木走日記

場末の時事評論

新元号「令和」が浮き彫りにする「生きる化石」まさに「昭和学生運動左翼の残滓」な社民党の存在

さて新元号「令和」であります。
各党の受け止めをネット上、それぞれの公式サイトで、まとめておきます。

自由民主党
総裁記者会見
元号決定に伴う安倍内閣総理大臣記者会見
https://www.jimin.jp/news/press/president/139316.html

「令和」に込めた想いは総理曰く「梅の花のように、一人ひとりの日本人が、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。そうした日本でありたい」、とのことであります。

悠久の歴史と薫り高き文化、四季折々の美しい自然。こうした日本の国柄を、しっかりと次の時代へと引き継いでいく。厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人ひとりの日本人が、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。そうした日本でありたい、との願いを込め、「令和」に決定いたしました。

与党公明党

公明党
多様な個性輝く時代に
山口代表 国民への広い浸透を期待 
元号「令和」決定を受けて
https://www.komei.or.jp/komeinews/p25757/

山口代表は特に「和」の字がお気に入りです。

令和の「和」の字は「平和」と国民の「融和」を象徴する大変良い文字だと思っている。

さて野党、まずは立憲民主党

元号の発表について
https://cdp-japan.jp/news/20190401_1508

まったく冷めた受け止めです、まるで朝日新聞の社説のようです。

元号「令和」が発表された。
新しい時代が平和で、国民生活が穏やかであることを祈念したい。
立憲民主党は、新たな時代を迎える中、国民から負託を受けた政党として、引き続きその課せられた責任を果たし、それぞれに幸せを実感できる社会経済、「まっとうな政治」の実現を目指す。

以上

逆にアツいコメントは国民民主党玉木代表。

「非常に良い」新元号について、玉木代表
https://www.dpfp.or.jp/article/201347/%E3%80%8C%E9%9D%9E%E5%B8%B8%E3%81%AB%E8%89%AF%E3%81%84%E3%80%8D%E6%96%B0%E5%85%83%E5%8F%B7%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%80%81%E7%8E%89%E6%9C%A8%E4%BB%A3%E8%A1%A8

「非常に良く練られた元号」とべた褒めです、というか玉木代表中国の古典の『文選』にまで触れています、なんかおくわしいです。

「よく考えられていると思う。万葉集の中から採ったということだが、さらにさかのぼれば、中国の古典の『文選』の中にも同じような言葉が出てくる。漢字文化圏は中国、朝鮮半島、日本とまさに歴史を紡いできた接着剤のようなもの。そういったこともすべて踏まえたものであるとすれば、非常にダイナミックな東アジア全体をとらえたよく考えられた元号だと思う。万葉集という日本の文化を反映しつつ、さらに同じ漢字文化の中国文化を反映しているとすれば、漢籍を基につくるという長年の歴史伝統を維持しつつ、その上で、日本文化のテイストを重ねており、非常に良く練られた元号だと思う」

続いて希望の党

元号発表についての受け止め
https://kibounotou.jp/2019/04/1700/

基本「令和」を肯定的に受け止める松沢代表の動画のみ、文字起こし無しです、残念。
日本維新の会

「新元号公表を受けて」松井一郎代表による談話発表のお知らせ
https://o-ishin.jp/news/2019/04/01/5156.html

松井代表は「令和」について「まさに新しい御代にふさわしい元号である」と好意的受け止めです。

令和は典拠を万葉集としており、これまで中国の古典を典拠としてきた元号に、日本の古典という新たな風が吹き込まれ、まさに新しい御代にふさわしい元号であるという印象を持ちました。

続いて自由党

自由党
http://www.seikatsu1.jp/

こちらはネット上元号「令和」についての公式表明は見当たりませんでした。
元号に賛成にしろ反対にしろこの政治的に大切なタイミングで公党がネットで国民に情報発信できていない、まったくダメダメです、公党失格です、ハイ。
さて、日本共産党

慣習的使用に反対しないが、使用の強制に反対する――新元号の発表にさいして
2019年4月1日 日本共産党委員長 志位和夫
https://www.jcp.or.jp/web_policy/2019/04/post-802.html

少し丁寧に見てみましょう。
元号そのものは「日本国憲法国民主権の原則になじまない」と共産党の従来の主張を強調しています。

一、元号は、もともとは中国に由来するもので、「君主が空間だけでなく時間まで支配する」という思想に基づくものである。それは日本国憲法国民主権の原則になじまないものだと考えている。

