅原一秀の「防衛相・外相・経産相」の今回の人事ですが、前任者である岩屋毅河野太郎世耕弘成との比較を試みますと、やはり対韓国を意識した人材シフトと言えましょう。

まず、茂木外相&河野防衛相ですが、茂木氏は米ハーバード大学大学院卒業で、河野氏は米ジョージタウン大卒業、英語力やディベート力が高く、国際感覚も豊かです。

2人は今後、日本の外交と安全保障を担当し、日本版NSC(国家安全保障会議)のメンバーにもなります。

日米による外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)もこのふたりなら、通訳なしで交渉が可能であり、今まで以上の緊密な安全保障協議を日米間で実現できることでしょう。

で、初入閣になる菅原一秀経産相でありますが、彼は実は菅官房長官の右腕であり、派閥を持たない菅氏のグループ幹部であります。

菅原一秀経産相は、安倍政権の意向を忠実に守り経済政策を担当していくことでしょう。

整理します。

茂木外相は日米貿易交渉で米国と対等に渡り合ったことが高く評価されています。

河野防衛相には強い発信力があります。

この二人は対韓国でもブレずにやるはずです。

さらに経産相に菅官房長官の側近を担当させることで、経済政策も含め対韓国で盤石の体制を整えたといえるでしょう。

菅原一秀経産相のこれまでの行動から、彼が菅官房長官の意向に逆らうような政策を取ることは考えられません。

私事で恐縮ですが、菅原氏の選挙区は私の地元(練馬区)でありまして、彼の出身中学と私の出身中学はお隣です。

また偶然なのですが、彼の元私設秘書が私が練馬で経営していたIT企業で働いていたこともあります。

ヤンチャなバツイチ男なので素行には要注意(苦笑)ですが、昔から彼の人柄をよく知っておりますが、安倍政権の意向を忠実に実践していく経産相としては最適任といってよいでしょう。

第4次安倍再改造内閣、大いに期待したいです。



(木走まさみず)

疑惑だらけの法相誕生は韓国の悪しき体質を象徴している


韓国の文在寅ムン・ジェイン)大統領は9日、娘の不正入学疑惑などが取り沙汰されている側近のチョ国(チョ・グク)氏を法務部長官に正式任命いたしました。

チョ氏をめぐっては、家族が私設ファンドにおよそ1億3,000万円の投資を行い、その後、ファンドが出資した会社が、公共事業で多額の利益を得たとの疑惑が浮上しています。

捜査を続けていた韓国検察は9日、私設ファンドと、そこから出資を受けた会社のそれぞれの代表について、横領などの疑いで拘束令状を請求しました。

検察は先週、チョ氏の妻を私文書偽造の罪で在宅起訴しているが、一連の疑惑で関係者の身柄拘束に向けた動きは初めてです。

(関連記事)

ファンド代表らの拘束令状請求 チョ・グク氏疑惑 検察が“次の手”
https://www.fnn.jp/posts/00423708CX/201909091246_CX_CX

妻も私文書偽造で在宅起訴されたうえ、一族ぐるみの不透明な投資・蓄財などで関係者が遂に逮捕(身柄拘束)要求されたわけです。

チョ・グク氏の数々の疑惑の中でも、このファンドが公共事業で多額の利益を得た事実にかんがみて、本件がもっとも重い疑惑であると言えましょう。

それにしてもです。

このような疑惑の塊のような政治家をよりによって法相に抜擢するというのですから呆れてしまいます。

文大統領は「チョ長官に(改革の)仕上げを任せたい」と言います。

「私を補佐して私と共に権力機関の改革のためまい進し、その成果を見せたチョ長官に(改革の)仕上げを任せたい」
「大統領選で権力機関の改革を最も重要な公約の一つとして掲げ、その公約は国民から支持を受けた」

「残った課題は権力機関の政治的中立を保障し、国民の機関としての地位を確固たるものにすることを法制度で完成させること」

さらに「疑惑だけで任命しなければ悪い前例になる」と言い切ります。

聴聞会まで終え、手続きの要件を整えた状態で本人が責任をとらなければならない明白な違法が確認されなかったにもかかわらず、疑惑だけで任命しなければ悪い前例になる」

(関連記事)

文大統領 疑惑相次ぐ側近を法相に任命「改革の仕上げ任せたい」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/09/09/2019090980183.html

今回の件でつくづく深く考えされました。

やはり韓国と日本を比較すると、「法を守る」ことに対する態度が大きく異なりますですね。

法治国家」である日本は法や約束は守ります。

だから法務大臣に身内が在宅起訴されているような人物を充てることは日本では考えられません。

しかるに韓国では、法より国民情緒が優先される「人治国家」であり、法を守る意識は弱いのでしょう。

だからこんな疑惑だらけの人物を法相に任命しても大統領は「チョ長官に(改革の)仕上げを任せたい」と言い切れるのではないでしょうか?

