木走日記

場末の時事評論

小池百合子都知事「乱世の漢(おとこ)」みたいなその性格

 さて豊洲新市場移転をずるずる先延ばしているとして、自民党の「決められない都知事」キャンペーンが功を奏したのか、小池都知事並びにその支持政党「都民ファーストの会」が支持率を落としています。

 結党時には都民の圧倒的支持を得て6月の都議会選では自民を抑えて都議会第一党必至と予想されていた「都民ファーストの会」の支持率が、ジリ貧となり直近の各紙新聞世論調査では、自民党を下回ってしまったわけです。

(関連記事)

都議選「自民に投票」32% 都民ファースト17%
本社世論調査
2017/5/1 2:00日本経済新聞 電子版
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO15931380R00C17A5PE8000/

 で、この6月1日に、都民ファーストの会の決起大会で代表に就任することを表明した小池氏なのですが、さすがに政治的効果を演出するのはお上手でありまして、この日にあわせて電撃的に自民党に離党届提出であります。

 産経新聞電子版記事から。

小池百合子都知事自民党に離党届提出
2017.6.1 14:57

 東京都の小池百合子知事は1日、自民党に離党届を提出した。同日の会見で小池氏が明らかにした。都議会自民との対立が続く中、夏の都議選を前に小池氏が退路を断った形。

 小池氏は離党届を出した経緯について「今日、私は都民ファーストの会の決起大会で代表に就任する。ここはしっかりと都民ファーストの先頭に立ちたい」と説明。「これまで(自民党に)進退伺いを出していたが、決めてくれない」と付け加えた。

http://www.sankei.com/politics/news/170601/plt1706010031-n1.html

 自民党の「決められない都知事」キャンペーンによほど頭にきてたのでしょうね、小池都知事、離党届を出した経緯の説明に「これまで(自民党に)進退伺いを出していたが、決めてくれない」と自民党執行部に「決められない」返しの皮肉をチクリ、リリーの最後っ屁(苦笑)でありますね。

 退路を絶った形で都議会選挙に望む小池百合子氏なのであります。

 今回は小池百合子都知事の今後について、取り上げてみたいです。

 ・・・

 小池氏が刺客候補として東京10区に落下傘してきたのは、12年前小泉郵政選挙のときでありました。

 当時当ブログでは10区で吹き荒れたすさまじい「小池百合子旋風」をレポートしています。

関連エントリー

2005-09-13 東京10区徹底検証〜百合子降臨で興起玉砕
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050913

 東京都の各党選挙状況や裏情報が入手できたため、当ブログは東京地区の都知事選や都議会選の選挙予測で昔から一部から評価いただいております。

関連エントリー

2016-07-20 予言しましょう、都知事選で鳥越氏は100%落選します。   
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20160720
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http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20090711

 さて東京都民であります私は、このブログでも何度かお話しておりますが、生まれ育った練馬区でそのまま土着しています、東京10区選挙民でもあります。

 そして10区を中心に自民党東京都連関係者や民進党旧民主党)関係者にも多くの知り合いを有しております、これね仕方ないんです、例えば地元の小学校や中学校の同級生が区議会や都議会にごちゃごちゃにいらっしゃるのですね。

 生活者ネットワークという東京地域政党の某おばさん議員は、実は私の通っていた学習塾の先生でした(苦笑)

 そして何を隠そう親族に小池百合子地元後援会幹部もいます、いやお恥ずかしいです。

 何を自分語りしているのかとお叱りを受けそうですが、小池百合子という政治家を分析する上で当ブログのポジションをあらかじめお話しておいたほうがフェアだと考えたからです。

 小池百合子という人間は、「乱世の漢(おとこ)」のような性格だと、私は見ています。

 実は小池百合子さんは地元民に愛着を有していません。

 というか、地元(豊島区・練馬区)には何も関心はなかったのです。

 それ自体選挙民に迎合しない姿勢として私などは評価しますが、当然ながら地元後援会では顰蹙(ひんしゅく)を買ってたりしていました。

 そもそも神戸出身の関西人だからという指摘もありますが、私は彼女が地元に冷たいのは、より本質的な彼女の有する性格によるものだと確信しています。

 彼女は地元だけではない、自分の所属する組織(例えば自民党)にも愛着は持っていません。

 従って、組織防衛などの発想は全くないし、逆に組織を移ることにも精神的ハードルはないのです。

 これは政治家として彼女の強みのひとつとなります。

 組織に愛着を持たない、ロンリーウルフの百合子氏は、自分のポジションにも恋々とはしない、執着などないからです。

 かつて小池防衛相は、2ヶ月で退任します。

 彼女は守屋武昌事務次官を強行的に更迭してしまったからです。

 更迭されたあと守屋氏は国会での証人喚問の後に逮捕されているので、結果的に彼女の判断は間違ってはいなかった。

 しかしそのやり方はあまりにも正直すぎて自民党的秩序を乱したわけです。

 この件では彼女でなければ守屋氏更迭は不可能であったことでしょう。

 彼女は自らのポジションを賭して悪徳事務次官と刺し違えたわけです。

 小池百合子という人間は、「乱世の漢(おとこ)」のような性格だと、私は見ています。

 従って、彼女の真価は戦場(いくさば)で発揮されると見ます、わかりやすい「敵」が必要なのです。

 12年前の小泉郵政選挙の時も今回の都知事選挙のときもそうですが、彼女が捨て身の選挙にやたら強いのは、その好戦的な性格から来ているのだと思います。

 彼女は乱世に強いわけですが、逆を言えば平時に弱いわけです。

 それはそうです、彼女の性格から言ってはっきり言って人望がない、彼女には良い人材が集まりません、逆に良い人は彼女から離れていきます。

 都民ファースト見てください、政治的烏合(うごう)の衆です、残念ですね、おときたさん。

関連エントリー

2017-02-06 「○○ファースト」といういかにも頭のよろしくない有権者迎合主義ってどうよ
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20170206

 ・・・

 まとめです。

 小池氏は、誰かを「敵」にして攻撃するときは「無敵」百合子ですが、守りにはめっぽう弱いタイプです。

 言葉を変えれば、既存秩序を破壊するのは得意でしょうが、秩序を再構築する手腕を見たことはありません、我々有権者は政治家小池百合子氏の破壊的腕力はなんども見てきたのですが、建設的な政治力は残念ながら見たことはないのです。

 おそらく彼女は都議選までにまたわかりやすい「敵」を作り出すことでしょう。

 相手は自民党都連しかありません。

 その「戦場(いくさば)」がうまく作れなかったならば、小池劇場はあっけなく終演することになりそうです。

 彼女は平時には策がない政治家だからです。



(木走まさみず)