木走日記

場末の時事評論

「新型コロナ 拡大のペース加速」だと?〜朝日新聞記事は数学的に完全なるフェーク記事

新型コロナウイルスの国内での感染者数が18日、1万人を超えました。

確かに「一万人」という響き自体インパクトがあります、留まるところを知らない勢いで日本中にウイルスが蔓延していくイメージ・恐怖心を多くの人が持つとしても致し方ないでしょう。

しかし日本国内において、ここ一週間拡大のペースは数学的(指数関数的)には減速しています(後ほど具体的に検証いたします)。

感染者「1万人」という数値を闇雲に恐ることはないのです。

当ブログはこのようなときに、非科学的に国民の恐怖心を煽るような報道は、徹底的に科学的検証をしてその報道そのものを否定する必要があると確信しています。

例えば、朝日新聞の以下の記事です。

新型コロナ、国内感染者が1万人超す 拡大のペース加速
2020年4月18日 16時27分
https://www.asahi.com/articles/ASN4L5F9BN4LUTIL018.html?iref=comtop_8_03

「拡大のペース加速」が科学的に真っ赤な嘘、デタラメです。

記事より核心部分を抜粋(文中太字は『木走日記』付記)。

 国内で初めて感染が確認されたのは1月中旬。中国・武漢市から帰国した神奈川県内の30代男性に陽性反応が出た。感染者が100人を超えたのは、1カ月以上たった2月下旬。さらに感染者が1千人を超えたのはその1カ月後の3月下旬だった。1千人を超えてから1万人を超えるまでは、1カ月足らずで、感染拡大のペースが加速した。

徹底的に数字を検証しましょう。
国内で最初の感染者が確認されたは1月16日ですが、そこから4月18日までの全感染者を表で確認いたします。

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※『木走日記』データ収集・図表作成

朝日記事のあいまいな日付を正確にしていきます。

「国内で初めて感染が確認されたのは1月中旬」は1月16日です。

「感染者が100人を超えたのは、1カ月以上たった2月下旬。」は2月21日です。

「さらに感染者が1千人を超えたのはその1カ月後の3月下旬だった。」は3月20日です。
正確な日付を表でチェックしておきます。

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※『木走日記』データ収集・図表作成

正確に日付を数えれば、100人までは、1月16日〜2月21日まで36日です。

100人から1000人までは、2月21日〜3月20日まで28日です。

1000人から10000人までは3月20日〜4月18日まで29日です。

ご確認ください、100人から1000人までの28日から、1000人から10000人までの29日に実は、拡大のペースは落ちているのです。

朝日新聞は単純に各月の日付を比較してしまい、2月が29日までしかないことを「拡大のペース加速」とタイトルでうたいたいがためにでしょうか、無視してしまったのです。

ですから記事の核心部分は、数学的には全くのデタラメなのです。

 国内で初めて感染が確認されたのは1月中旬。中国・武漢市から帰国した神奈川県内の30代男性に陽性反応が出た。感染者が100人を超えたのは、1カ月以上たった2月下旬。さらに感染者が1千人を超えたのはその1カ月後の3月下旬だった。1千人を超えてから1万人を超えるまでは、1カ月足らずで、感染拡大のペースが加速した。

これはメディアの科学記事として驚くべき怠慢です。

なぜなら「拡大のペース加速」などしていないことは、グラフで一目瞭然、簡単に確認できるからです。

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※『木走日記』データ収集・図表作成

①が36日、②が28日、③が29日、10倍になる「拡大のペース」は「加速」などしていません。

そもそもあまり使われない10倍になるペース(日数)を持ち出すこと自体、タイトルに何とか「拡大のペース加速」とうたいたい、朝日新聞の「悪意」を感じてしまいます。

なぜなら普通、指数関数的変化で「割合」を扱うには、2倍になるペース「倍加時間」を使用するからです。

ここ1ヶ月間の「倍加時間」を確認しましょう。

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※『木走日記』データ収集・図表作成

倍加時間も、①7日、②7日、③10日と、明らかに拡大のペースは減少傾向にあることが分かります。

繰り返します。

感染者「1万人」という数値を闇雲に恐ることはないのです。

しかし当ブログはこのような非常時に、非科学的に国民の恐怖心を煽るような報道は、徹底的に科学的検証をしてその報道そのものを否定する必要があると確信しています。

この朝日新聞記事はその典型です、数学的には完全なるフェーク記事です。



(木走まさみず)