木走日記

場末の時事評論

朝日新聞世論調査の見事な誘導テクニック〜読み手が恥ずかしくなるようなこの威風堂々さはなんだ!?

 一年前の以下のエントリーのPART2であります、参考までに。

2013-05-02 教科書に載せたい朝日新聞世論調査の見事な誘導テクニック 編集
■[メディア]教科書に載せたい朝日新聞世論調査の見事な誘導テクニック〜「このような憲法に戻ってはならないと思いますか。戻ってよいと思いますか。」
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20130502

 さて7月5日に実施された集団的自衛権に関する朝日新聞世論調査の質問と解答が載っています。

世論調査―質問と回答(7月4、5日実施)
2014年7月5日22時30分
http://www.asahi.com/articles/ASG7541YTG75UZPS006.html

 全部で11の質問が列挙されています。

(数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で該当する回答者の中での比率。〈 〉内の数字は全体に対する比率。丸カッコ内の数字は6月21、22日の調査結果)

安倍内閣を支持しますか。支持しませんか。

 支持する44(43)

 支持しない33(33)

◇(「支持する」と答えた44%の人に)これからも安倍内閣への支持を続けると思いますか。それとも、安倍内閣への支持を続けるとは限らないと思いますか。

 これからも安倍内閣への支持を続ける42〈18〉

 安倍内閣への支持を続けるとは限らない45〈20〉

◇(「支持しない」と答えた33%の人に)これからも安倍内閣を支持しないと思いますか。それとも、安倍内閣を支持するかもしれないと思いますか。

 これからも安倍内閣を支持しない45〈15〉

 安倍内閣を支持するかもしれない43〈14〉

◆今、どの政党を支持していますか。

自民35(33)▽民主4(4)▽維新1(1)▽公明3(2)▽みんな0(1)▽結いの党0(0)▽共産2(3)▽生活0(0)▽社民1(0)▽新党大地0(0)▽新党改革0(0)▽その他の政党0(1)▽支持政党なし46(46)▽答えない・分からない8(9)

集団的自衛権についてうかがいます。集団的自衛権とは、アメリカなど日本と密接な関係にある国が攻撃された時に、日本が攻撃されていなくても、日本への攻撃とみなして一緒に戦う権利のことです。これまで政府は憲法上、集団的自衛権を使うことはできないと解釈してきましたが、安倍政権は集団的自衛権を使えるようにしました。集団的自衛権を使えるようにしたことはよかったと思いますか。よくなかったと思いますか。
 よかった 30よくなかった 50

◆安倍首相は、国会の議論や国民の賛成を経て、憲法を改正するのではなく、内閣の判断で、政府の憲法の解釈を変えて、集団的自衛権を使えるようにしました。こうした安倍首相の進め方は適切だと思いますか。適切ではないと思いますか。

 適切だ18

 適切ではない63

◆安倍政権での集団的自衛権をめぐる議論は十分だと思いますか。十分ではないと思いますか。

 十分だ 14十分ではない 72

◆安倍政権は、集団的自衛権を使うのは、必要最小限度にとどめるとしています。集団的自衛権を使う範囲に歯止めがかかると思いますか。歯止めはかからないと思いますか。

 歯止めがかかる26

 歯止めはかからない51

◆日本は集団的自衛権を使えるようにしましたが、日本が憲法で掲げている平和主義は維持されると思いますか。維持されないと思いますか。
 維持される 37維持されない 40

◆日本と北朝鮮の協議が行われ、北朝鮮拉致問題について再び調査する代わりに日本が制裁の一部を解除することを決めました。日本政府の決定を評価しますか。評価しませんか。

 評価する 48評価しない 29

◆今後、拉致問題が解決に向けて進むと期待できますか。期待できませんか。

 期待できる 40期待できない 39

     ◇

 〈調査方法〉4、5の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式で、全国の有権者を対象に調査した(福島県の一部を除く)。世帯用と判明した番号は2227件、有効回答は1020人。回答率46%。

 説明は要りますまい。

 うーむ、相変わらずの朝日新聞の見事な誘導テクニックです。

 メディアリテラシーの教科書に載せたいです。

 特に「安倍首相は、国会の議論や国民の賛成を経て、憲法を改正するのではなく、内閣の判断で、政府の憲法の解釈を変えて、集団的自衛権を使えるようにしました。こうした安倍首相の進め方は適切だと思いますか。適切ではないと思いますか。」って設問、「国会の議論や国民の賛成を経て、憲法を改正するのではなく、内閣の判断で、政府の憲法の解釈を変えて、集団的自衛権を使えるようにしました」って前振りはいかがでしょうか?

 読んでいるこちらがなんか恥ずかしいぐらいの威風堂々さを感じますですね。

 なんだかなあ。

 ふう。



<お知らせ>

 事後報告で恐縮ですが、7月7日(月)の東京FMの一時間番組「タイムライン」に出演いたしました。

 メディア批判に徹している場末のブロガーとして基本的にはマスメディアや雑誌へのの出稿依頼や出演依頼にはすべてお断りしておりましたが、方針転換でございます、今回は熱心なお誘いを頂いたのと、「平和教育」伝承の難しさと題して、報道ステーションなどテレビでもお馴染みの朝日新聞オピニオン編集長の星浩氏との対談という興味深い内容だったので、出演させていただきました。

7月7日(月)星浩 ●戦後69年、「平和教育」伝承の難しさ
(月) 星 浩・島田 雅彦

長崎原爆で被爆し、語り部として活動している男性が5月、修学旅行で同市を訪れた横浜市の公立中学校3年生の男子生徒5人から、「死に損ない」などと暴言を吐かれていたという問題がありました。この問題について、長崎原爆被災者協議会は修学旅行生らに年間600回ほど証言活動をしていますが、集中しない生徒はいても、邪魔されたことはないといいます。
この問題について、ブロガーの木走正水さんは、『旧態依然とした日本の「平和教育」の在り方について、そろそろ再考すべき時なのではないか』と指摘。
今の時代に合った「平和教育」とはどのようなものなのか?
ブロガーの木走正水さんをお迎えし、被爆者への暴言事件を通して「平和教育」の在り方を考えます。

http://www.tfm.co.jp/timeline/?itemid=82560&catid=1164

 うむ、普段から朝日新聞をはじめとする既存メディアに対し批判的に対峙してきた当ブログを朝日新聞論説を代表する星浩氏にぶつけるという東京FMの蛮行(苦笑)にこの場をかりて敬意を表します。

 朝日新聞星浩編集長VS場末ブロガー木走まさみず」の対談内容は近日書きおこしてエントリーする予定です。

 お楽しみに。



(木走まさみず)