こたびの疑惑だらけの法相誕生、私には韓国の悪しき法律軽視体質を象徴していると感じられました。



(木走まさみず)

これは本質的な問題〜「日本は我慢する」ここから脱却を試みたのが今回の安倍政権の外交なのだ

これは本質的な問題だと思いました。

日韓関係に上下関係はあるのでしょうか?

例えば一部の親韓派ジャーナリストです。

日韓関係において、評論家の田原総一朗氏は日本のことを「本来ならば『兄貴分』」と表現します。

兄貴分なのだから韓国に対して「大きな気持ちで、接しなければならなかった」と日本政府を批判します。

日本は、韓国より早く経済復興した。日本のほうが豊かであり、蓄積もある。本来ならば「兄貴分」のように、韓国に経済政策を提案するくらいの大きな気持ちで、接しなければならなかった

しかし「日本は韓国を経済的に追い詰めてしまった」と指摘します。

だが、現実にはまったく逆に、日本は韓国を経済的に追い詰めてしまった

(関連記事)

田原総一朗
日韓関係は、なぜここまで悪化したのか?
https://blogos.com/article/402743/

私には全くナンセンスな感覚に感じられます。

安倍政権において、日本は今までのように韓国の言いなりにはならないのです。

日韓関係に上下関係はない。

例えば、このタイミングでの韓国の日韓軍事協定破棄ですが、日本にとって逆にメリットがあったと判断しますが、これは勝手に韓国政府が決断したことです。

韓国文在寅大統領の西側陣営の国家元首としてのその異質性(対北への親和性や反日・反米政策)が、あらためて米国やその他各国に国際的に認識されたのです。

韓国政府による日韓軍事協定破棄強行は、アメリカが引き止めていた中でそれを無視したという点で象徴的な意味を持っていると思います。

アメリカに対しても「NO」と意思表示した今回の韓国政権なのですが、政権およびそれを支持する「進歩派」と呼ばれる人たちの意見を見てみれば、ウル大学日本研究所の南基正(ナム・ギジョン)教授は「歴史問題と日韓関係再構築の信号弾だ。漸進的かつ長期的な変化が始まった」と本質的な意味に言及します。

「これは、今回の一連の動きの始まりとなった18年10月の徴用工判決が内包する日韓の「65年体制」問題を指すものだ。植民地支配の違法性を認めるのか否かという歴史認識問題を直視した上で解決し、新たな日韓関係を築けるのかという問いかけだ。」

「日本政府による『ホワイト国除外』が2004年以前に戻るだけと言うのなら、GSOMIAの破棄は2016年以前に戻っただけだ」

また、韓国政府と近い聖公会大学の梁起豪(ヤン・ギホ)教授は「GSOMIAは日韓の間でそれほど意味があるものではない。そもそも韓国に対し安全保障上の問題を持ち出してくるのなら、日本政府が先に破棄するのが正しいのでは」と持論を述べています。

また「米国が譲歩せよといっても、それに無条件したがう訳ではないということ」との解釈を示す一方で、「日韓の相互不信は深まるだろう。関係が冷え込むしかない」と見通しです。

(関連記事)

韓国「GSOMIA終了」の論理と、その余波
https://news.yahoo.co.jp/byline/seodaegyo/20190823-00139589/

この両者はいずれも進歩派に分類される学者でありますが、米国にはっきり「NO」を突きつけた点に特徴があります。

「米国が譲歩せよといっても、それに無条件したがう訳ではない」(南基正教授)という進歩派の主張が全面に出ることで、韓国現政権支持層の主張の米韓軍事同盟軽視という異常性、そして韓国文在寅大統領の西側陣営の国家元首としてのその異質性が国際的に顕著に示されるのは、日本にとって悪いことではないでしょう。

韓国文在寅政権が日本にだけでなくアメリカに対してもその異質性を現し出したということだと思います。

まとめます。

一部の親韓派ジャーナリストに共通するのは、田原氏のように韓国に対して「日本のほうが我慢する」のが当然であるというほぼ無自覚の前提です。

戦後延々と続いてきた確信に近い「悔恨」を含んだ、この国の支配層の「植民地」朝鮮半島に対する、言わば「懺悔」の感情なのでしょう。

「日本は我慢する」、ここから脱却を試みたのが今回の安倍政権の毅然とした外交政策なのだと言いたい。

論点ははっきりしています。

田原氏に反論したい。

日韓関係に不自然な上下関係など、もはやありません。



(木走まさみず)

