木走日記

場末の時事評論

「○○ファースト」といういかにも頭のよろしくない有権者迎合主義ってどうよ

 千代田区長選ですが、小池知事が支援の現職・石川氏が5選でございます、圧勝でございます。

 当ブログが注目したのは石川氏の当選の弁であります。

 「今後は、都政改革に取り組む小池知事を補佐し、力を尽くしたい」

 おいおい(^^ゞ

 石川さん、あなたはまがりなりにも行政の長ではないのですか?

 誰かを補佐するのではなく、主権者のために補佐されるべき立場じゃないのですか?

 なんでしょうか、この行政の長の当選の弁としては、石川さんの発言から醸し出される久しぶりのただならぬ「代理感」というか「小物感」(苦笑)は。

 なにが「区民ファースト」なのか、これじゃ「小池ファースト」じゃないのかと陰口も聞こえそうですが、まあよろしいでしょう、小池旋風今だまったく衰えず、ということであります。

 今後の「小池VS都議会のドン」政局の動き、都議会選の見通しなど、真面目な評論は他の論客にお任せして、当ブログとしては、例によって脱線気味に今回は「暴論」を展開したいと思うのであります。

 それは最近バカの一つ覚えみたいによく聞く政治スローガン、

 「○○ファースト」、「○○第一」といういかにも頭のよろしくない有権者迎合主義であります。

 今回だってそうですよ、石川さん、なんだ「区民ファースト」って!!

 千代田区民だけ優遇すればそれでよろしいのか?

 区民以外都民は無視するのか? ちょっと皇居があるからって勘違いしてないか?

 だいたい小池さんの唱える「都民ファースト」も、正直同じお馬鹿な香りがするわけですが、主権者重視との主張は理解しますが、いかにも閉鎖的なんですよね、「区民」とか「都民」第一って、当たり前すぎて主権者第一の意味なら「バカ丸出し」だし、もっと地域ローカルに「区民」「都民」優遇って香ばしい主張なら「お馬鹿」そのものなわけですよ。

 ちょっと前に「国民の生活が第一」って政党がありまして、多くの有権者から「生活は大事だけど自民党など他のしっかりした党にお願いするから、小沢さんやらあなたがたは胡散臭いのだから黙ってらっしゃい」と選挙で玉砕してしまったわけですが、「○○ファースト」ってグループ名、参加する政治家も支持する有権者も、頭悪いと思いませんか、オトキタさん(苦笑)?

 ゴホン。

 トランプ大統領の「アメリカファースト」もしかり、フランス極右のルペン党首も「フランスの利益を第一とする保護主義」を憲法に明記すると、香ばしい主張を展開しているわけです。

 「区民ファースト」も外ならぬ千代田区長が唱えると軽く「選民思想」な香りが醸し出されるわけですが、「都民ファースト」もどうなのよ、オトキタさん?

 国際的には、トランプの「アメリカファースト」とかルペンの「フランスファースト」クラスになると、優遇するターゲットの母体がけっこう腕力ある集団なので、ここでその主張に軽く「ジャイアン臭」が付くわけです、反論すると理不尽になぐられそうな感じですか。

 正論で楯突くと「のび太のくせに生意気だぞ」と怒られそうであります。

 ・・・

 少しだけ脱線します。

 その昔、昭和の政治家に荒船清十郎(あらふねせいじゅうろう)というオヤジがおりました。

 若い人はご存知ないと思いますが、この人、豪快そのものの保守政治家でありまして、「荒船運輸大臣深谷駅急行停車事件」という大事件を巻き起こします。

 1966年(昭和41年)8月、第1次佐藤内閣第2次改造内閣の運輸相に抜擢されますと、10月1日からのダイヤ改正に際して、当時の国鉄(現JR)に要請して自分の選挙区(当時の埼玉3区)にあった深谷駅に急遽、急行を停車させてしまった(苦笑)のであります。

 国民の批判を浴びると、荒船は自宅で新聞記者に「私のいうことを国鉄が一つぐらい聞いてくれても、いいじゃあないか」と怒ります。

 あわれ、荒船清十郎先生はこの事件により大臣辞任になるのであります。

 この話には後日談があります。

 翌1967年(昭和42年)の第31回衆議院議員総選挙で、埼玉3区からまたまた立候補した荒船先生は、地元の選挙演説で、「代議士が地元のために働いてどこが悪い。深谷駅に急行を止めて何が悪い」と、怒鳴ります、そして地元有権者の大喝采を浴びると共に、そのあまりにもストレートな地元至上主義的な内容に、当時のマスコミ関係者の度肝を抜いたのでございます。

 そして彼は再びトップ当選を果たすのであります。

 これです、ここに「○○ファースト」と地域限定の優遇スローガンの限界性が見て取れるのであります。

 1960年代、当時の利用者の少ない深谷駅に急行を強制的に停車させても、利益を得るのは「深谷駅利用者」だけです、荒船先生の大切な有権者だけです。

 他の多くの利用者は、余計に停車駅がひとつ増えて急行の所要時間が無駄に多くなり東京(上野)に到着する時間が遅くなったのであります。

 しかし、荒船先生は地元の利益を守ろうとしたと胸を貼ったのであります。

 ・・・ 

 ここで当ブログが訴えたいことは「暴論」と批判されてもけっこうでございます。

 つまりいいたいことはこうです。

 「○○ファースト」と地域限定の優遇スローガンに騙される有権者は頭がよろしくないと思います。

 全体の利益を考えないとね。

 そして、「○○ファースト」と地域限定の優遇スローガンを唱えて、中身のないキャッチだけで頭が不自由な有権者を騙す政治家は、もっとタチが悪いと思いますよ。

 まがりなりにも全体の利益代弁者たる政治家なのでしたらね。 

 そうは思いませんか、読者の皆さん。

 ふう。

 ・・・

 


(木走まさみず)