木走日記

場末の時事評論

「毎日新聞は有権者の判断材料になる有益な情報になると判断した」だと?~政治的中正を謳っているメディアとしては毎日新聞は失格だ

毎日新聞が「都構想実現で特別区の収支悪化」とスクープ報道したのが26日夕刊でありました。

(関連記事)
大阪市4分割ならコスト218億円増 都構想実現で特別区の収支悪化も 市試算
毎日新聞2020年10月26日 12時00分(最終更新 10月28日 10時56分)
https://mainichi.jp/articles/20201026/k00/00m/040/061000c

この記事は、朝日新聞やNHKなど多くのメディアが追随しますが、記事の内容がおかしいのではとの批判が相次ぎ、大阪市は28日に会見をします。

「複数の報道機関から財政局に対し、大阪市を4市に分市した場合の基準財政需要額大阪市基準財政需要額との比較について試算作成の依頼があり、新たな特別区制度に即した正確な試算はできないことを前提として機械的に作成し情報提供した」と説明。

「財政局が試算した前提から外れ、特別区設置に伴うコストが増加すると受け取られるような報道がなされ、市民の皆さまに誤解と混乱を招く結果になった」と、事実上「正確な試算」ではないことを認め謝罪します。

これを受け多くのメディアが記事の訂正で対応しましたが、スクープを放った毎日新聞だけは28日の大阪市の見解を無視します。

このため維新・馬場幹事長は毎日新聞の報道を「大誤報」と、国会にて批判します。

(関連記事)
本紙報道に維新「誤報」 衆院代表質問 大阪市4分割コスト
毎日新聞2020年10月29日 22時59分(最終更新 10月29日 23時26分)
https://mainichi.jp/articles/20201029/k00/00m/040/301000c

対して毎日新聞は、当該記事は適切な取材に基づいたものであり、市が一転して説明を変えたものであると反論、維新幹事長が「重大な誤報」「大誤報」と発言したことは極めて遺憾と、強く反発します。

上記記事より、毎日新聞社社長室広報担当の話。

極めて遺憾
 毎日新聞社社長室広報担当の話 当該記事は大阪市への適切な取材に基づいたものです。代表質問後に市が一転して説明を変えたものであり、馬場伸幸氏が当該記事について、代表質問で「重大な誤報」「大誤報」と発言したことは極めて遺憾です。

さて、大阪市財政局の東山潔局長は29日夕の緊急記者会見で、市を四つの自治体に分割すると行政コストが現状より年間218億円増加するとした局の試算を完全に撤回、「捏造」だったと謝罪します。

(関連記事)
大阪市4分割コスト試算「捏造」 市財政局 2日で一変、謝罪 市長面談後
毎日新聞2020年10月29日 22時58分(最終更新 10月30日 01時11分)
https://mainichi.jp/articles/20201029/k00/00m/040/305000c

この発言に対しても毎日新聞は強く反発します。

毎日新聞は今回、大阪市財政局への適切な取材や提供資料に基づき試算を正確に報じた」としています。

上記記事より毎日の主張部分。

多角的に取材・報道
 毎日新聞は今回、大阪市財政局への適切な取材や提供資料に基づき試算を正確に報じた。

 試算は標準的な行政サービスの実施に毎年必要なコスト「基準財政需要額」について、大阪市を単純に四つの自治体に分割した場合に現在よりも約218億円増加するとの内容だった。市財政局の説明を受け、報道では大阪市を四つの特別区に再編する大阪都構想を前提にしたものではないことも明示。市財政局への確認作業や総務省、専門家への取材も重ねた。

 今回の試算を巡っては、都構想の制度案を議論する法定協議会で、自民党が同様の行政コストの公表を求めたが、最後まで算出されなかった経緯がある。

 報道は都構想の賛否を問う住民投票の告示後だったが、市財政局は毎日新聞の取材に対し、「4特別区の行政コストを考える一つの目安になる」と説明。特別区移行後の財政見通しは賛否両派の主要な争点になっている点を踏まえ、毎日新聞有権者の判断材料になる有益な情報になると判断した。

記事の情報ソース側が「捏造」と認めているのに、毎日新聞は「毎日新聞有権者の判断材料になる有益な情報になると判断した」と全く主張を曲げません。

・・・

都構想の賛否を問う住民投票は11月1日(日)に実施されます。

その投票直前にこの騒動です。

毎日新聞が放った大スクープ(大捏造?)記事であります。

あくまでも訂正を拒む毎日新聞の報道姿勢には、明らかに『都構想反対』の意図が見られます、ならばこれらの主張は「社説」で掲げればよろしいと思うのですが、あくまでも報道「記事」扱いで貫きます、これは客観報道であると、「有権者の判断材料になる有益な情報」(毎日記事)だったと。

他ならぬ毎日新聞世論調査では、前回9月調査(賛成49・2%、反対39・6%)から今回10月調査(反対43・6%、賛成43・3%)で、反対が僅差ながら逆転しています。

(関連記事)
大阪都構想、前回世論調査から僅差で賛否逆転 反対43・6%、賛成43・3%
https://mainichi.jp/articles/20201025/k00/00m/040/125000c

客観的に見て、報道のタイミングといいその反対派に偏向した報道の内容といい、政治的中正を謳っているメディアとしては、毎日新聞は失格であります。

ここまでして都構想を阻止したいのでしょうか?



(木走まさみず)