「韓国の成人の半分が憤怒調節障害」(中央日報記事)を引用した週刊ポストの失礼な記事が憤怒調節障害を招く因果応報

さてそもそも問題の3年前の中央日報記事を押さえておきましょう。

韓国の成人の半分が憤怒調節障害、どのように怒りを堪えるか
2015年04月05日12時01分
[ 中央日報/中央日報日本語版]

成人の半分以上が憤怒調節障害を体験していると調査された。

大韓精神健康医学会がこのほど実施した調査の結果、韓国の成人の半分以上が憤怒調節に困難を感じており、10人に1人は治療が必要なほどの高危険群であることがわかった。

憤怒調節障害は精神的苦痛や衝撃後に、不当さ、侮蔑感、挫折感、無力感などが持続的に頻繁に現れる不適応反応の一形態だ。激憤または鬱憤という人間が持つ独特の感情のひとつだ。不当な待遇を受けたという思いに基づいた憎しみと憤怒の感情状態が長く続く障害をいう。

これは実際の犯罪につながったりもする。最近ある男性は自分の交際相手から別れ話を切り出され自動車で突進した。ささいなトラブルが殺人につながったのだ。また、スープの味付けが塩辛いという言葉から始まった言い争いの末に食堂の主人が客に凶器を振り回すかと思えば、隣人間の駐車をめぐるトラブルで30代の姉妹が殺されるなど、昨年“腹立ちまぎれ”により偶発的に起きた暴力犯罪は15万件。全体の40%に達すると調査された。

それなら憤怒を静める方法にはどのようなものがあるだろうか?

憤怒を誘発するホルモンは15秒以内にピークに達し、その後徐々に分解される。30秒だけこらえても憤怒は和らぐ。腹が立った瞬間、すぐ60秒間深呼吸をすることが役立つ。

また、憤怒が沸き上がる瞬間すぐに席を立とう。静かなところを歩き3つに集中してみる。 「なぜ腹が立つのか? 何のために怒るのか? 他の効果的な方法はないか?」という考えに集中し憤怒に対応する方法を考えてみる。

このように憤怒を静めれば、血圧が低くなり免疫力が強化される。安定と平和を与えるセロトニンが上がり、快感と楽しみを与えるドーパミンが生成され感情調節に役立つ。

https://japanese.joins.com/article/552/198552.html

記事によれば「大韓精神健康医学会がこのほど実施した調査の結果、韓国の成人の半分以上が憤怒調節に困難を感じており、10人に1人は治療が必要なほどの高危険群であることがわかった」そうであります。

「憤怒調節」が困難なまじめなみなさまって・・・(汗

少し専門用語も勉強しておきましょう。

間欠性爆発性障害(かんけつせいばくはつせいしょうがい、英語: Intermittent explosive disorder)は、脳の交感神経で感情が上手に調節されないために理性喪失し、頻繁に状況に見合わない罵声など言語暴力・破壊や傷害など物理的暴力を行う反復性衝動制御障害の一種。

さて週刊ポストです。

週刊ポストが『怒りを抑えられない「韓国人という病理」』記事で韓国人に間欠性爆発性障害が多いと指摘しました。

これは差別記事だともっか大炎上中でございます。

さて小学館はあっさり謝罪に追い込まれます、週刊ポスト公式サイトから。

週刊ポスト9月13日号掲載の特集について
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 週刊ポスト9月13日号掲載の特集『韓国なんて要らない!』は、混迷する日韓関係について様々な観点からシミュレーションしたものですが、多くのご意見、ご批判をいただきました。なかでも、『怒りを抑えられない「韓国人という病理」』記事に関しては、韓国で発表・報道された論文を基にしたものとはいえ、誤解を広めかねず、配慮に欠けておりました。お詫びするとともに、他のご意見と合わせ、真摯に受け止めて参ります。(『週刊ポスト』編集部)
https://www.news-postseven.com/archives/20190902_1444923.html

うーん、「なかでも、『怒りを抑えられない「韓国人という病理」』記事に関しては、韓国で発表・報道された論文を基にしたものとはいえ、誤解を広めかねず、配慮に欠けておりました。」ですか。

その部分は、確かに2015年に「大韓神経精神医学会」という団体が発表したレポートを報じた『中央日報日本語版』の記事を根拠としているのですよね。

「韓国成人の半分以上が憤怒調節に困難を感じており、10人に1人は治療が必要なほどの高危険群である」という結論も「間欠性爆発性障害」が韓国人に多く見られる症状だという見解も、別に週刊ポストの見解ではなく「大韓神経精神医学会」のレポートを元にしているわけです。

