『気候サミット 若者の怒り受け止めよ』(朝日新聞社説)~この朝日新聞の偽善にまみれた主張には非常に強い憤りを覚える
スウェーデンの16歳の活動家であるグレタ・トゥーンべリさんは、国連の温暖化サミットで演説し、各国代表に対し「すべての未来の世代の目はあなた方に向けられています。私たちを裏切るなら決して許しません」と述べました。
グレタさんは、世界中の若者に広がることとなった活動を続けていることについて、「私はここにいるべきではなく海の反対側で学校に通っているべきなのです。あなた方は空虚なことばで私の子ども時代の夢を奪いました」とコメント。
涙ながらに「この状況を本当に理解しているのに行動を起こさないのであれば、あなた方は邪悪そのものであり信じることができません」などと訴えました。
サミットに参加していた小泉進次郎・環境大臣は「グレタさんのことばはとても印象に残り、私も含めてみんなが重く受け止めたと思う」と語っています。
さて、この16才の少女の少々過激な言動ですが、その発言内容は表現が稚拙で科学的決め付けが強く、大人の一部から反発も受けていますが、まあ、当ブログとしてはその主張を一旦真摯に受け止めたいと思います。
若い世代が大人たちの構築した社会に批判的に対峙すること自体は、例えその主張が稚拙だとしても、社会にとって極めて健全なことだと思われるからです、言いたいことは言ってよろしいのです。
しかし問題は、彼女の主張を利用して自身の主張を押し付けようとする、一部リベラルな大人たちの動きです。
9月25日朝日社説はその典型です。
(社説)気候サミット 若者の怒り受け止めよ
2019年9月25日05時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S14192007.html?iref=editorial_backnumber
彼女の発言を引用しつつ、国連総長の「石炭火力発電所の新設中止や排出への課税の導入」提案を取り上げ、社説の結びでは、「国内外に数多くの石炭火力の新設計画」がある日本に対して、「日本には危機感がないのか」と強く批判しています。
日本への風当たりも強い。
国内外に数多くの石炭火力の新設計画があり、政府の排出削減目標も腰が引けている。今回のサミットに安倍首相は出席せず、小泉環境相は対策強化を何一つ打ち出さなかった。日本には危機感がないのか、と疑われても仕方あるまい。
脱炭素社会への道のりは険しいが、負の遺産を残さぬよう、あらゆる手立てを尽くすのがいまの世代の責務である。
朝日社説は「脱炭素社会への道のりは険しいが、負の遺産を残さぬよう、あらゆる手立てを尽くす」と訴えています。
朝日社説は「数多くの石炭火力の新設計画があり、政府の排出削減目標も腰が引けている」と日本政府を批判します。
この朝日新聞の偽善にまみれた主張には非常に強い憤りを感じます。
朝日新聞論説室よ、あなた方は11年の原発事故以来、原発再稼働に一貫して反対してきたのではないですか。
ついこの前も、9月2日の社説で柏崎刈羽原発の再稼働に強烈に反対しています。
(社説)柏崎刈羽原発 地元に再稼働迫るのか
2019年9月2日05時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S14160492.html
この社説では、「温暖化対策」を理由に「だからといって再稼働を迫るなら筋違い」と主張しているのです。
温暖化対策として、発電時に二酸化炭素を出さない原発や再生可能エネルギーの「非化石電源」の割合が法律で義務づけられたことも理由にあげる。達成には「現時点では1~5号機は必要な電源だ」という。
だからといって再稼働を迫るなら筋違いだ。原発は安全対策コストの上昇で、経済合理性からも廃炉の決定が相次いでいる。現実にあわせた再建計画の再考や、将来の電源構成の見直しが必要なのではないか。
ここに電気事業連合会が公式サイトで公表している『電源別発受電電力量の推移』のグラフがあります。
民主党政権の元、原発の再稼働は原則中止、朝日新聞を筆頭にメディアは強力にその政策を支持します。
もう一度グラフを注目してください、2010年に25%あった原子力が2014年にはついに0%になってしまいます。
日本は事故後電力不足に陥ります、当然ながら、石油・石炭・天然ガスによる火力発電に頼らなければならなかったわけです。
朝日新聞などが主張する太陽光発電などの再生可能エネルギーではその供給の不安定性(悪天候や夜間では発電できないなど)から、原子力に替わるベースロード電源には成り得ないからです。
朝日新聞論説室よ、日本が「数多くの石炭火力の新設計画があり、政府の排出削減目標も腰が引けている」(朝日社説)のは、あなたがたが原発の再稼働中止を強く主張し続けた結果でもあるのです。
朝日の主張を整理すると。
こうです。
まったく実現不能の亡国の論説です。
朝日新聞の偽善にまみれた主張には非常に強い憤りを覚えます。
(木走まさみず)