木走日記

場末の時事評論

民主党よ、都合のいい解釈で統計数字を印象操作するな!〜事実に対して真摯に対峙できないその体質こそ、民主党凋落の要因だとなぜ理解できない

 民主党の海江田代表が「何の大義名分があって解散するのか」と安倍総理による大義なき解散総選挙を批判しています。

 BLOGOS記事から。

民主党2014年11月17日 21:24
「何の大義名分があって解散するのか」海江田代表、安倍総理による大義なき解散総選挙を批判
http://blogos.com/article/99006/

 海江田代表は「どこの政党がこんな状況のなかで来年10月の状態で上げろと言っているのか。私の知る限りそういう政党はどこにもない」と発言、「国民の信を問う大義名分がない」としています。

安倍総理が消費税増税を先送りさせるために国民に信を問うために解散・総選挙を行うなどとしている点については、「私どもは来年の10月の消費税増税に対して、とても上げる環境にないと申し上げている。どこの政党がこんな状況のなかで来年10月の状態で上げろと言っているのか。私の知る限りそういう政党はどこにもない」とも指摘し、その意味では選挙で各党がそれぞれの考えをぶつけて国民の信を問うべき争点はないとして、安倍総理がいう「国民の信を問う大義名分がない」と語った。

 うむ、コメント欄でも指摘されていますが、つい一週間前に民主党最高顧問が「過度な借金の押しつけを将来世代にしない」ために、来年10月からの消費税10%実施は「基本的に、法律通りに粛々と判断すべき」と当初計画通りに引き上げる判断をすべきとの発言をされているわけですが、お忘れなんでしょうか。

 11日付けエコノミックニュース記事から。

消費増税見送りはアベノミクス失敗を意味する 野田佳彦前首相
2014年11月11日 21:41

 野田佳彦前総理が安倍政権の下で「格差拡大、中間層解体の懸念が強まっている」と指摘。そのうえで「失業したり、病気やケガで倒れたり、年老いたり、困ったり弱ったりした時のセーフティネット(安全網)」となる「社会保障の充実・安定化を図らなければならない」とし、社会保障制度の安定した継続と「過度な借金の押しつけを将来世代にしない」ために、来年10月からの消費税10%実施は「基本的に、法律通りに粛々と判断すべき」と当初計画通りに引き上げる判断をすべきとの考えを示している。

(後略)

http://www.zaikei.co.jp/article/20141111/221759.html

 民主党野党第一党として安倍政権を批判するのは良しです、無論消費税増税の反動で失速気味の日本経済の現状に関して、アベノミクスに絡めて批判するのもけっこう、但し正確な数値と事実に基づいて批判展開しなければ批判の意味はありません。

 まず事実として、消費税を8%に増税したのは民主党最後の政権であった野田政権が、自民・公明との三党合意で決定したことです。

 その事実があるからこそ民主党の野田最高顧問は最後の最後まで10%増税の延期をするな、将来世代に借金の押しつけをするなとこだわっていたのでしょう、その事実を無視して「どこの政党がこんな状況のなかで来年10月の状態で上げろと言っているのか。私の知る限りそういう政党はどこにもない」などとしらっと発言してはいけません。

 一週間前まで民主党内で「来年10月の状態で上げろと言って」いたのです、民主党内で増税延期で意見集約できたのはたかだか四日前ではないですか。

民主党2014年11月14日 19:59
「消費税は引き上げられない環境に至った」臨時の記者会見で枝野幹事長
http://blogos.com/article/98846/

 海江田首相は民主党政権時代日本のGDPは「5.4%実額で伸びている」、アベノミクスは「伸び率は1.4%に留まり、つまり民主党政権の時代の方が伸び率が大きかったということだ」と統計数字を印象操作しています。

 海江田代表はさらに、「安倍総理は口を開けば『民主党の時代にGDPはマイナス成長だった』というが、それは事実と違う嘘、デマである」として、事実と異なる民主党批判を繰り返す安倍総理を批判。民主党政権では09年の政権交代直前の実質GDP実額489兆円から12年7〜9月期の516兆円へと5.4%実額で伸びているのに対して、アベノミクスの経済政策では7〜9月期で523兆円であるとし、「伸び率は1.4%に留まり、つまり民主党政権の時代の方が伸び率が大きかったということだ」と語った。

 これはひどい「印象操作」です

 確かに民主党政権時代日本のGDPは「5.4%実額で伸びている」わけですが、それは起点である2009年のGDPがリーマンショックで大きく縮小していたからにすぎません。

※2014年はIMFによる2014年10月時点の推計

 グラフで確認すれば明白ですが、安倍政権のほうがGDPは民主党政権時代より安定的に伸びています、2013年と2014年で比較すれば「伸び率は1.4%に留ま」っていますが、当然のことでしょう。

 実に都合のいい解釈で統計数字を印象操作しているわけです。

 GDPの伸び率をこのように民主党の都合よく解釈するならば、せめて主要なほかの経済指標も用いて、総合的に民主党政権アベノミクスを正確に比較すればよろしいでしょう。

 例えば日経平均株価はどうですか。

 あるいは完全失業率はどうですか。

※2014年は6月時点(9月速報値は3.60%)

 ・・・

 民主党野党第一党として安倍政権を批判するのは良しです、無論消費税増税の反動で失速気味の日本経済の現状に関して、アベノミクスに絡めて批判するのもけっこう、但し正確な数値と事実に基づいて批判展開しなければ批判の意味はありません。

 このような無責任な批判体質、事実に対して真摯に対峙できない体質、都合のいい解釈で統計数字を印象操作する体質こそ、民主党が国民から信頼されない、民主党凋落の要因だとなぜ理解できないのでしょうか。



(木走まさみず)