さて幾人かの作家が週刊ポスト(版元の小学館も含めて)執筆拒否をされました。

ご両親が在日韓国人である深沢潮氏、韓国籍柳美里氏などが、「日本で暮らす韓国・朝鮮籍の子どもたち、日本国籍を有しているが朝鮮半島にルーツを持つ人たちが、この新聞広告を目にして何を感じるか、想像してみなかったのだろうか?」と批判しています。

週刊ポストの『怒りを抑えられない「韓国人という病理」』という失礼なヤラカシタ記事に、まじめな一部のみなさまが、怒りをどうにも抑えられないという憤怒調節が困難になりつつある図式のようです。

「韓国の成人の半分が憤怒調節障害」(中央日報記事)を引用した週刊ポストの失礼な記事が憤怒調節障害を招くという因果応報・・・

困ったことです。

ふう。



(木走まさみず)

朝日新聞社説「96年前の虐殺 追悼拒む都知事の誤り」に反論する〜関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑の犠牲者数「六千余名」の信ぴょう性を徹底検証

東京都の横網町公園の一等地とも言える場所に堂々と立つ「関東大震災朝鮮人犠牲者の慰霊碑」であります。

公園の公式サイトより。

関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑
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http://tokyoireikyoukai.or.jp/park/%e6%96%bd%e8%a8%ad%e6%a1%88%e5%86%85/%e6%9c%9d%e9%ae%ae%e4%ba%ba%e7%8a%a0%e7%89%b2%e8%80%85%e8%bf%bd%e6%82%bc%e7%a2%91/

関東大震災時の混乱のなかで、あやまった策動と流言ひ語により尊い命を奪われた多くの朝鮮人を追悼し、二度とこのような不幸な歴史を繰り返さないことを願い、震災50周年を記念して昭和48年(1973)に「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼行事実行委員会」により立てられた碑です。

この碑文の犠牲者数「六千余名」となっております。

今回はこれを取り上げます。

この数値「六千余名」は、実は千葉県船橋市立馬込霊園内(霊園入口から100mほどの右手)の一角にある在日朝鮮人連盟中央本部によって建立されたもの「関東大震災犠牲同胞慰霊碑」の石碑の数値を参考にしたものです。

大韓民国臨時政府の機関紙「独立新聞」の金承学らによって震災後に組織された「罹災同胞慰問団」が秋から冬にかけて調査した結果によれば6661人をベースに調整した結果6415名を得たものです。

関東大震災犠牲同胞慰霊碑
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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%A2%E6%9D%B1%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD%E7%8A%A0%E7%89%B2%E5%90%8C%E8%83%9E%E6%85%B0%E9%9C%8A%E7%A2%91

この表における最大の犠牲者数神奈川県の4106名に着目してください。

後ほどこの数値の信ぴょう性を検証いたします。

さて朝日新聞は8月29日付けで「96年前の虐殺 追悼拒む都知事の誤り」と題した社説を掲げています。

(社説)96年前の虐殺 追悼拒む都知事の誤り
2019年8月29日05時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S14156440.html?iref=editorial_backnumber

関東大震災で殺害された朝鮮人の追悼式に、小池百合子東京都知事は今年も追悼文を送らないと表明したことを批判します。

 96年前の関東大震災の混乱の中、日本で暮らしていた多くの朝鮮人や中国人が、住民の「自警団」や軍、警察によって殺害された。その追悼式に、小池百合子東京都知事は今年も追悼文を送らないと表明した。

 式典は市民団体の主催で1974年以降、墨田区内の都立公園で開かれ、歴代知事がメッセージを寄せてきた。小池氏も就任直後の2016年は前例にならったが、翌年から取りやめた。震災の犠牲者全てを対象とする法要で哀悼の意を示しているから、というのが理由だ。

 だが天災による死と殺害は明らかに性質が異なり、承服し難い。のみならず知事は虐殺について「様々な見方がある」「歴史家がひもとくもの」とあいまいな言い方に終始している。

 事実を軽視し、過去に学ぶ姿勢に欠ける振る舞いで、厳しい非難に値する。

自民党議員の「追悼碑の説明文にある「六千余名」という犠牲者数は過大だ」という質問がきっかけだと説明します。

 きっかけは議会での自民都議の質問だった。自警団の行動は震災に乗じて凶悪事件を起こした朝鮮人らへの自衛措置だったとし、公園内の追悼碑の説明文にある「六千余名」という犠牲者数は過大だと批判した。

