木走日記

場末の時事評論

新聞よ!商品カテゴリー別の軽減税率支持率を世論調査してみせよ!!〜印象操作を繰り返し勝手に新聞購読を食料品と並べて論じるな

 13日付け産経新聞社説は、あいも変わらず軽減税率導入は不可欠だとの論説を掲げています。

軽減税率導入 「10%と同時」は不可欠だ 減収理由に先送り許されぬ
2013.12.13 03:34 [主張]
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/131213/fnc13121303350002-n1.htm

 この長い社説の中で「新聞」という単語は3箇所登場しているわけですが、最初がこの箇所。

 食料品や新聞などの消費税負担を軽くする軽減税率をめぐり、導入を強く求める公明党と、これに慎重な政府・自民党との間で最後まで綱引きが続けられた。最終的に「導入を目指す」にとどまっていた今年1月の大綱から踏み込み、導入そのものを盛り込んだ点は評価できる。

 軽減税率対象の生活必需品の代表格として「食料品や新聞など」と食料品と新聞を同格に並べているわけです。

 二番目と三番目の登場箇所がここ。

 欧州では、日本の消費税に相当する付加価値税の税率が20%前後と高い。このため、食料品や新聞などに軽減税率を適用し、家計の税負担を抑えている。新聞は民主主義を支える必需品と位置付けられている。こうした事例も参考にして軽減品目を決めてほしい。

 欧州の事例としてまたしても「食料品や新聞など」と自分たちを食料品と同格の「生活必需品」と印象操作を繰り返し、「新聞は民主主義を支える必需品」と自画自賛です。

 そしてお決まりの決め台詞ですが、自分たちが実施した世論調査で「軽減税率が必要と回答した人が8割に達した」として、「国民の声に耳を傾けるべき」と主張します。

 消費税増税は、安定的な社会保障財源の確保が目的だが、産経新聞とFNNが11月に実施した世論調査では、消費税が10%になる際に軽減税率が必要と回答した人が8割に達した。政府与党は消費税増税への強い不安を持つ国民の声に耳を傾けるべきだ。

 ・・・

 大新聞の世論調査などどこまであてになるものかわかりませんが、なるほど「消費税が10%になる際に軽減税率が必要と回答した人が8割に達した」点は、まあ認めるとしましょう。

 しかし新聞よ、軽減税率に対する世論調査をそこまでするならば、なぜ個別具体的に商品カテゴリー別に国民の支持率を調査しないのですか?

 食料品、水道料金、ガス料金、電気料金、医薬品など、ライフラインに繋がるカテゴリーと、姑息(こそく)にも「新聞料金」を社説にて同列に印象操作などしないで、堂々と世論調査して、国民がどの商品カテゴリーの低減税率を支持しているのか、その詳細をなぜ調査しないのですか?

 本当に国民は産経社説が「食料品や新聞など」と印象操作しているように、新聞を食料品らと同格の生活必需品と認知して新聞の低減税率を支持しているのでしょうか?

 いや、しているはずはありません、ここ20年のネットの普及と新聞の発行部数の落ち込みは、新聞がもはや国民の「ライフラインに繋がるカテゴリー」ではないことを何よりも証明していませんか?

 大新聞の軽減税率に対する世論調査で個別具体的に商品カテゴリー別に国民の支持率を調査しない理由は、ただ一点、新聞が軽減税率の対象にならなくても別にかまわないという国民が多いからなのではないですか?

 ここに少し古い調査で恐縮ですが、昨年の6月、トレンド総研が行った消費者意識調査の結果をまとめたレポートがあります。

2012.6.22 ライフスタイルリサーチ
「消費増税」に関する消費者調査
http://www.trendsoken.com/lifestyle/l20120622.pdf

 これは絶対にマスメディアは取り上げない事実なのですが、その中で商品カテゴリー別の軽減税率支持率が実に興味深いです。

 食料費や光熱費に比べれば、新聞や雑誌なんてお酒やタバコみたいに国民にとっては「生活必需品」なんて認識は薄いことが明々白々なんです。

 新聞は姑息な詭弁を弄するなと言いたいです。

 勝手に新聞購読を食料品と並べて論じてほしくありません。



(木走まさみず)