しかしながら「国民が元号を慣習的に使用することに反対するものではない」、つまり元号の使用を認めるとしています。

一、わが党は、国民が元号を慣習的に使用することに反対するものではない。
 同時に、西暦か元号か、いかなる紀年法を用いるかは、自由な国民自身の選択にゆだねられるべきであって、国による使用の強制には反対する。

ただし、元号の使用を強制は絶対ダメだと政府に釘を刺します。

一、政府は、これまでも「一般国民にまで(元号の)使用を強制することにはならない」ことを「政府統一見解」として明らかにしている。
 この立場を厳格に守ることを、あらためて求める。

興味深いことです。
今確認したとおり、与党の自民、公明は言うに及ばず、野党の立憲民主、国民民主、希望の党、日本維新、そして条件付きですが日本共産党まで新元号「令和」を、ウエルカムなわけであります(大勢に影響しませんし、表明なしの自由党は無視します、ハイ)
しかしです、読者のみなさん。
ここに孤高の左派、昭和学生運動左翼の残滓、社会民主党が存在するのであります。

2019年4月1日
元号の発表について(コメント)
社会民主党党首 又市征治
http://www5.sdp.or.jp/comment/2019/04/01/%E6%96%B0%E5%85%83%E5%8F%B7%E3%81%AE%E7%99%BA%E8%A1%A8%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%EF%BC%88%E3%82%B3%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%EF%BC%89/

全文ご紹介しましょう。

まずは冒頭から「令」は命令の令であり「安倍政権の目指す国民への規律や統制の強化がにじみ出ている」と安倍政権批判からであります。

 政府は本日、「元号法」にもとづき、新しい元号「令和」の制定を発表しました。

 安倍首相は、「人々が美しく心を寄せ合う中、文化が育つという意味だ」と説明しますが、「令」は「命令」の「令」であり、なんとなく安倍政権の目指す国民への規律や統制の強化がにじみ出ている感が否めません。

そもそも社民党社会党時代より「元号制」に「象徴天皇制とも矛盾するとして反対し、「昭和」を限りに廃止して西暦への一本化を求めて」きたと主張します。

 社民党は、社会党時代より、1950年代から強まった国体論(天皇を中心とする秩序・政体)的な様々な蠢動、例えば「紀元節」復活、靖国神社の国家護持、「日の丸・君が代」の国旗・国歌化とその強制、そして「一世一元」の元号制などは戦前回帰であり、現行憲法国民主権基本的人権尊重の理念と相容れないものだと警鐘を鳴らしてきました。そして79年の元号の法制化については、象徴天皇制とも矛盾するとして反対し、「昭和」を限りに廃止して西暦への一本化を求めてきました。

世界でも「非民主的な制度」である「元号制をとっているのは日本だけ」であると批判、声明の最後は「新元号の使用が強制にならないよう強く要求します」と力強く結ばれています。

 そもそも元号とは、古代中国において、帝王が時間を支配することを目的として作られたものであり、本来的に非民主的な制度です。今日、元号の本家である中国においては、公暦として西暦を採用しています。元号制をとっているのは日本だけです。

 西暦か元号かどの紀年法を用いるかは、国民の選択にゆだねるべきであり、新元号の制定によって、国民の日常生活に混乱をもたらさないよう十分な対応を求めるとともに、新元号の使用が強制にならないよう強く要求します。

以上

いいですねえ。
共産党ですら国民感情に忖度して「慣習的に使用する」ことを認めている「元号制」を、既存の日本の政党の中で唯一きっぱりと反対している社会民主党なのであります、それも理由は「「一世一元」の元号制などは戦前回帰であり、現行憲法国民主権基本的人権尊重の理念と相容れない」ため、威風堂々「戦前回帰」であります。
いかがですか、読者のみなさん。
社会民主党、唯一、「元号制」を「戦前回帰」と真っ向否定するのであります。
さすが、孤高の左派、昭和学生運動左翼の残滓、社会民主党であります。
国民世論の73%が「令和」に好感を持っていても、そんなことには流されないのであります。

「令和」を好感73% 内閣支持率は9.5ポイントの大幅増 共同世論調査
https://mainichi.jp/articles/20190402/k00/00m/040/224000c

元号制は「戦前回帰」だからダメ、左派政党として、ある意味でその主張は共産党より筋が通っている社民党なのであります。
その主張がどんなに周回時代遅れでいかに民意とは乖離していようともダメなものはダメと孤高に筋を通す社民党
「生きる化石」まさに「昭和学生運動左翼の残滓」であります、その時代感覚のズレズレ感がご立派です。
今回の新元号「令和」騒動。
いろいろなことが改めて浮き彫りになって興味深いです。
ふう。



(木走まさみず)