 だが、「朝鮮人が暴動を起こす」「井戸に毒を入れた」といった話がデマだったことは、当時の政府が認めている。詳しい調査がされなかったため正確な犠牲者の数は不明だが、内閣府中央防災会議の報告書(08年)は1千~数千人が殺されたと推計。「大規模災害時に発生した最悪の事態」と位置づけ、教訓とするよう訴えている。

 流言飛語によって民族的な差別意識を増幅させた市民が、何の罪もない人々を殺傷したというのが、事件の本質なのだ。

社説は小池知事の振る舞いは「日本のみならず世界の心ある人々が知れば、幻滅し、その資質を疑うだろう」と批判して結ばれています。

 この件にとどまらない。

 日本の負の歴史について、研究の蓄積を無視した主張を言い募り、あるいは一部に疑問を投げかけて、諸説があるかのような空気をつくり出し、公的な場から消し去ろうとする「歴史修正主義」の動きが近年相次ぐ。追悼文の取りやめを定着させることは、そうした風潮に加担する行為に他ならない。

 人種や民族、宗教などの違いを理由に排斥するヘイトクライム憎悪犯罪)への対策は、国際的な課題だ。最近の日本でも大きな災害が起きるたびに、外国人が犯罪を重ねているといった悪質なデマが飛び交う事態が繰り返されている。

 東京では来年、あらゆる差別を禁じる憲章の下、五輪・パラリンピックが開かれる。高い確率で直下型地震も見込まれる。その都市のトップが、ヘイトクライムの過去に真摯(しんし)に向き合おうとしない。日本のみならず世界の心ある人々が知れば、幻滅し、その資質を疑うだろう。

さて犠牲者「六千余名」という人数の検証していきましょう。

まず当時の関東エリアの全人口と犠牲者数を「震災死亡者調査票」をもとに調査した学者のレポートを見てみます。

関東大震災における避難者の動向
「震災死亡者調査票」の分析を通して
関西学院大学災害復興制度研究所研究員
北原 糸子
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http://www.fukkou.net/research/bulletin/files/kiyou4_kitahara.pdf

犠牲の多かった1都6県の人口と死亡者数が表になっています。
ちなみに表から神奈川県では推定人口が1,379,000人で犠牲者数が31,859人ですから、死亡率は2.3%だったことがわかります。

さて次に神奈川県在住の当時の朝鮮人人口を押さえておきます。

次のレポートで5年ごとの都道府県別朝鮮人の人数が明らかになっています。

震災復興期の東京府朝鮮人労働者
    に関する人口・職業分析
松本俊郎
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http://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/files/public/4/42108/20160528051714670665/oer_016_4_107_145.pdf

神奈川県を注目すると、1920年で514人、1925年で5,561人とこの五年で10倍以上増えていることがわかります。

関東大震災は1923年ですから、514人と5,561人の間と推測できます。

同じレポートの次のグラフから1923年の朝鮮人人口がわかります。

震災復興期の東京府朝鮮人労働者
    に関する人口・職業分析
松本俊郎
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http://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/files/public/4/42108/20160528051714670665/oer_016_4_107_145.pdf

この勾配から、関東大震災時の、関東圏の朝鮮人の人数はおよそ14000人、神奈川県の朝鮮人人数はおおよそ3000人と推測できます。

さてまとめます。

碑文の犠牲者数「六千余名」の根拠になっている調査では、神奈川県における虐殺犠牲者は4106名となっています。

しかし今検証したとおり、当時神奈川県の朝鮮人はその総数で3000人と推測され、犠牲者数は1000人以上オーバーしてしまいます。

一歩譲って犠牲者数4106名を正しいと認めるとすると、統計上1920年で514人だったのが、1923年に4106名虐殺されたのにもかかわらず、しかしその2年後に5,561人に人口に戻っていることになります。

この人口推移は上記レポートグラフや表の数値を検証すれば、まったく有り得ないでしょう。

つまり関東大震災で神奈川県で4106名も朝鮮人が虐殺されることは統計上不可能なことは、

1.当時神奈川県には約3000人しか朝鮮人はいなかったと推測されること。
2.4000人も虐殺されていたら、2年後に5561人に人口を有するには、その期間だけで少なくとも9500人は増えなければならないこと。

この2点で自明です。

碑文の犠牲者数「六千余名」の根拠として、その三分の二の神奈川県の犠牲者数が、今検証したとおり有り得ない数値であることがわかります。

朝日新聞社説に明確に反論しておきます。

小池百合子都知事の「様々な見方がある」「歴史家がひもとくもの」との態度は正しいのです。

少なくとも碑文の犠牲者数の「六千余名」はその信ぴょう性はまったくないと言えましょう。



(木走まさみず)